冬の夜空で明るく輝く金星と木星。月と並ぶ姿はひときわ美しく、印象的な光景になります。絶好の条件となる「ふたご座流星群」は、2023年を締めくくる注目の天文イベント。今年最後の満月は12月27日。年の瀬のひと時、ゆっくり満月を眺めてみてはいかがでしょうか。
今回は、12月に注目したい星空情報をご紹介します。


【12月9・10日】明け方の空で、地球照を伴う月と金星が寄り添う

日の出前の空で輝く明けの明星・金星。明るさはマイナス4.2等からマイナス4.0等に達しています。

10日の未明から明け方にかけて、南東の低空で月齢26の細い月と金星が接近して見えます。地球照を伴う月と金星の共演は目をひく美しさ。夜明け前の幻想的な光景を楽しみましょう。次回、接近して見えるのは2024年1月9日

画像:国立天文台

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【12月14・15日】月明かりがなく絶好の条件!「ふたご座流星群」

多くの流れ星の出現が期待されている、2023年のふたご座流星群流星群の活動が最も活発になる極大の時刻は12月15日4時頃で、いちばんの見頃となるのは14日夜から15日未明と予測されています。

13日が新月のため月明かりの影響がなく、ここ数年で最も多くの流星を見ることができるでしょう。空の暗い場所で観察した場合、14日21時頃には1時間あたりの流星数が30個を超え、放射点が高くなる15日0時から3時頃には1時間あたり70個に達する可能性も(時刻は東京の場合)。

流星群は肉眼で楽しめる天文現象です。なるべく空の広い範囲を見渡し、暗さに目が慣れるまでは15分以上は観察を続けましょう。流星は放射点近くに限らず、あらゆる方向に流れますが、放射点の周辺に出現する流星は軌跡が短く見える場合が多くなります。逆に、放射点から離れた方向は流星を横から見ることになるため、長い軌跡のダイナミックな流星が多くなります。寒さ対策を万全にして、師走の夜空に降り注ぐ流星観測を楽しみましょう。

画像:国立天文台

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【12月22日】宵の空で、明るく輝く木星と月の共演

宵の東から南東の空で存在感を放つ夜半の明星・木星。明るさはマイナス2.8等からマイナス2.6等になります。

22日の夕方から23日の未明に、上弦過ぎの月と木星が共演。明るいふたつの天体が最も接近するのは、東京の場合は22時頃となります。その後、月と木星は少しずつ離れていき、翌日の3時頃には並んで沈んでいきます。次回の接近は2024年1月18日

画像:国立天文台

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【12月27日】今年最後の満月「コールドムーン」

冬の寒さが本格的になる12月の満月は「コールドムーン」。名称は、月の満ち欠けとともに生活していたネイティブアメリカンが、毎月の満月に付けていた名前に由来します。

1年で最も多くの1等星が見られる冬の星空。おおいぬ座シリウスオリオン座リゲルおうし座アルデバランぎょしゃ座カペラふたご座のポルックス、こいぬ座プロキオンを結んでできる6角形「冬のダイヤモンド」が美しく夜空を彩ります。
満月の近くには、ふたご座のカストルとポルックスが寄り添い、並んで夜空を巡ります。




参考文献
アストロガイド 星空年鑑 2023』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「ほしぞら情報2023年12月」

月と惑星の華やかな共演、冬の風物詩「ふたご座流星群」、2023年最後の満月「コールドムーン」