近年注目を集めているメタバース。そもそもメタバースとは一体何なのか、定義と起源、歴史などを解説します。

メタバースの定義とは

メタバースとは「メタ(超越)」と「バース(ユニバース)」を組み合わせた言葉です。

インターネット上に構築された3次元の仮想空間のことで、現実世界と同じような世界の中で、ユーザー自身がアバターとなって自由に行動できます。

メタバースはアメリカのSF作家ニール・スティーヴンスン氏による1992年に出版された小説『スノウ・クラッシュ』で初めて使用されました。

例えば、バーチャル空間で友人とコミュニケーションを取ったり、散歩をしたりとRPGゲームをプレイした経験のある人ならばイメージが付きやすいのではないでしょうか。

また、メタバースの定義として明確なものはありませんが、米Roblox社のCEOであるDavid Baszucki氏によると次のものを定義として考えているようです。

米Roblox社CEOのDavid Baszucki氏の定義

Identity(アイデンティティ)

Friends(友達)

Immersive(没入感)

Low Friction(軋轢が少ない)

Variety(多様性)

Anywhere(地理的な制限なし)

Economy(経済システム)

Civility(社会的規範)

またよくある質問として「メタバースとVRとは何が違うのか」というものがあります。分かりやすく2つの違いを挙げるのであれば次のとおりです。

・メタバース:仮想空間のこと

・VR:仮想空間を現実世界のように感じ取れる体験させる技術

メタバースは仮想空間本体のことをいい、VRは仮想空間をまるで現実世界のように感じ取れるデバイスのことで「手段や技術」です。

またメタバースの場合は「複数人」が利用できるのに対し、VRは「1人」で仮想空間を体験できるという点にも違いがあります。

あくまでメタバースの定義は「仮想空間」であり、VRやそのほかは仮想空間を体験する手段という風に覚えておくとよいでしょう。

メタバースの起源と歴史

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次はメタバースの起源と歴史について紐解いていきます。

メタバースとは元々小説や映画などで登場する「空想上の世界」でした。

空想上、つまり映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の空飛ぶ車のように、現実世界では実現が難しいであろうものだったのです。

さまざまな学者がメタバースをコンセプト、映像化していましたが、興味を持つのは一握りのユーザーで、それぞれが自分なりにメタバースを楽しんでいました。

メタバースの第1波が起きたのは2000年半ば。

先ほど紹介した小説『スノウ・クラッシュ』にインスパイアを受けて開発されたものが登場します。

これが、アメリカのLinden Lab社によって発売された「セカンドライフ」というゲームです。

セカンドライフはアバターを個人的にカスタムして広大なメタバースの世界を自由気ままに過ごすゲームです。時にはフレンドとのコミュニケーション、時にはリンデンドルと呼ばれる仮想通貨を使用して買い物をするなど、今注目を浴びているメタバースの初代版ともいえます。

しかし、メタバースの第1波は、ゲーム内でのインフレや技術インフラの未熟化が原因となり、約1年程で利用するユーザーは減少、下火となりました。

次にメタバースの波が押し寄せてきたのは2020年以降です。

ユーザー同士が戦うPvP(Player versus player)に建築要素を加えたゲーム『フォートナイト』の中で人気アーティストのライブをおこなうなど、多くの人々がメタバースに注目し始めたのです。

元々『フォートナイト』はバトルロワイアルゲームに建築要素が追加されたことや、心を掴むスキンなどが魅力で、幅広い年齢の層が楽しんでいるゲームでした。

そこからゲーム内で人気アーティストのライブを間近で体験できるイベントも追加されたことにより「新しい世界」「近未来」とユーザーから高評価を得ています。

そのほかにもユーザー同士がお互いの島を行き来して交流する『どうぶつの森』や、VRを用いて交流するだけでなく、仮想空間の中で自分が好きなように部屋を作れる『VR chat』など、多くのメタバースが登場します。

昨今の数年間は外出自粛期間も増え、なかなか人と会う機会も少なかったことで「家にいながら会いたい人に会える」というメタバースの魅力はユーザーにとって相当な刺激となったのでしょう。

