「さみしい」という言葉には、2つの漢字があります。

1つは「寂しい」。もう1つは「淋しい」です。なんとなくのイメージはあっても、両者の違いを説明できる人はそう多くないでしょう。

しかし、この意味を正しく知っておくことは、表現の幅が広がり、適切に使えるようになるだけでなく、自分自身の感情を整理すること、他者の気持ちを理解することにも役立ちます。

この記事では、「寂しい」と「淋しい」それぞれの意味と違いから、さみしいという感情との向き合い方や整理の仕方などを解説します。

「寂しい」と「淋しい」の基本的な理解

※写真はイメージ

皆さんは「寂しい」と「淋しい」の違いをご存じでしょうか。読み方は「さみしい」でも「さびしい」でも間違いではありませんが、2つのさみしい(さびしい)には明確な違いがあります。

ここでは寂しいと淋しいの基本的な理解を深めていきましょう。

「寂しい」と「淋しい」の一般的な定義

「寂しい」とは「物足りなさ」「ひっそりとした様子」など情景や状況に対して使う言葉です。漢字の「寂」には静寂や「侘び・寂び(わびさび)」など状況や様子を表す意味があります。

「夜の公園はひっそりとしていて寂しい」

「なんだか口が寂しい」

「学生が下校した後の教室はなんだか心寂しい」 など

一方、「淋しい」とは主観的な感情にフォーカスしている言葉です。「淋」はさんずいが涙を表しているように「涙が出る程にさみしい(さびしい)」時に使用します。

「大切な人を失って淋しい」

「淋しくて涙が溢れる」

「私は今、淋しさをどうコントロールすればいいか分からない」 など

「寂しい」は誰が見ても寂しい・切ないと感じる情景や状況を表す際に使用する言葉で、「淋しい」は私たちが心(心理的)で感じる孤独感を表す際に使用する言葉と考えられるでしょう。

またメールやSNSなど「誰からも連絡がなくて寂しいな」という風に使用することもあります。この場合、自分の周囲に誰もいない状況に心寂しさや物足りなさを感じているという意味ですね。

「誰からも連絡がなくて淋しいな」の場合は、心から孤独を感じていてとても悲しいなど、主観的なさみしさ(さびしさ)という意味です。

これらの感情が生じる状況

寂しいと淋しい、これらの感情が生じる状況を整理してみましょう。

【寂しい】

・人の少ない場所を見る

・誰もいない夜の公園で運動をする

・喫煙者がいう「口が寂しい」

給料日前の財布を見る

・賑やかだった場所から静かな場所へ移動する

・構って欲しい

・誰かと繋がっていたい

【淋しい】

・恋人や大切な人と離別する

・職場やクラスで一人ぼっちになる

・孤独を感じる

上の表を見ると、どちらの「さみしい(さびしい)」を使用しても間違いではない場合もあります。

例えば、人の少ない場所や誰もいない夜の公園で「人がいなくて寂しい」という感情には、状況や情景から感じる場合や、誰もいない孤独感から感じる場合もあるでしょう。

また恋人や大切な人と離別したというケースでも「いままで隣にいた人がいない状況に寂しさを感じる」場合と「大切な人がいなくなって孤独を感じて淋しい」場合があります。

どちらの「さみしい(さびしい)」を使用するかは自由ですが「淋」は常用漢字ではなく人名用漢字として登録されており、公的なシーンでは「寂しい」を使用するのが一般的です。

そのため、メールや手紙、誰かとの会話など幅広いシーンで使用するなら「寂しい」小説や歌など自分の孤独な感情を伝えるシーンで使用するなら「淋しい」と使い分けてみましょう。

