2023年10月のMeta Quest 3発売をきっかけに、通電型のVR・ARゴーグル市場が活性化していることが家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」により分かった。新製品発売が販売台数の増加を引き起こすことは、過去のデータからも明らかだ。

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 22年1月の販売台数を「100.0」として、VR・ARゴーグル市場の販売台数指数を算出した。まず、22年6月には162.4まで台数指数が上昇したものの、8月には36.1まで落ち込む。これは「Meta Quest 2」が2万円超の値上げになったことに起因する。23年2月にはソニー・インタラクティブエンタテイメント(SIE)の「PlayStation VR2」発売で再び台数指数は161.9まで回復。翌3月には対抗するかのようにMeta PlatformsがMeta Questシリーズを値下げし、指数は高止まりした。需要が一巡したためか、再び指数は急降下し、8月に27.2まで落ち込む。しかし、10月のMeta Quest3発売がきっかけとなり、台数指数は203.0まで高まった。このように1年10か月の期間だけでも、新製品や価格改定により変動を繰り返している。

 次にメーカー別販売台数シェアをみていく。22年のVR・ARゴーグル市場をけん引したのは、Meta Platformsであることが一目瞭然だ。しかし、Pico TechnologyやXreal(当時はNreal、23年5月に現社名へ変更)が参入してきたことにより、Meta Platformsのシェアはじわじわ減少していく。そこにSIEの「PlayStation VR2」予約開始。同社のシェアは23年1月に52.9%まで一気に上昇した。翌2月の発売当月には81.8%まで達したものの、翌月以降はシェアを大きく下げ、Pico TechnologyやXrealなどと2位争いを展開している。一方、Meta Platformsは23年4月から再び首位に返り咲き、「Meta Quest2」を値下げした次の7月には81.6%、「Meta Quest3」発売となった10月には86.6%と再び市場をけん引するまでに回復した。

 先にも書いたように、VR・ARゴーグル市場は新製品の発売により販売台数が増加したり、メーカーシェアが変動する。現状では主にゲームとしての用途が多いが、VR空間を手軽に楽しめるコンテンツが拡充していけば、ゴーグルの需要も高まることは容易に想像できる。今後はコンテンツの拡充が市場の成長を左右するだろう。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。