Xで漫画を毎日投稿している、中山ゆき(@yukiyuki_nkym)さんの「幽霊と疲れた会社員」に大注目。9月からスタートした本作のまとめ読みには7.7万のいいねがつき、気になる展開で読者を魅了している。

【漫画】「幽霊と疲れた会社員」を読む

■「1人で生きることは辛くて、寂しい」そんな主人公をただただ見守る幽霊

病院で最後のときを迎えた男性は、家族も恋人も友人もおらず、ただ1人だった。その思いが後悔となって成仏できず、男性は幽霊となった。この世に未練が残ってしまったらしい。

フヨフヨと彷徨っていると「疲れた、辛い、もういやだ、全部辞めたい」と言いながら歩いているサラリーマンに遭遇。男は「俺のことなんて、誰も見てないんだ」と泣いていた。

そんな男の言葉に、幽霊は今際の際に孤独だった寂しさを思い出し、誰も見ていなくても俺が「見ておこう」と男に憑いていく。

男は「寝たくない、起きたら会社に行かなきゃ行けない。でも寝る自分、偉いぞ☆」と、自分で励ましながら生きる、疲れた会社員だった。26歳独身、恋人は欲しいけれど、マッチングアプリで出会った女性にはブロックされてしまう。

男はしばらくして、風邪を引いた。病の中、食事を取るのも面倒で「寂しーいな」と、ぼそっと呟く男。そのそばで、ただじっと男を見ている幽霊。本作の見どころの1つでもあるのが「幽霊」の存在だ。「ただ見ているぞ」と、幽霊が男を見守るシーンは、セリフ1つない情景だが、胸にグッとくるものがある。

ある日、疲れて道端で倒れてしまった男は、1人の女性と出会う。倒れた男に「大丈夫ですか」と声をかけてきた女性。彼女は初対面なのに「あったかいものを食べて、心を温めてください。おごります」と優しい言葉をかけた。

物語は「孤独な男が幽霊となった」ところからスタートし、「疲れた会社員に憑いた日常編」からいつの間にか「出会い編」へと突入し、予想もしていない展開に――。独特な言葉選びで男を翻弄する女性と新たな展開に進んでいく2人。絶妙な空気感とじりじりといぶすような、じれったいやり取りに、毎日投稿を正座待機する読者が増え続けている。

■言葉のキャッチボールで読者を魅了していく!作者が毎日投稿する理由とは?

本作は、幽霊が主人公の男を見守るというお話。幽霊が何かをするわけでもなく、本当に見守るだけ。最近のコマ割りでは、画角の隅にちらりと写るほど小さな存在になっている。誰かの人生をただただ見ている、その理由は何か?作者の中山ゆきさんに話を聞いた。

――まずは、現在毎日投稿中の幽霊と疲れた会社員を始めるきっかけを教えてください。

最近疲れた顔をしている人が多いなと、ぼんやりと思ったのがきっかけです。

――なぜ、毎日投稿にしようと思ったのでしょうか?

そのほうが読んでいるかたが楽しみやすいだろうなと思ったからです。

――毎日投稿、大変ではありませんか?執筆ベースは、どのように整えているのでしょうか?

余裕のあるときに描きためるようにしています。

――本作のテーマがあれば教えてください。

分人の発見です。

――いつのまにか2人の関係性に注目していて、空気になっている幽霊。これは中山さんの中でもともとの設定だったのでしょうか。

設定はそこまで決めず、その場その場でよいほうに進めるようにしています。

――少しずつ幸せになっていく男性を見守るのは幽霊だけでなく、読者のみなさまも同じスタンスだと思います!皆さまにメッセージをお願いします。

ゆっくりと幸せを確かめていくようなお話にしたいと思っております。ぜひ読んでみてください!

取材協力:中山ゆき(@yukiyuki_nkym)

誰にも看取られなかった男は、幽霊になってしまった…/画像提供:中山ゆき(@yukiyuki_nkym)