「寂しい」の感情とその特性

※写真はイメージ

次は「寂しい」の感情とその特性について解説します。

「寂しい」を感じる心の動き

寂しいを感じる心の動きには「切なさ」「物足りなさ」が挙げられます。

目の前の状況や情景を見て何かが足りないように見えたり、切ないと感じたり、人との関わりが少ない時や、自分に自信がない時に「寂しいな」と感じるケースもあります。

大人の私たちが感じる寂しさには、一体何に寂しさを感じているのか自分自身で分からないケースもあります。

例えば仕事や生活が上手くいっていてトラブルもない人間でも、ふとした瞬間に満たされないような、切ないような気持ちになることもあるでしょう。

なぜこんなに心が激しく動くのか、その理由が明確ではないのだけれど、物足りなくて切なくて寂しく感じてしまいます。

仕事や家事で疲れて誰かと繋がっていたい時、構って欲しい・自分を見て欲しい、そんな思いが溢れそうになった時「寂しいな」と感じる人もいるでしょう。

「寂しい」の感情が引き起こす行動と反応

私たちは寂しいと感じると一体何に寂しさを感じているのかを考えます。そしてどうすればこの物足りなさ、切なさは埋まるのだろうとも考えるでしょう。

人によって寂しいという感情を解消したり、抑え込んだりするためにさまざまな方法を考えます。

例えば「人と会う」「眠る」「大好きな趣味に没頭する」など。

「私は今とても寂しい」と伝えられる相手がいない状況にもまた寂しさが募り、一度寂しいと感じてしまった心は時折貪欲な姿を垣間見せることもあるでしょう。

「構って欲しい」「話を聞いて欲しい」「1人でここにいたくない」さまざまな感情が入り乱れてコントロールできなくなる前に、大人の私たちはそれぞれ寂しさと日々向き合っています。

「寂しい」の感情は「淋しい」と比べて気持ちを紛らわせられる方法がある可能性が高いです。何に寂しさを感じているのか理由が明確にできれば、なおさらいい対策方法が見つけられるでしょう。

「淋しい」の感情とその特性

※写真はイメージ

次は「淋しい」の感情とその特性を見ていきます。

「淋しい」を感じる心の動き

淋しいを感じる心の動きは「孤独」「空虚感」が挙げられるでしょう。

大切な人を失った孤独と空虚感、1人ぼっちになる虚しさなど、涙が溢れ心の底から「誰か私を見て欲しい」「私の苦しみを楽にして欲しい」と考えます。

何をしても楽しくない、誰といても満たされない、こんな感情が心をいっぱいにして自分1人ではどうしようもない状態になることもあるでしょう。

「寂しい」の場合はさまざまな方法を試していけば、その場しのぎではあるものの気持ちを和らげることもできます。しかし「淋しい」の場合はそうはいきません。

理由が分かっていても、その淋しさを癒せる程の替えがすぐに見つかることは難しいからです。

時間が経てば少しずつ癒えるであろう傷や思い出でも、淋しいと感じた直後は何も替えが利かず、淋しいと感じた原因を心がずっと求めています。

心が音を立てるようにきしみ、痛くて悲しくて涙が溢れるような様子で、例えばなしとして「心が血を流しているようだ」と表現する人もいます。

「淋しい」の感情が引き起こす行動と反応

淋しいと感じた時、どう行動するかは人それぞれです。全てを壊してしまいたい破壊衝動にかられる人もいれば、必死に代わりを探そうとしたり、友人や知人に思いを伝えて涙を流したりする人もいるでしょう。

どうにかして心にある空虚感や孤独感を和らげようとします。替えがないのにどうすればいいのか、まるで生き地獄のような感情と戦わねばなりません。

淋しいという感情は底なし沼のように長い時間、私たちの感情を捕らえて離すことはないでしょう。淋しいと思えば思う程、簡単に這いあがることが難しくなるため、1人で感情と戦い、前を向くためには相当な時間と周囲の協力も必要となります。

「寂しい」と「淋しい」の違い

※写真はイメージ

次は「寂しい」と「淋しい」の違いを心理学的観点と具体的な状況で解説します。

心理学から見た「寂しい」と「淋しい」の違い

ここまでで解説したとおり「寂しい」は状況や情景を表す言葉だとお伝えしました。寒い冬や夏が終わって秋に入る頃など、いままであったものがなくなると「物足りない」「寂しい」と感じるケースもあるでしょう。

