収録取材に臨んだ天心。(C) CoCoKARAnext

「(自分は)メチャクチャ、格好いいなと思った。期待のできる選手ですかね」

 去る9月18日に東京・有明アリーナで行われたメキシコのバンタム級王者ルイス・グスマン(メキシコ)との一戦における自身のパフォーマンスを問われた那須川天心(帝拳)ははにかんだ。取材時間はわずか15分足らず。そんな短い取材でも彼は何か印象を残す。だからこそ興味は尽きない。

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 11月30日に都内で行われたWOWOW「エキサイトマッチSP」の収録に参加した天心は、ゲストとして招かれた元世界3階級制覇王者の長谷川穂積らとともに、グスマン戦を“セルフ解説”。プロデビューから2戦目で見せた激闘を振り返った。

 8回判定勝ちを収めた一戦は圧倒的な優勢だった。対峙したのは、メキシコのバンタム級王者という難敵だったが、2度のダウンを奪うなど攻勢を強めた天心は、危なげない試合運びを披露。今年4月に与那覇勇気(真正)と拳を交わしたプロデビュー戦からの成長を感じさせた。

 しかし、キックボクシングで42戦無敗を誇った「神童」への期待の大きさゆえか。戦前に「やってやるよ」とKO宣言をしていた天心の下には一部のファンから批判の声が噴出。よりセンセーショナルな結果を求められたわけである。

では、賛否両論を巻き起こした試合の自己評価はいかなるものか。収録後の囲み取材の場で「いろんな課題がやっぱり見える」と語り出した天心は、こう言葉を紡いでいる。

「1戦目に比べて、練習してたことはほぼ全部出た。できなかった部分を繰り返しやってく作業をしていくだけだなという風に思いました。だから希望が見える試合だったというか。伸びしろはまだまだある。次がまた楽しみだなと思っています」

 さらに元世界王者である長谷川と試合を振り返る作業に「いろんな視点でアドバイスいただけたりした。長谷川さんと話して、『なるほどな』って思うことは多々あった。学びに来たっていう感覚でした」と刺激を得た25歳は、ボクシングでの課題も独特な表現でもって語っている。

「実践に勝るものはないですし。飛び級で出来るものでもない。それが全てできたらつまらないんで。うまく行っているかもしれないですけど、自分の中で完璧なものが見えないのは逆に楽しい。そういう人生の方がいい。たぶん急に、ある時にふっとできるようになると思うんです。意識してれば。

『こいつとちょっとあんま合わないな』って思ってたのに、ちょっと話したら、急に仲良くなるみたいなことがあるじゃないですか。下の名前で呼び始めたら仲良くなるとか。そういう時が絶対来ると思う。ボクシングと仲良くなる。『キャプテン翼』じゃないですけど、『ボールと友だち』みたいな。ボクシングと仲良くなっていかないと」

 1月下旬に行われる予定となっている次戦に向けては、「前回よりも面白い試合がしたい。自分の可能性だけを信じ切りたい」と語る天心は、「まだ初めて1年ですから」とも強調。「縮こまって終わりたくない。常に新しいスタイルを築きたい。根本は変わらないですけど、変化していくところは見せていきたい」とポジティブに語った。

 たしかに求められた結果を残せず、“逆風”にはさらされた。そうしたなかでも常に前向きに語り続けるスタイルは、無敵を誇ったキックボクシング時代から変わらない。「ボクシングと仲良くなる」ことを目標に掲げる神童の進化はまだまだ続きそうだ。

 なお、WOWOW「エキサイトマッチSP『寺地拳四朗vsブドラー』『那須川天心vsグスマン』」は、ライトフライ級の頂点に君臨する寺地拳四朗と元2階級王者ヘッキー・ブドラーの激闘に加え、“神童”那須川天心のボクシング転向第2戦のルイス・グスマン戦をそれぞれ本人が解説する。12月11日午後9時からWOWOWライブ、WOWOWオンデマンドで放送される。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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