巨大ジャンクションの工事が進行中です。

藤沢から湾岸線方面へ接続

東京郊外の「50km圏」をぐるっと環状にむすぶ高速道路圏央道」。木更津から埼玉を経由して横浜市南部までの約300kmのうち、残る未開通部は千葉県内の「大栄IC~千葉横芝IC」、そして神奈川県内の「横浜湘南道路&横浜環状南線」です。

そのうち神奈川県内では、圏央道海老名から寒川、茅ヶ崎に下りてきて、東へ進路を変えて藤沢ICまで開通済み。横浜湘南道路はそこからさらに横浜市内へ伸びて、栄IC・JCTに至ります。同時に国道1号の戸塚ICから下りてくるのが横浜環状南線。漢字の「入」のように両者は栄IC・JCTで合流し、横浜横須賀道路の釜利谷JCTに接続します。

もともと湘南方面の交通流は国道1号に頼りきっている状況で、慢性的な渋滞が課題となっていました。圏央道横浜横須賀道路首都高湾岸線へつながることで、都心・横浜中心部から湘南方面への代替ネットワークが誕生することとなります。

さて、その横浜区間のハブとなる「栄IC・JCT」では、工事が大詰めに近い状況となっています。

大船駅から北へ2kmほど歩くと、地域文化財「田谷の洞窟」のある定泉寺にたどり着きます。鎌倉時代に修行のために掘られた洞窟は奥行きは1km近くあり、まだ全貌は明らかになっていないほど。内部壁面には無数の彫刻があり、仏像や動物、経文などが象られています。

その洞窟のすぐ向かいの田園地帯に、無数の橋脚と、縦横無尽に張り巡らされた橋桁が姿を現しています。これが栄IC・JCTです。互いが合流するだけでなく、戸塚~藤沢方面間の接続ランプや、栄で地上に下りる各方向のランプが入り乱れ、複雑な形状になっています。

現地では、それぞれの車線・ランプがそれぞれ延伸を続けている様子が見て取れます。鋼製の橋桁は完成次第現地に持ち込まれ、クレーンで吊り上げられて橋脚間に置かれ、設置済みの橋桁と溶接されます。あちこちでこの「次の橋桁待ち」のブツ切れ橋桁がありました。

思い思いの曲率でうねる橋桁は、まるで巨大な生き物のようです。何本ものランプが地上道路をまたいでいくため、橋桁の仮設のたびに、夜間通行止めによる工事が行われます。

この栄IC・JCTの工事は順調に進んでいますが、延伸区間の大部分を占める地下トンネルで工事が難航し、まだ開通めどは立っていません。2026年度開通が発表されている千葉県内の区間が先に完成を向かえそうで、おそらくこの横浜区間は「圏央道最後の開通部」になっていきそうです。

工事が進む圏央道の栄IC・JCT(乗りものニュース編集部撮影)。