また感受性が高い人だと、状況や情景を見て頭の中でストーリーを組み立てて「寂しい」と感じるケースも少なからずあります。

しかし人によっては「そんな風景を見てもそこまで寂しいとは思わない」「そもそも気にもしない」という人もいますよね。一体どういうことなのでしょうか。

寂しいという感情がどこから来るのかを心理学から見ると「自己肯定感」が挙げられます。

自己肯定感が低い人は自分に自信が持てず、自分という存在の価値観に不安を覚え、外部にある何かでその気持ちを紛らわせようとするのです。

例えば「誰かと遊ぶ」「好きな趣味をする」「勉強をする」など外部からの刺激を求めます。誰かが反応してくれれば心が満たされ一旦寂しさからは解放されるでしょう。

しかし、誰もいない状態で自分を肯定してくれるものが何もない、そうなると何かが足りない、心細い、そう思い、寂しさを感じてしまうと考えられます。

そのほかにも日々ストレスや辛さ、悲しさから目を背けてきた結果、溜まりにたまった感情が爆発して手に負えない程「寂しい」と感じる場合もあります。

次に「淋しい」を心理学から見ると「依存心」が挙げられるでしょう。

私たち人間は誰もが何かに依存しています。それは外的なものであったり、内的なものであったり、人それぞれですが、恋人や家族、スマホなどさまざまです。

言葉のとおりに受け取るとネガティブな印象のある言葉ですが、あなたがとても大切にしていて絶対に手離したくない、なくしたら耐えられない、なければ生きていけないのだ、と思うものがあれば、それも依存心といえるでしょう。

依存相手がいれば相手の一喜一憂に振り回されて「淋しさ」「喜び」「悲しみ」「怒り」などさまざまな感情が心の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜます。

特に、依存心が出やすいのは「恋愛」です。

大好きな人のために自分を犠牲にしてもいいと思ったり、自分の生活よりも相手を最優先することも依存です。

依存の度合いは人それぞれですが、依存していたものがなくなれば誰だって正気ではいられませんし、心が痛み孤独感と空虚感に苛まれます。

また依存心には、恋人や家族だけでなく「人」や「SNS」に依存しているケースもあります。

誰かと繋がっていないと淋しくて居ても立っても居られない、SNSで返事や「いいね」が付かなければ一喜一憂して気持ちがコントロールできないなど、現代社会ならではの依存もあるでしょう。

淋しさの根底には「寂しい」でも解説した「自己肯定感の低さ」も含まれます。

自分だけでは心を満たせないから誰かを求め、結果的に自分を認めてくれる人間やSNSに依存して離れられなくなるというケースも増えているのです。

具体的な状況での「寂しい」と「淋しい」の使い分け

次は具体的な状況での「寂しい」と「淋しい」をどのように使い分けるか解説します。

寂しい:外的要因

・状況や情景

・人との繋がりが少ない

・SNSなど公的な場面で気持ちを伝える

何かしら外的要因を取り入れることで一時的にでも気持ちを紛らわせることができる

淋しい:内的要因

・離別

孤独感・空虚感

・親しい知人や家族に気持ちを伝える

外的要素を取り入れても気持ちが晴れない。何をしてもずっと心が辛い

寂しいは何かを見た時や肌に触れる気候の変化など外的な要因が関連して感じるさみしさ(さびしさ)をメールや言葉で誰かに伝えたい時に使用します。

一方、淋しいは内的な要因が関連してさみしさ(さびしさ)を感じる時に友人や家族など親しい間柄の誰かに伝えたい時に使用するといいでしょう。

「寂しい」「淋しい」を乗り越える方法

※写真はイメージ

次は「寂しい」「淋しい」2つの気持ちを乗り越える方法を解説します。

「寂しい」を感じた時の対処法

「寂しいな」そう感じた時の対処法は次のとおりです。

・自己肯定感を見直してみる

・何も考えず寝る

・誰かの相談にのる

・寂しいという感情を受け入れる

・何か自分にプラスへ働く作業を黙々とおこなう

寂しさを感じる人の多くは自己肯定感が低いケースも多く「自分で自分を愛せない」「認められない」などの感情から、外的に承認欲求を満たそうとしている可能性があります。

確かに外的要素で承認欲求を高めることはできるでしょう。

しかし、それはひと時であって、自分で自分を褒めて愛せなければ、生涯寂しさを抱えて生きていかなければならないかもしれません。まずは自分に対する卑下した考えはやめること。

誰かに認めてもらうことで自分の心を満たすのではなくて、自分が自分のためにできることを一度考えてみてください。また誰かの話を聞いて、人のために頑張ってみるのもいいでしょう。

