井岡が望んだエストラーダ戦は実現しなかったが、本人はチャンピオンとして戦い続けることを選んだ(C)Getty Images

 11月27日、プロボクシングのWBA世界スーパーフライ級王者、井岡一翔(志成)が都内で記者会見を開き、大晦日に東京の大田区総合体育館で同級8位のジョスベル・ぺレス(ベネズエラ)と防衛戦を行うことを発表した。

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 井岡はこれで、6年連続12度目の大晦日のリング。昨年はWBO・WBA世界スーパーフライ級統一戦として、ジョシュアフランコと2団体王座を賭け熱戦を繰り広げての両者ドロー防衛という決着に終わった。今年に入りWBO王座を返上し、6月に再びフランコとのダイレクトリマッチに臨んだ。体重超過となったフランコを相手に3-0で判定勝利を飾り、WBAのベルトを腰に巻いた。

 プロキャリア34戦目となる一戦を、日本の“風物詩”となった大晦日での防衛戦というシチュエーションで迎える井岡。しかし、海外メディアからの反応の中には、井岡自身が対戦を熱望し、試合実現へ動いていたとされるWBC王者フアンフランシスコ・エストラーダとの統一戦が行われないことを強調する声も聞こえている。

 米国ボクシングサイト『SBNATION Bad Left Hook』では、井岡対ペレス戦決定を伝えるトピックの中で、「WBC王者フアンフランシスコ・エストラーダとの統一交渉が資金面で決裂した」と綴っている。

 同メディアは「ミニマム級時代の2011年以降、イオカ(30勝2敗1分、15KO)は2017年を除いて毎年12月31日に戦っている」と日本人王者の足跡を記しながら、「ペレス(20勝3敗、18KO)が母国ベネズエラ国外で戦うのは2度目」など挑戦者のキャリアにも言及。その上で、この対戦については「イオカにとってこの試合が障害になるとは考えにくい」と評している。

 加えて、「2021年のジェルウィン・アンカハスとのIBF統一戦は日本のCOVIDによる渡航制限のために実現せず、ジョシュアフランコとのWBA・WBO統一戦はドローに終わり、再戦のためにWBOのベルトを捨てなければならなかった」と近年の“大晦日決戦”を振り返っており、今年も待望されたビッグマッチ実現とならなかったことで、キャリア後半を迎えている井岡に対し「本当に同情せざるを得ない」とも綴っている。

 井岡が会見の席で、エストラーダ戦への想いなども語っていた他、「今年の大晦日も戦いたい気持ちが強かった」とこの試合への闘志を言葉にしていた。一年最後の日で強さをみせつけ、その先の目標へと繋げていけるか。今年こそ王者として圧勝し、勝ち名乗りを受ける姿を期待したい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

井岡一翔、待望のエストラーダ戦実現ならず 海外メディアでは「同情せざるを得ない」の声も