地下化できない理由や谷保駅が高架化されない理由も明らかに。

南武線の3駅間が高架化

東京都は2023年11月30日(木)、高架化の計画が進むJR南武線の立川~谷保について、住民からの質疑応答をふまえて計画詳細を明らかにしました。

発表されていた計画概要では、西国立と矢川の2駅をふくむ約3.7kmを高架化します。2駅とも、島式ホームの高架駅となります。踏切19か所が解消され、「開かずの踏切」とされていた青柳踏切も廃止となります。

住民説明会などでは、主に以下のような質問と説明が行われました。今の計画にいたる背景が明らかになっています。

・ホーム長さは、現在の6両分のまま。

・事業化まで5年、そこから完成までが13年ほどかかる見込み。

西国立駅構内にある保守基地は、高架化後は谷保駅南側に移転予定。

・谷保周辺を高架化できないのは、検討対象区間外だから。それをふまえ、すでに谷保駅東側で、建設中の東八道路がすでに南武線を跨線橋で跨いでいるため、鉄道の高架化は物理的に困難。

・地下化にしなかったのは、事業費が倍近く(960億円に対し1820億円)になることや、(もぐりこむ部分などで)今踏切になっているところが通行不能になってしまうから。

立川駅を含めて地下化しなかったのは、立川通りのアンダーパスに支障するため、範囲外としたから。

・道路側を立体化する計画にしなかったのは、事業費など比較検討して不利だったから。

・事業負担は要調整だが、一般的には、鉄道事業者が約10%、国が45%、東京都が約32%、残り約13%が国立市立川市が負担することになる。

・西立川~矢川の急カーブでは、通過時の騒音を低減するため「コンクリート直結軌道」を採用し、消音効果のある砂利で埋める。

今後、この都市計画素案をふまえて正式な都市計画決定がおこなわれていきます。同時に環境アセスメントの手続きも進められ、そのあとに事業化に至ればいよいよ用地取得や工事となります。

JR南武線では、武蔵小杉駅南側の区間でも高架化計画が事業化をめざし進められています。首都圏屈指の通勤路線はまだまだ進化を遂げていきそうです。

南武線(画像:写真AC)。