聴覚障がい者用の人工内耳を輸入・販売する「メドエルジャパン」(東京都)の50代女性社員が、仕事を外されるなどのパワハラにあったとして、同社を相手取り、約990万円の損害賠償などをもとめていた裁判で、和解が成立した。原告・被告双方が認めた。和解は11月22日付。

1審・東京地裁は今年4月、複数のパワハラを認定して、同社に約220万円などの賠償を命じていた。原告側が控訴して、東京高裁で係争中だった。

【提訴会見の記事】

【地裁判決会見の記事】

2010年にマーケティング担当として入社した女性は、2012年以降に元社長らから14回の退職強要や基本給の減額のほか、元の業務から外されて仕事を与えられず、他の従業員から隔離されるなどのパワハラが長年続いているとして、2020年9月に提訴した。

和解の詳細は明らかにされなかったが、弁護士ドットコムニュースの取材に答えた女性は「この度、和解の申し出があり、内容として満足できるものでしたので、応じることにしました」と評価した。

「長い年月、辛かったこともたくさんありましたが、裁判で圧勝できて嬉しく感じています」

「聴覚障がい者向け医療機器メーカーとして、失われた企業としての信頼を早く回復し、パワハラのない職場を実現されることを期待しております」

メドエルジャパンも弁護士ドットコムニュースの取材に対して、裁判が和解で終了したことは「事実」と認めた。

東京地裁は以下の行為を違法と認定していた。

(1)約半年のうちに11回の退職勧奨

(2)マーケティング部から掃除担当への配置転換

(3)基本給を1年間、半額に賃下げ(約53万円から約26万円に)

(4)約5年間、仕事を与えず、ほかの従業員から切り離し   

パワハラ訴えた50代女性が会社と和解、仕事与えず掃除係に配転、同僚と隔離、半年で11回の退職勧奨、違法認定されていた