またメタバースは、仮想空間に魅力を感じるユーザー以外だけでなく、投資家達からも注目されています。

第2波が起きた頃から、投資家の間では「メタバースは爆発的な飛躍を秘めている」と考える人も多く、AIやITと同じく「長期間安定した存在となり得る」ともいわれていた程です。

数多くの層から注目され続けているメタバース。

仮想空間と聞けば夢の世界と考えていた頃から現在になって、誰もが気軽に利用できるものとして認知されるようになりました。今後更なる飛躍を続け、いつかは私たち人間が無理だと諦めていた夢を叶えるものとして活躍してくれるでしょう。

メタバースの主な特徴

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次は、メタバースの主な特徴を3つ解説します。

仮想世界の拡大

メタバースの大きな特徴、それは仮想世界の拡大です。

仮想世界は永遠に続いています。現実世界のように終わりはなく、可能性は未知数。

では一体メタバースによる仮想世界の拡大でどのような利点があるのでしょうか。

・地域や言語が異なる人々との出会い、触れ合い、協力

・娯楽やエンターテインメントの提供

・メタバース内での経済活動が現実世界でも活かされるなど

1つの仮想世界は何百人、何千人、何億人をつなぐこともできるのですから本当にすごいですよね。

人々が「あれもしたい」「これもしたい」など頭で浮かんだことを仮想世界で叶えることで、小さな仮想世界は大きく、沢山の可能性を秘めた存在となっています。

例えば学校に通いたいけれど事情があって通えない生徒や、身体が不自由で現実世界では思うように行動できない人、やりたいことはあるけれどご自身に対する劣等感で実現できない人など、現実世界だと叶えにくい夢も、メタバースを通せば叶えられる可能性が高まるでしょう。

メタバースは「自分が生きたいように生きられる」「人の目を気にせずやりたいことができる」そんな素敵な未来を与えてくれるかもしれません。

現実世界との連携

メタバースは仮想世界だけのものではありません。

例えば、先ほど紹介した『フォートナイト』のように、まるで現実世界にいるような空間でのライブや、メタバース内での求人や雇用の提供、商品やサービスの販売、仮想通貨、デジタルアセットの取引など、現実世界と連携させた行動が可能です。

そのほかにも、学習面では学生達をアバター化して教育を提供することもできるでしょう。

現実世界では不便、大変だと思っていたことが、メタバースなら容易にできるようになります。

メタバースによる現実世界との連携では大手携帯メーカー「KDDI」が過去に実施した『バーチャル渋谷』や『バーチャルハマスタ』も代表的です。

『バーチャル渋谷』ではメタバース内に現実世界にある渋谷と同じ空間を作り、そこではライブの開催や店舗の出店、人々との触れあいなどを実現しています。

『バーチャルハマスタ』では、横浜ベイスターズとの連携による「メタバース内で野球を観戦する」という取り組みがおこなわれ、家にいながら野球場で選手を応援できるという環境を作りました。

今後KDDIでは「メタバース内で購入した商品が実際に家へ届く」など、さらなる現実世界との連携を目標に活動していくと語っており、ほかの企業でもメタバースを導入した現実世界との連携を図り着々と準備を進めているのです。

ユーザーのアバターと行動

メタバース内のアバターは、現実世界にいるユーザーの代わりにさまざまな行動を起こします。

皆さんはアバターを作るとしたら「現実世界の自分と似せる」「まったく違う自分にする」一体どちらを選ぶでしょうか。

近年研究が進んでいるメタバースですが、実はアバターに関する面白いデータがあるのです。

・アバターによって人々の行動は変わるのではないか

・現実世界でも新たな自分として生まれ変われるのではないか

アバターといえば「自分の分身」と考える人も多いでしょう。そのため現実世界にいる自分と同じ髪型・髪色・顔の特徴を選ぶ人もいるかと思います。

しかし、現実世界の自分自身に劣等感を持っていたり、「私はこんな自分になりたい」という思いを胸に、現実世界とはまったく違う自分を作り出したりする人もいます。

後者の場合、メタバースを利用することで、もしかするといままで現実世界で自分がなりたいと願っていた「自分」になれるかもしれないのです。

アバターという新たな身体、自分を与えられることによって「現実世界において抑制されていたものから解放されて自由になれる」という効果があるとされています。

例えば、現実世界でコミュニケーションが得意ではない人であれば、アバター上ではコミュニケーション力が高く、とても明るいイメージのアバターを作った場合、仮想空間ではそれに合うように積極的にコミュニケーションがとれるといった可能性があると考えられているのです。

