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11月21日、東京国立博物館で『源氏物語絵巻』などを鑑賞された天皇ご一家 /(C)JMPA

平安時代の女性として立っているのはマナー違反なのですよね」

源氏物語絵巻 夕霧』に描かれた女性についての愛子さまのご指摘に、天皇陛下と雅子さまは感心したご様子をお見せになったという。

天皇ご一家は11月21日、上野・東京国立博物館で開催中の特別展「やまと絵受け継がれる王朝の美」を鑑賞された。

「愛子さまは学習院大学で、日本の古典文学を中心に学ばれています。『源氏物語』も愛子さまの研究対象となっているため、両陛下に同行されたのでしょう」(皇室担当記者)

12月1日に22歳の誕生日を迎えられる愛子さま。現在は卒業論文の執筆のためにご多忙な日々だが、この日は、ご家族で楽しいひとときを過ごされたのだ。しかしいま、永田町では愛子さまの人生を左右しかねない論議が始まっていた――。

岸田首相から喫緊の重要な課題だとの意向が示された。皇室典範などの法改正も考え、議論を深めたい」

11月17日自民党総裁である岸田文雄首相の直轄機関として新設された「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」の初会合が開かれ、懇談会の会長に就任した麻生太郎副総裁が冒頭でそう述べた。

「確かに安定的な皇位継承は、もっと以前から話し合われなければならない課題でした。 しかし内閣支持率が下落を続けるなか、岸田首相がようやく課題に着手したのは、“保守的な考えを持つ議員や有権者を取り込みたいからにすぎない”という見方が強いのです。いわば皇統の問題が政治的に利用されてしまっていると言えます。今後の議論は、政府の有識者会議が’21年12月にまとめた報告書をもとに進められることになっていますが……」(全国紙政治部記者)

報告書では、減少が続く皇族数の確保策として、(1)皇族女子である内親王、女王が結婚後も皇族の身分を保持する (2)皇族の養子縁組を可能とし、皇統に属する男系男子を皇族とする――という2案が提示されている。

「しかし、いま論議されているのは(2)の旧宮家に連なる男系男子の養子縁組に関することばかりなのです。この養子案は、男系の維持を主張する保守派の政治家や支持者が強くこだわってきたものです。いかに岸田首相が保守層にばかり顔を向けているかの証左です。

旧宮家に連なる男系男子だけが特権的に養子となることに対しては、『門地(家柄)による差別』を禁じた憲法14条に違反する恐れがあるという指摘も以前からありました。しかし15日の衆院内閣委員会では、内閣法制局が“憲法14条に抵触しない”という見解を示しました。政府・与党が養子案の実現のために、外堀を埋めつつあるのです」(前出・全国紙政治部記者)

自民党の保守派国会議員によるグループ「日本の尊厳と国益を護る会」は次のように提言している。

旧宮家の男子について、了承いただける方には皇籍に復帰いただけるよう、また現皇族の養子か女性皇族の婿養子となられることがあり得るよう、皇室典範の改正または特例法の制定を行う》

■女性皇族の結婚の自由を阻害する動きが

政府の動きや保守派の提言に対して、神道学者で皇室研究者の高森明勅さんはこう語る。

「支持率が低迷するなか、来年9月に総裁選を控えている岸田首相は、与野党の合意が必要となるこの大きな問題で、成果を出したいという思惑があるのでしょう。しかし、将来にわたる安定的な皇位継承を目指すのであれば、目先だけ皇族数を確保したところで、有効であるとは言えません」

また宮内庁関係者は政府が強行しようとしている養子案が、愛子さまら女性皇族の結婚の自由を阻害しかねないと指摘する。

「そもそも“現皇族の養子”案は、実現性に乏しいと言わざるをえません。確かに常陸宮家や三笠宮家など、跡継ぎの男子がいない宮家はあります。しかし養子となった人物や、その子供たちに誰が“皇族教育”をほどこすのでしょうか。

三笠宮家の百合子さまは100歳、常陸宮家の常陸宮さまは88歳。ご体調の問題もあり、ご養子家族を皇族として教え導かれることをお願いするのは難しいと思います。だからこそ男系論者も、女性皇族との結婚をセットにして主張しているのです。

一時期、旧宮家・賀陽家の男子が、愛子さまのお婿さん候補として報じられました。愛子さまが御所で、賀陽家の男子とお会いしているといった報道もありましたが、宮内庁は否定しています。

旧宮家の男子と女性皇族の結婚を望む男系論者が、世論を誘導するために情報を拡散したのではないかという説が濃厚です。今後も養子案に関する論議が進むなかで、“彼らが女性皇族と結婚すれば万事解決”といった意見が強まっていきかねないのです」

前出の高森さんは、

「男系論者が画策している“政略結婚”は時代錯誤としか言いようがありません。愛子さまと旧宮家男子のご結婚は、皇位継承の安定化にはつながりません。問題を解決するためには、一夫一婦制のもとで男系の継承しか認めないという無理な制度を見直すしかないのです」

賀陽家の男子との“お見合い報道”以降、愛子さまも思われるところがあったのだろう。9月には男女6人で東京ドームシティを訪れられたり、11月3日には男女4人で学習院の大学祭を回られたりと、グループ交際が立て続けに目撃されている。

「もちろん、これらのグループデートがご結婚に直結するというわけではないでしょう。しかし同世代の男性たちとの交流を広げておられるのは“お相手は私自身で見つけたいのです”というご意思の表れだと思います。

5月に両陛下と『御即位5年・御成婚30年記念特別展』をご覧になっていたときに、愛子さまは陛下にプロポーズの再現をリクエストされていました。ご両親のような“運命の出会い”を望まれているのでしょう」(前出・宮内庁関係者)

源氏物語』の登場人物・夕霧は光源氏の長男だが、生真面目な性格の男性だ。もうすぐ22歳になられる愛子さまも、華麗な宮中での物語を読みながら、理想の男性像を固められつつあるのだろう。