子どもが手の爪をむしってしまうことがあります。中には、子どもの頃に爪をむしるのが癖になってしまい、大人になってからもやめられない人がいるようです。

 そもそも、なぜ爪をむしってしまうのでしょうか。むしる行為が癖になっている場合、直すことはできるのでしょうか。精神科専門医の田中伸一郎さんに聞きました。

癖を直そうと焦ると逆効果

Q.手の爪をむしってしまう原因について、教えてください。心理的にどのような原因が考えられるのでしょうか。

田中さん「手の爪をかむ行為を『爪かみ』、手の爪をむしってしまう行為を『爪むしり』とそれぞれ言い、程度が軽ければ『癖』のようなものとして考えてよいでしょう。しかし、爪かみや爪むしりの程度がひどくなって日常生活を送るのに支障が出るようになる場合は、『爪むしり症』と呼ばれます。

これらの症状は、やめたいけれど、やらずにいられないという嗜癖(しへき)的な行動であり、強迫症状の仲間だと考えられていますが、原因についてはよく分かっていません。

心理的には、ストレス発散の意味があるとは思いますが、幼児期から学童期にかけて一時的に見られたり、思春期に始まって大人になっても続いたりするため、実際には何がストレスになっているのか不明なケースも少なくありません」

Q.手の爪をむしるのが癖となっている場合、どうしたらよいでしょうか。

田中さん「大人で爪むしりや爪かみが悪い癖になっている場合には、まずは爪の手入れ、手指のマッサージから始めてみましょう。

子どもの場合にも、養育者の方からこの癖を一緒に直していこうと伝え、爪むしりや爪かみをしないでいられる時間(例えば、夕食時、好きなアニメを見ている時間)をつくるなどの工夫をしてみるのがよいでしょう。ただし、行動を修正しようとして子どもに対して過干渉になり過ぎないように注意したいところです。

爪を大事にする気持ちを持つことは、自分の体を大事にする気持ちにつながります。つまり、爪を生やす(伸ばす)ことが自分に対する肯定的な気持ちを育てることに結びついていくのです。もし何がストレスになっているのかが判明すれば、そのストレスから距離を取るなどの対処を行うのもよいと思います」

Q.手の爪をむしる癖を直さなかった場合、どのようなデメリットが生じる可能性がありますか。

田中さん「爪むしりや爪かみの癖を放置しておくと、爪が小さくなって物をつかみにくくなったり、細菌感染して腫れてしまったりなどのトラブルが生じる可能性があります。そのため、早めに気付いて対応することが望ましいです。

ただし、先述のように、爪むしりや爪かみは、嗜癖的な行動や強迫症状の仲間であると考えられ、あまり気にし過ぎるとかえって悪化することもあるため、焦らずに長い目で見て対処するようにしたいところです」

 つい爪をむしってしまう場合、爪の手入れや手指のマッサージを始めるのがよいとのことです。気になる場合は、実行してみてはいかがでしょうか。

オトナンサー編集部

手の爪をむしってしまう原因は?(写真はイメージ)