老後資金を着実に形成するには、日々の支出の見直しも重要です。電力会社の変更や、スマホの契約プランなどはついスルーしがち。しかし「固定費」を本格的に見直すことができたら、大きな効果が期待できます。※本連載は、頼藤太希氏監修のMOOK『定年後のお金の不安がなくなる本』(晋遊舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

節約は「固定費の見直し」を優先して進める!

支出はその内容に応じて、「固定費」と「変動費」の2つに分類される。固定費は月ごとや年ごとなど、一定期間で定額、もしくはほぼ一定金額で発生する費用のこと。

家賃などの住居費や水道光熱費、インターネット料金や携帯電話料金などの通信費といった費用が固定費に分類される。一方の変動費は、内容ごとに費用の値動きが大きい出費のことで、食費や旅行にかかる費用が該当する。

チェーン店で牛丼を食べたときと高級店で寿司を食べたときの値段の違いや、国内旅行と海外旅行でかかる旅費の差がそれぞれ大きいことを考えてみれば、理解しやすいだろう。

家計の節約を試みる際に優先して見直すべきは、固定費だ。例えば、携帯電話を大手キャリアから格安SIMへ乗り換えた場合、毎月数千円の固定費を削減できることも。年間では数万円もの削減効果となり、格安SIMを使い続ければ、その恩恵を毎年得られることとなる。

固定費の節約は、電気会社の変更や保険の契約内容の見直しなど、手続きの手間が煩雑な印象のものが多く、面倒に感じられるかもしれないが、早く見直すほど得られる効果が大きくなるので、なるべく早い段階で着手することをおすすめしたい。一方の変動費は、費用が発生する頻度や金額が一定ではないことから、見直しは難しいといえる。

固定費を見直せば「長期的な節約」につながるワケ

支出は「固定費」と「変動費」の2つに分類される。固定費は、定期的に概ね一定の金額を支払うもの。賃貸物件の家賃や水道光熱費などが該当する。

一方の変動費は、その時々で金額の変動が大きい出費があてはまる。食費や旅行やレジャーなどの娯楽費、被服費などが代表例だ。変動費はケースバイケースのため、見直しや節約が困難だが、固定費は一度見直すとその後も効果が持続していく。そのため、まずは固定費の見直しを優先して進めたい。

【ポイント1】節約効果の持続を狙う固定費は変動費よりも節約効果大

 固定費の例 

住居費/保険料/通信費/自動車費/水道光熱費/教育費

一定周期で支払いが発生し、金額の上下が小さいものが固定費。一度見直しを行えば、その後も継続して節約効果を得られるので、まずは固定費を見直したい。ただし、夏場や冬場には電気代が激しく上昇することもあるので注意。

 変動費の例 

食費/日用品/美容費/レジャー費/交際費/趣味の費用/医療費

月によって支払い額に大きな差があるのが変動費。食費や交際費、趣味の品の購入など、さまざまなものが該当する。変動費は個別に内容がバラバラなため、見直しが難しく、見直しても節約効果を持続させづらい費用だとされている。

選択の幅が広がった「新電力会社」の比較もやってみよう

日常的に利用する水道光熱費は、固定費見直しの代表格だ。

電気のアンペアを1段階下げても日常生活に支障がないのであれば、それだけで年間数千円の節約につながるので試す価値あり。電気料金は、2016年の電力自由化以降に業者の選択肢が大幅に広がっているので一度比較検討してみたい。

それ以外にも、加入中なのに利用していないサブスクリプションサービスがあればすぐにでも退会しよう。

【ポイント2】ムダな支出がないか、厳しくチェック!…固定費の見直しポイント

 水道光熱費 

●電気の契約アンペアを1段階下げる

●電気・ガスを1社にまとめる

●通信会社のサービスを利用するなどして割引・還元を受ける

●節水グッズの活用

 通信費 

●スマホを持っているなら固定電話を解約

格安SIMへ乗り換え

●長く使っているプランは見直しを検討する

●電話は通話アプリを活用して無料に抑える

 民間保険料 

●長期契約中の保険の内容を見直す

●子どもの自立後は死亡保険を解約

●特約の見直しを実施

●掛金が安い共済に乗り換え

 ★格安SIMへの変更で年間数万円の節約も★ 

今やあたりまえの存在になりつつある格安SIMは固定費削減に非常に有効だ。現在、月額7000円程度のプランに加入している人の場合は、思い切って格安SIMに乗り換えてみれば年間数万円も通信費を下げられる可能性がある。

キャリア:docomo

プラン例…データ容量:3GB、2167円/月

格安SIMIIJmio

プラン例…データ容量:2GB、850円/月

※料金はいずれも税込

〈ここもCHECK!〉

家計簿アプリで「家計管理の手間」が大幅減

スマートフォンの家計簿アプリを使用すれば、家計を手軽に管理できる。スマートフォンでレシートを撮影するだけで支出額を記録できるアプリなど、さまざまな種類のものがあるので、気になったサービスを試して自分にとって使いやすいアプリを見つけたい。

 要点まとめ 

□ 住居費や保険料、水道光熱費など、毎回の支払い額が概ね一定のものは固定費

□ 食費やレジャー費用など、その時々で出費額の差が大きいものは変動費に該当

□ 固定費は一度見直すと効果が持続するので、変動費よりも節約効果が高い

頼藤 太希 株式会社Money&You 代表取締役

(画像はイメージです/PIXTA)