こうした経験を積み重ねることで、現実世界での行動や思考にも変化が見られる可能性もあるのだとか。

加えて、研究では見た目や言動だけでなく、その人が持っている能力に関しても影響を及ぼすことが分かってきています。自分を変える、そんな可能性もアバターには隠されているということですね。

また私たち人間には「思いこむ力」「自己暗示力」というものが備わっています。

「自分はこうだ」と日常的に思っていれば自然と考えや行動がそのとおりになるというものです。このような思い込みによって効果が発現することをプラシーボ効果(プラセボ効果)ともいいます。

ではプラシーボ効果とは一体どのようなものか、例を挙げてみましょう。

(例1)Aさんは頭痛がひどく、市販薬では効かない。そのため、病院で頭痛に効く薬をもらって服用した。薬を服用できたことでしばらくすると痛みが改善した。

しかし、実際に処方された薬が市販薬だったのです。

ではなぜ痛みが改善したのか。それは「医師が処方した頭痛薬であれば痛みは改善するであろう」と自分の中で考え、信じていたことによるプラシーボ効果だと考えられるでしょう。

次の例を見ていきます。

(例2)B子ちゃんは公園で遊んでいる際、転んでひざをすりむいてしまった。痛くて泣いているとお母さんが「痛いの飛んでいけ」とひざに魔法をかけてくれて痛みが和らいだ。

これもプラシーボ効果の1つといえるでしょう。なぜなら「魔法」に効力はないからです。

ただ、B子ちゃんはお母さんの魔法によって痛みは飛んで行ったと思い込んでいるために、痛みが和らいだのではないかと考えられますよね。

このような状況と似た現象がメタバースのアバターで起こるのではないかと考えられているのです。

ただし「そんなわけはない」「信じない」と思っていればプラシーボ効果は働きません。これをノーシーボ効果といい、メタバースで自分を変えられると信じていれば、本当になりたい自分へ変身できるかもしれません。ぜひ信じてみてはいかがでしょうか。

メタバースのテクノロジー

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次はメタバースのテクノロジーについて解説します。

VR(バーチャルリアリティ)

冒頭で「メタバースとVRの違いは何か」について軽く触れましたが、改めて、VRとは何か見ていきます。

VRとは「Virtual Reality」の略で「人工現実感」や「仮想現実」と訳されることが一般的です。

現実世界ではないけれど、VRを利用することで実体験に限りなく近い体験が得られるというもので、VRを通して見た世界がまるで現実世界かのように感じます。

以前プレイステーションを販売しているSONYがVRの機器を発売した時は、新しい世界観と物珍しさに爆発的な人気でなかなか手に入らないこともありました。

メタバースは仮想空間そのもの、VRは手段と解説したとおり、VRはメタバースの世界を構成する要素『デジタルツイン』の1つです。

デジタルツインとは、現実世界にある情報をloT(パソコンなどからインターネットにつながる仕組み)などで集めて、送信されたデータを元に仮想空間で再現する技術を指します。

近年テレビゲームなどで使用されることも多く、家電量販店などではVR体験と称して実際にVRゴーグルを装着して体験できる場所も増えているようです。

メタバースで作り出す仮想空間に臨場感を与えてくれるVRを組み合わせることで、更にリアルな世界を演出できます。

AR(オーグメンテッドリアリティ)

『AR(オーグメンテッドリアリティ)』とは、目の前に見える現実世界にコンピューター内に存在している関連情報を重ね合わせて表示する技術のことです。

先ほど解説したVRが「VR技術によって再現されたメタバース」であれば、ARは「AR技術を活用した現実世界がベースになったメタバース」となります。

例を挙げると、老若男女問わず大人気のアニメ『ポケモン』が現実世界で遊べる『ポケモンGO』にもこのARが使用されています。

ポケモンと出会ってバトルをする際、ARボタンを切り替えると、背景が現実世界に切り替わり、本当に目の前でポケモンが存在しているかのような状態になります。

ゲーム以外にも美術館など、AR機能を搭載したヘッドマウントディスプレイと呼ばれるゴーグルのようなものをかけた状態で絵画を観ることにより「絵と絵画の情報」を同時に楽しむことができるなど、さまざまな場面でARが使用されているのです。

