多部未華子、松下洸平、今田美桜神尾楓珠が“クアトロ主演”を務めるドラマ「いちばんすきな花」(毎週木曜夜10:00-10:54、フジテレビ系) の第8話が11月30日に放送された。4人が知るも、それぞれ抱くイメージが異なっていた美鳥(田中麗奈)。その“答え合わせ”が始まった。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】物語のキーとなる美鳥を演じる田中麗奈

■4人が知る“志木美鳥”とは

社会現象にもなったといわれる2022年10月期のドラマ「silent」(フジテレビ系)のプロデューサー・村瀬健氏と脚本家・生方美久氏が再びタッグを組んだ本作。「男女の間に友情は成立するのか?」という永遠の命題をテーマに、違う人生を歩んできた4人の男女が紡ぎ出す“友情”と“恋愛”、そしてそこで生まれるそのどちらとも違う“感情”を描く。

学習塾の講師をしている34歳の潮ゆくえを多部、出版社に勤める36歳の春木椿を松下、美容師で26歳の深雪夜々を今田、コンビニで働きながらイラストレーターを夢見る27歳の佐藤紅葉を神尾が演じる。

前回明らかになった椿の家に以前住んでいた志木美鳥。それは偶然にも4人が知る名前だった。それぞれが抱く人物像が重ならなかったが、第8話はその“答え合わせ”が展開していった。

唯一、現在の美鳥の連絡先を知るゆくえは、「その人の前だけの自分ってあるしね」とまずは自分と美鳥、2人だけで会った。美鳥は、“かわりばんこ”に1人ずつと会っていくことに。

■ほろりと涙が流れた椿と美鳥の再会

中学2年生以来の再会を果たした椿と美鳥。前回、「先生もクラスメートも怯える」元ヤンだったと美鳥のイメージを語った椿。「けが、もうしてない?」と問い掛け、「してない。もう、けんかしてない」という美鳥の返事に、安堵したような表情を見せ、2人は涙ぐんだ。

中学時代、椿の家の稼業である生花店の店先にあった花を見ていた美鳥に椿が声を掛けたことがきっかけで、美鳥はたびたび椿の家を訪れるようになった。そこで椿が教えた将棋をしたり、椿の母に料理を教わったりしていた。将来の話をしたとき、「家が欲しい」と言った美鳥が描いた絵は、いま椿が住んでいる家にそっくりだった。

だが、ある日、美鳥は突然来なくなり、転校してしまった。

美鳥自身がけがの原因を“けんか”と言っていたが、誰とだったかは明確にされなかった。ただ、椿のナレーションで「一方的な暴力でもけんかというのだろうか」とあり、つらいことが頭をよぎる。家庭環境が複雑であることは、その後の夜々とのエピソードで明かされた。

■椿と夜々の思いがけないつながり

夜々にとって美鳥はいとこだ。夜々が知る昔の美鳥は、椿とは異なる「ぽわぽわして穏やか」な印象だった。それは、美鳥が高校生の頃で、親戚中からは“嫌われ者”だったという。

親戚をたらいまわしにされ、夏休みを夜々の家で過ごすことになった美鳥は、母親から「女の子やけん、あれはせんでいいって」と言われていた6歳の夜々に、内緒で将棋を教えた。

第5話で、将棋のプロ棋士になりたかったと明かしていたが、そのきっかけとなったのが、椿に手ほどきを受けた美鳥だった。

さらに夜々と久しぶりに会った美鳥がふるまったお手製のロールキャベツに「ママよりママの味」と喜んだ夜々。それは椿の回想シーンで椿の母から教えてもらっていたもので、第6話終盤で椿の母が作った煮物を「懐かしい」と言ったのも、つながっていたのだ。

4人が異なる印象を持っていた美鳥のことをテーマにゆくえが塾の生徒と話しているシーンで、生徒は人によって見え方が違うことを「円すい」にたとえた。ゆくえは「見てる方向が違うだけの人がさ、奥行き無視して勝手に丸だ、三角だって言い合って、それって円すいからしたらどう思うんだろ」とつぶやいた。

中学時代の椿の同級生、夜々の親戚、“みんな”が避けていた美鳥だが、椿にとってはずっと心に留める存在であり、夜々にとっては大好きないとこ。そして、ゆくえも「みんなに嫌われてたじゃん」と過去を振り返った美鳥に、「みんなじゃないよ。私と赤田(仲野太賀)は好きだったよ。好きだよ」と告げていた。

人と人のつながりは何と不思議で温かいものだろう。“みんな”にならない人がいてくれることの救いも感じる展開だった。

紅葉は、ゆくえ、椿、夜々とは少し違って、美鳥とは仲良しな関係ではないが、美鳥の別の一面とつながりがどう描かれていくのか、楽しみだ。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

夜々(今田美桜)と美鳥(田中麗奈)の過去が明らかに/(C)フジテレビ