次に何も考えず眠ってしまう方法もあります。

起きているとさまざまなことを考えて、自分で気持ちをマイナス方向へ持って行く人も多くいます。

余計なことを考えて自己肯定感を落とすならば、一度眠って心と身体を整えてみましょう。睡眠不足だとポジティブになれず、自己肯定感も下がり気味になります。

眠った後はいままで目を背けていた「寂しい」と向き合う時間を作ってみてもいいでしょう。大人になると「寂しいなんて恥ずかしい」と心を抑えて見えないフリをします。

そこで「私は今寂しいです」と一度感情をそのまま受け入れてみてください。寂しくなんかないと強がりをいえば、余計に寂しさが心の中でいっぱいになってしまいます。

寂しい自分もさまざまな表情を持っている自分の一人。何かで紛らわせ続けるよりも、一度向き合って寂しさの根底に向き合ってみてもいいでしょう。

最後に、自己肯定感の低さから来る寂しさには「自分にとってプラスになる作業をおこなうこと」がおすすめです。スキルを付けたり、新しい知識を得たり、自分をレベルアップさせます。

自分に自信が付けば、誰かに寂しさを紛らわせてもらわなくても自分自身で解決できる力になります。また解決方法が分かれば今後寂しさに心を蝕まれることも減るでしょう。

「淋しい」を感じた時の対処法

「淋しい」そう感じた時の対処法は次のとおりです。

・淋しさから目を背けず、自然なままでいる

自暴自棄になって自分を傷付けない

・自己肯定感を見直してみる

・どうしても自分では解決できない場合はプロの手を借りてみよう

外的要因によって起こりやすい寂しいとは違い、対処法が難しいのが「淋しい」という感情に対して大切なことは、その淋しさから目を背けないことです。

淋しい気持ちや思い出は変えられません。目を背けてしまいたいこともたくさんあるでしょう。

一時的にであれば目を背けてもいいかもしれません。しかし、目を背けても淋しさは消えてくれないことのほうが多いでしょう。

まずは淋しさから目を背けず、泣きたいのであれば泣きましょう。辛いのであれば、気持ちを文字にして整理してみることもおすすめです。

また淋しさから自暴自棄になってしまう人もいるかもしれませんね。しかし、それはあなたの自己肯定感をさらに下げることになります。

自暴自棄になってあなたを見失ってしまえば、淋しさはいつまでも付きまとうでしょう。

「淋しい」は内的要因によるものが多く、問題も根深いケースが多いです。この状態だと視野も狭くなっていて淋しさから思いもよらないことをしてしまう人もいます。

「分かってはいるけれど頑張れない」「淋しくてどうでもよくなる」という人は、カウンセラーなど、一度プロの手を借りてみることをおすすめします。

「寂しい」「淋しい」の感情表現の豊かさ

※写真はイメージ

次は「寂しい」「淋しい」の感情表現の豊かさについて解説します。

多様な感情表現の重要性

寂しいと淋しい、どちらの場合でもさまざまな気持ちの働きによって表れる感情表現です。

多様な感情表現は、自分の思いを相手に伝える手段になり、お互いの気持ちを理解し合ったりするためにも重要となります。

そのほかにも、多様な感情表現を通じて感情を解放し、自己の感情を受け入れることで、ストレスの軽減や心のバランスの取り方が促進される効果も期待できるでしょう。

また多様な感情表現には「言葉」以外にも「文章」「絵」などさまざまな方法があります。

特に「寂しい」と「淋しい」のように同じ読み方でも意味合いが違う言葉も豊富にあるため、どのように感情を伝えるかを学ぶことによってコミュニケーション能力の向上にも繋がります。

多様な感情表現は私たちの毎日を少し生きやすくしてくれるスパイスです。最初は難しくても自分なりに感情表現できる方法を見つけてみましょう。

日常生活での感情表現の工夫

今回解説している「寂しい」と「淋しい」もそうですが、日常生活での感情表現ってなかなか勇気が必要ですよね。「自分自身の感情を表現したらどう思われてしまうのかな」と不安になります。