ブロックチェーンと暗号資産

ブロックチェーンとは「取引履歴を暗号技術によって1本の鎖のようにつなげる技術」です。

総務省の平成30年版情報通信白書によると、ブロックチェーン技術は仮想通貨等に用いられている基盤技術とされています。

分かりやすくいえば、過去から今までの取引を暗号技術で正しく記録して長々とつなげていき、記録されたデータを改ざんできないよう加工して保存できる技術です。

このブロックチェーンを基盤にしたプラットフォームでは「NFT(非代替性トークン)」と呼ばれる唯一無二性を持つデジタルデータを作成したり、売買したりすることもできます。

そして近年、上記で解説したブロックチェーン技術をメタバース内でも活用し、NFTや暗号資産(仮想通貨)の売買可能なプラットフォームがいくつも作成されていることにより、新たなビジネスチャンスとして注目する企業も増えているのです。

メタバースの具体的な利用例

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次は今後も拡大していくメタバースについて具体的な利用例を解説します。

ソーシャルメディア

多くの人々が自分の日常を発信したり、コミュニケーションを取ったりするソーシャルメディアにおいても、メタバースを利用するとさらに人々の触れ合いが身近になります。

現在のソーシャルメディアはお互いのSNSアカウント上でやり取りをおこない、日常を垣間見るための存在です。

そこにメタバース、つまり仮想空間を加えることで次のようなメリットが考えられます。

・表現力に豊かさが加わる

・現実空間と仮想空間で切り分けができる

・経済活動もできる

私たちが誰かとSNS上でやり取りする際、相手に自分がどのような感情かを伝える手段として、絵文字や顔文字、スタンプを使います。

しかし、どの伝え方に関しても人それぞれの詳細な感情、表現力を完璧に再現することは難しいです。そこでメタバースを取り入れられれば、アバターが自分の思ったように動いてくれるため、表現力に豊かさが生まれます。

また現実世界の自分と、仮想空間のなりたい自分に切り分けられるため今よりも更に幅広い人々と交流することもできるでしょう。

そのほかにも、髪型や服装、目の形などアバターを変化させるために必要な素材を作成して販売する作家も登場することで、ソーシャルメディア内での経済活動にも利用できます。

ゲームとエンターテイメント

メタバースとゲームは切っても切れない縁です。

アバターによるユーザ同士のコミュニケーションや協力プレイはもちろん、それぞれが自分自身の理想とするゲームを作り上げることもできます。

例えば、サバイバーゲームやRPGなど終わりがあるゲームではなくて、「こんなゲームにしたい」「クリア後はこんな要素を入れたい」など人々のアイディアが実際のゲームに活かされるのです。

また先ほど解説したNFTを取り入れれば、現実世界のようにユーザー同士でゲーム内に必要な物資を売買することもできるうえ、現実世界で換金することもできるでしょう。

近年流行っているプロゲーマーのように、大好きなゲームをしてお金を稼ぐという行為が誰でもできるようになると考えればメタバースの可能性は底知れません。

ゲーム以外にも参加型のライブや、現実世界にある地域や国を再現した世界で自由に行動できる点からエンターテイメント性にも魅力が集まります。

教育

2020年、全世界に広まってしまったコロナウイルス。

授業の不足時間は約160時間ともいわれており、学校側はZoomなどを利用したオンライン授業や、1日の授業時間を増やすなどさまざまな対策を講じてきました。

コロナウイルスが収束を迎え始めた2023年現在でも、通常終えているべき授業時間が不足しているケースも多く、授業不足以外にも教師不足や学力不足を不安視する親御さんも多いといいます。

そのほかにも、事情があって学校に行けない学生などの教育問題は深刻となっています。そこで次世代のオンライン授業として期待されているのがメタバースです。

・時間や場所に関係なく学ぶことができる

・現実世界では体験できないものを疑似体験できる

・学習に関心が持てない学生でもゲーム感覚で教育が受けられる

義務教育から独学で学習を進めたい人まで、メタバースであれば時間や場所に邪魔されず学びたいだけ学ぶことができます。

また現実世界では安全性の確保が難しい体験でも、メタバースならば安全に疑似体験でき、勉強嫌いな子であってもゲーム感覚で教育を受けることもできるでしょう。

しかし、現時点ではコンテンツの量が不足していたり、導入している学校が少なかったりと教育に関するメタバースは発展途上です。

加えて、メタバースでの交流に慣れてしまうと現実世界での対人関係に影響が出るのではないかと考えられる点も踏まえて、問題点をクリアできればメタバースがメインとなった教育も増えるかもしれません。

ビジネスとマーケティング

メタバースの影響はビジネスとマーケティングに新たな風を吹かせています。

ここまでで解説したメタバース内での店舗出店やライブなどのイベントは「お店に行きたいけれど時間がない」「ライブ会場まで遠い」などユーザーの悩みを解消できる力を秘めているでしょう。

またメタバースビジネスやメタバースマネジメントには次のような可能性も秘めています。

・メタバースによるショールームの設置

・メタバースによる交流会

・メタバースによるミーティング

・メタバースによるバーチャルオフィスなど

メタバースによるビジネス・マーケティングは誰でも気軽に参加できる点が魅力です。ビジネスやマーケティングのためにかかる経費を削減し、より質のいいサービスを提供できます。

またメタバースであれば空間や人数に制約がありません。大勢でのミーティングやバーチャルオフィスなども手軽に作り上げられる点もメリットです。

ユーザーや従事する人員の利便性が高まることはもちろん、新たな経済源としても、メタバースは類まれなる才能を発揮してくれるでしょう。

メタバースのビジネスへの影響

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次はここまでで解説した内容を含め、メタバースのビジネスへの影響を解説します。

新たなマーケットチャンス

近年、注目を集めているメタバースビジネス。中でも有名なのは「バーチャルマーケット」でしょう。

バーチャルマーケットとは、メタバース上で開催される世界最大規模のオンラインイベントです。

2021年に開催されたバーチャルマーケット6では、73社の出店企業と100万人を超える来場者数を記録。世界最大のVRイベントとして、ギネス世界記録にも認定されました。

このほかにも『バーチャル渋谷』などのイベントや幅広いシーンで適応できるメタバースは、新たなマーケットチャンスとして目をつける企業が増えています。

その証拠として一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は2022年12月15日に「仮想空間メタバースなどの先端技術市場の2030年世界需要額は約320兆円に達する見込みだ」と発表した程です。

2021年時点から約3倍の見込みとされており、年平均での成長率は13%と、1つのマーケット市場として経済に影響を与えています。

広告の進化

メタバースは仮想空間内に現実世界を再現させることができるため、いままでのようなテレビや電車の広告を進化させ、さらにユーザーを集客するメリットがあります。

例えば現実世界にあるデパートをメタバース内で再現し、実際に商品を間近でチェックできることや、いつでもどこからでもアクセスできる利点によって広告の効果をアップさせられるでしょう。

(例)