またさみしい(さびしい)にも多様な感情や背景があるため、どうやって自分自身が今心で感じている思いを伝えればいいのかと悩んでしまう人もいるでしょう。

日常生活で感情表現をおこなう際、次の点を工夫することで感情に対する理解度を高めてくれます。

・感情を具体的に言葉や文章にする

・本などを読んでどのような時に使用する感情表現かを学んでみる

・自分が得意とする感情表現の方法を見つける

・感情表現は堂々と恐れずに

・ジェスチャーも交えてみる

まず感情表現をする際「寂しい」「淋しい」など端的に伝えるのではなくて、具体的な言葉や文章にすることで理解されやすくなります。

例えば「〇〇だから寂しい」などさみしい(さびしい)と感じる気持ちを分かりやすく伝えられるよう工夫してみてください。

また伝え方のパターンが乏しい人の場合は電子書籍や図書館など本を読んで言葉の種類やフレーズ、伝え方を学んでみることも自分にとってプラスになります。

そのほかにも「私は文章で伝える方が得意」「絵で伝えたい」など自分が最も得意とする感情表現の方法を見つけることや、感情表現は堂々とおこなうことも大切です。

小さい声で物事をいわれても相手との意思疎通が難しく、恐るおそる感情表現をするのでは相手に理解してもらいにくくなる可能性もあります。

また、なかなか感情表現が苦手という人はジェスチャーも交えて感情表現することで、理解を得られやすくなるでしょう。ぜひ試してみてください。

「寂しい」「淋しい」感情を理解し表現する力

※写真はイメージ

次は「寂しい」「淋しい」の感情を理解し表現する力について解説します。

感情を理解することの意義

感情を理解することの意義は自分や誰かの感情を適切に理解し、関係構築に大きな意義を持ちます。また自分自身の感情を理解できれば「どのように対処すべきか」も考えやすくなるでしょう。

私たち人間の感情は一人ひとり違います。

全ての人間が同じ感情を抱くわけではないため、どうやって相手に自分自身の感情を伝えて、そして相手の感情を理解できるか、ということは生きていく上で重要なことでしょう。

また感情が理解できるようになれば言葉が通じない海外の人とも円滑なコミュニケーションが取りやすくなります。自分自身のためにも、誰かのためにも感情の理解は有意義に働いてくれます。

感情を表現する力を育む方法

感情を表現する力を育む方法には次のような方法がおすすめです。

・物事に対して「なぜ」「どうして」を意識してみる

・たくさんの「言葉」に触れる

・日記をつけてみる

これは言葉を少し話し始めた程度の赤ちゃんから使用できる方法です。

例えば、赤ちゃんが公園で転んで泣いていると仮定してみます。

「転んでしまって痛いから泣いてるのね」と母親が声をかけた場合、赤ちゃんは「あぁ転ぶと痛いから私は泣いているのか」と感情表現の方法を母親の言葉から覚えるでしょう。

しかしこれでは赤ちゃん自身が考え、表現力を高めるお手伝いにはなりません。大切なことは「なぜ泣いていたのか」「どうして痛いのか」を考えさせることにあるのです。

「どうして泣いているの?」という母親の質問に対して赤ちゃんは「転ぶ」「痛い」「悲しい」など感情を表現する言葉を学びます。

なぜ、どうしてを意識するだけで自分の感情と向き合い、効率よく感情表現力を育むことができます。そのほかにも、本などたくさんの言葉に触れてボキャブラリーを増やしてもいいでしょう。

学んだことを日記にしてまとめておけば、さらに効率よく表現力を高められます。

言葉の違いをおさらい

※写真はイメージ

本記事では「寂しい」と「淋しい」について解説しました。

・寂しいは状況や情景を表し、外的要因によって起こるもの

・淋しいは孤独など主観的な感情を表し、内的要因によって起こることが多い

・多様な感情表現は理解力を養い、人との繋がりをサポートしてくれる

・表現力を高めたいなら「なぜ」「どうして」やたくさんの言葉に触れてみる

・どうしても一人では解決できない感情はプロに相談してみよう

同じ読み方でも外的・内的で意味合いが変わる「さみしい(さびしい)」。いままで明確な違いを知らずに使用していた人は、これを機に感情へ併せて適切な方を選んで使用してみてください。

また感情表現が苦手な人は一人でもできる「本を読む」や「なぜ? どうして? を繰り返してノートに書き留めてみる」など少しずつでも表現力を高められるよう一歩踏み出してみましょう。

どんなに笑顔の人でも心に「さみしさ(さびしさ)」を抱えています。ぜひ本記事を参考にご自身が抱えるさみしさ「さびしさ」は一体どちらか考えてみてください。


[文・構成/grape編集部]

※写真はイメージ