・デパートをメタバース内で再現

・店舗をメタバース内で再現

・車の試乗をメタバース内で再現

・観光名所をメタバース内で再現

メタバースは実際にその場で商品を見たり、体験したりできます。

これはいままでの文章が画像、映像だけでは体験できないものを気軽に体験できるため、ユーザーの顧客満足度にもつながり、新たな顧客の獲得にもつながるでしょう。

仮想不動産の台頭

メタバースの恩恵を大きく受けられる業界として「不動産」も、その1つです。

・不動産の内見から契約までメタバースで完了させる

・メタバース内でバーチャル展示場を作成する

・メタバース内で不動産を建設する

・メタバース内で不動産の売買をおこなう

不動産の内見や契約までをメタバース内でおこなえるようになります。またバーチャル展示場など、わざわざ足を運ばずとも不動産を確認、購入できる点も魅力です。

そのほかにも、現実世界の不動産に関するメタバース以外にも、メタバース内でマンションやアパートなどの物件を建設し管理したり、売買をおこなったりすることもできます。

メタバース内で建設する不動産は、現実世界にある経年劣化の概念がありません。

そのため、家賃収入の減少や大規模修繕にかかる費用など金銭面のリスクもないことから、ユーザーからの需要が下落する心配もないというメリットがあります。

加えて、メタバース内の不動産は立地などによって異なるものの、安いと数万円〜数十万円程で購入できる不動産も多く、現実世界でマイホームを夢見ている人やご自身が自由に生活できる別荘が欲しいなど、なかなか叶えづらい夢も気軽に叶えられるのです。

しかし、メタバース内での不動産は仮想通貨などによって価格が左右されやすいことや、一過性のブームであって将来性に不安が残るのではという点はデメリットといえるでしょう。

メタバースと法律

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次はメタバースと法律について解説します。

知的財産権の問題

知的財産権とは私たち人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物など財産的な価値を持つもの「知的財産」に関して、法律で規定された権利や保護される利益に係わる権利のことです。

知的財産権には「特許権」や「実用新案権」などが含まれます。

仮想空間上に作り出されるアバター、景観、アイテムなどは、現実世界の個人、景観、アイテムと同様に考えるべき点もありますが、実用性や機能性が全く異なるなど、仮想のものであるがゆえに同様の扱いができない場合も多いです。

ベンチャー・スタートアップ弁護士の部屋より引用

メタバース上で利用できる服や雑貨は実体ではなくデジタルデータとして扱われるため、現時点の日本における法律では、模倣がおこなわれても裁くことが難しいとされています。

しかし、現状のままメタバースの利用者が増えていけば必ずトラブルの火種となり得る問題です。

そこで2023年2月、経済産業省は「メタバース上で模倣品の製造や販売を禁止する法律の改正案」をまとめて通常国会に提出すると発表しました。

この改正案が承認されれば、メタバース内で模倣品が確認された場合、裁判所に差しどめの請求ができるようになるなど、知的財産権は保証されることとなります。

プライバシーとセキュリティ

メタバースで懸念されるプライバシーやセキュリティ。

中でも特に危険視されているのは「なりすまし」です。

アバターは世界にたった1つというわけではないため、悪意のある第3者によるなりすましによって個人情報漏洩や詐欺などに合う可能性もあります。

またセキュリティ面では、大企業など通常では関ることのない相手に対してもメタバース内では気軽にコミュニケーションを取れることから、なりすましを受けて企業の情報が漏洩する危険性もあるでしょう。

そのほかにも、なりすましによってフレンドとの関係を悪化させられたり、保有していた仮想通貨を売却されたりなどの懸念もあります。

これらの点を踏まえてメタバースを利用する際やメタバースの運営者は自身やプライバシーとセキュリティ対策を徹底する必要があります。

・ログイン時のIDやパスワードはほかの人に特定されないものを選ぶ

・二段階認証・多要素認証などセキュリティを強固なものにする

・IPアドレス制限の追加など

メタバースでは取り扱われる情報量が多く、どれだけプライバシーとセキュリティを強固なものにできるかが重要です。一度個人情報などが漏洩してしまえばメタバース内だけでなく、現実世界でも大きな被害となるケースもあるため、利用する際は徹底した対策を練る必要があります。

メタバースの社会への影響

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次はメタバースの社会への影響を解説します。

人間関係の変化

メタバースは地域や国籍関係なくさまざまな人々と知り合える場所です。

そのため、現実世界では友人関係が乏しい人でもメタバース内で多くの人々と友達になることができるなど、人間関係に大きな変化を与えられます。

またメタバースは外見ではなく内面同士の関係となるため、現実世界では予想もつかないような人々と出会い深い関係を築くこともできます。

ただし、人間関係の交流が広くなればそのぶん、プライバシーやセキュリティ面に対してリスクが大きくなる点もしっかり意識しておくべきでしょう。加えて実際に顔を合わせてコミュニケーションを取るわけではないため、偽の情報にも踊らされやすい点はメタバースならではのデメリットといえます。

情報の取捨選択をしっかりおこなわないと、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性もあるため注意してください。

ライフスタイルの多様化

メタバースでは仮想空間内での生活や、現実とメタバースを組み合わせたリモートワークとデジタルのコラボレーションなど、ライフスタイルの多様化を促進します。

人それぞれが求める多様なニーズへ柔軟に対応できるメタバースが幅広いシーンで新たな改革を与えてくれるでしょう。今後メタバースの認知度が広まり、個人から企業までメタバースを活用したライフスタイルが増えていく可能性も考えられます。

また現実世界では体験できないものを体験できるようになることで、今よりも豊かなライフスタイルを築いていける鍵としてメタバースが活躍することも考えられるでしょう。

働き方の進化

メタバースは、仮想空間内で店舗を出店させることもできます。

そのため、現実世界ではなく「メタバース内で働く」など働き方にも進化を与えるでしょう。

メタバース内で働くとなれば時間や交通費などの制約から解放されることや、働いてみたいけれど社会に出ることが不安な人材や、身体が不自由で働きに出られない人など、さまざまなニーズを持った人材を確保できる可能性も高まります。

メタバースの未来

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最後に、ここではメタバースの未来を考えていきます。

テクノロジーの進化とメタバース

メタバースの進化にはテクノロジーの進化が必須です。

ここまでの状態になるまでブロックチェーンやVR、ARなどさまざまなテクノロジーの進化があってこそ、今のメタバースになりました。

また私たち人間は常に進化を遂げる生物です。進化を遂げる私たちに伴って、テクノロジーも進化していきます。

テクノロジーが進化するということは、今メタバースで感じているデメリットや懸念点も今後は改善されていく余地があるということ。まだまだメタバースは余力を残しているのです。

数年後、数十年後にはメタバースが定着化して今よりも便利かつ豊かな未来が待っているかもしれません。

メタバースの可能性

上記で解説したとおり、メタバースはまだ発展途上です。

今後課題や問題点が改善されれば、さらに人々から愛されるテクノロジーとなるでしょう。

メタバースは私たちが希望や夢を抱く限り、そして技術を極める人々がいる限り、常に可能性を秘めている存在といえます。

「自分だけのユートピアを作る」「好きなことをしてお金を稼ぐ」「家にいながら旅行」など、私たちが叶えたいけれど現実では難しかったものを叶えられるかもしれない、そんな期待を背負っています。

メタバースの課題と問題点

ここまでメタバースの素晴らしい魅力を余すことなく伝えてきましたが、メタバースには今後クリアすべき課題と問題点があるのです。

最も課題・問題点として挙げられるのは「メタバースへの依存」でしょう。

現実世界と変わらないクオリティの仮想空間となりたい自分でいられる世界を提供するメタバース。

誰でもメタバースに魅了され「できることならずっとここにいたい」と思いますよね。

今以上にメタバースが進化して利便性が高まればメタバースの世界から帰ってこなくなってしまう人も出てきてしまうのではという懸念もあります。

次に先ほども解説したプライバシーとセキュリティです。

こちらは早急に対策を考え、今後のメタバース運営に向けて対策が必要となります。

そのほかにも、一部の人々からは「アバターは古い」という声や、VR機器が安くても5万円前後〜と手軽に購入できる金額ではないため普及しにくいのではという声も挙げられています。

これらの課題と問題点をどのように解消していくかによって、爆発的な人気と進化を続けていけるのか、特定の層や企業が使用する程度で留まるのか決まってくるのではないでしょうか。

メタバースの課題と未来

仮想空間内で生活をしてお金を稼ぐ、理想の自分でいられる、これらの点を考えれば現実世界からドロップアウトしてしまう人もいるのではないかと懸念を感じる人もいるでしょう。

メタバースにはよい点も豊富にありますが、依存性やプライバシー・セキュリティ面など解消しなければならない課題や問題点も豊富にあります。

どのようにメタバースを利用すべきか、今一度ご自身や周囲の人と相談しながら今後訪れるであろうメタバース時代に備えて、賢くメタバースを活用できるよう考えてみましょう。


[文・構成/grape編集部]