映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』より、予告映像が解禁。また、本作を鑑賞したYOU、西川美和監督、土屋アンナほか著名人から絶賛コメントが到着した。

【動画】YOU、土屋アンナ、映画監督の西川美和のコメントの一部も流れる、映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』予告映像

 本作は、短編『ボン・ボヤージュ』が世界各国の賞を受賞したマーク・ウィルキンス監督の長編デビュー作。ベストセラー作家のオランダ人作家アーノン・グランバーグの小説『De heilige Antonio』をもとに、ニューヨークの片隅で疎外されて生きる移民の母と息子たち、その痛切な葛藤と成長を、やさしい眼差しで描き出す感動作だ。

 安定した生活を夢見て祖国ペルーを捨て、NYで不法移民として暮らすデュラン一家。母ラファエラはウェイトレスをしながら2人の息子を女手一つで育て、息子たちも配達員として家計を支えるギリギリの毎日。街から疎外された自分たちを“透明人間”だと憂う2人の息子は、謎を秘めた美しい女性クリスティンと出会い、恋に落ちる。一方、母ラファエラも白人男性からの耳触りのいい話に誘われ、飲食店を開業するのだが―。

 アメリカン・ドリームを夢見る母と年頃のピュアな息子たち。そんな“大都会の弱者”である貧しい移民家族に訪れた悲劇。日陰で生きる“何者でもなかった”彼らが恋をして、大切な何かに気づき、はじめて“自分”として生きる意味を見出していく。貧しくも懸命に生きる姿をNYでの大胆なロケと、ウィットに富んだ詩的な映像美で紡ぎ出し、真の幸せとは何かを問う。

 南米ペルーのオーディションで選ばれたシンデレラボーイ、アドリアーノ・デュランマルチェロデュランは本当の双子で、本作が映画デビュー作となる。母ラファエラ役には、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作『悲しみのミルク』などで知られる国際派女優のマガリ・ソリエル。ミステリアスな美女クリスティン役には、今注目の若手女優タラ・サラー。そして、ベテラン個性派俳優サイモン・ケザーなどが脇を支える。

 解禁された予告映像では、ペルーからNYへと移り不法移民として暮らすデュラン一家が、大都市で居場所もなく肩身の狭い生活を送る様子が切り取られている。息子のティト自転車でフード配達中に車に衝突され、転んでケガを負うが、訴えることもできずに仕方なく謝る姿や、ウェイトレスとして働く母のラファエラが、店主に独立して店を始めると話すと、「英語もろくに話せないくせに。冗談だろ」と鼻で笑われてしまう姿にやるせない気持ちになる。

 一方で、そんな日陰で生きる彼らを照らすひとすじの愛が訪れる。息子たちは謎を秘めた美女クリスティンに恋をし、母は働く店の客で、新たに始める店に投資を持ちかけてきた白人男性のエドワルドにそれぞれ恋をする。しかし、彼らはあるトラブルへと巻き込まれてしまい…。

 また、本作を一足先に鑑賞した著名人から絶賛コメントが到着した。タレントのYOU、映画監督の西川美和、モデル・シンガーアーティストの土屋アンナから寄せられたコメントの一部は、予告映像内でも流れる。

 映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』は、2024年1月12日より全国公開。

 YOU、西川美和らのコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

YOU(タレント)

幸せを掴もうとするたびに
彼らは伸ばした手を振り解かれ 身体中傷だらけだけれど
その瞳には力が宿り 大切な者を捕らえて決して離さなかった。
私たちはあんな目をしていますか?
私たちは幸せなんでしょうか?

土屋アンナ(モデル、シンガーアーティスト)

不法滞在・差別・強制送還への不安な毎日
描いていたAmerican Dreamとはあまりにもかけ離れたNewYorkの現実の中で、
それでも夢を追いかけて生きて行こうとする2人の兄弟とその母親
これがこの時代で起きている事の不条理さに怒りと悲しみで心が痛みます
その中でも親子の絆と深い愛情に救われます

■サヘル・ローズ(俳優、タレント)

大都会NY、希望を抱く人々。
だが、現実は残酷の斧を振り翳し、人権を破壊する。
笑顔の裏側で泣く2人の道化師が愛した2人の女性。
ここにいるのにここにいない感覚に蝕まれていく心はいつしか透明人間と化した。
現代社会そのものの写し鏡だ。

■西川美和(映画監督)

移民を扱った映画は重苦しく、腰が引ける人が多いと思うが、この作品のキャラクターたちは親しみやすく、物語も掴みやすい。子供たちが観てもいい作品だと思う。

私は、主人公一家が「ママの味のブリトー屋」を営むことに疑問を抱いていなかった。でも彼らはメキシコ人ではないし、ブリトーなんて馴染みもない。彼らが沈黙のまま受け入れている数々のことを、私もまたきっとたくさん見逃しているのだろう。

何とか居場所を保とうと、柔和に微笑みながら粛々と暮らす「どこかから来た人」が私たちの周辺にもたくさんいる。彼らが、隅の方で国の言葉でこっそり囁き合っている言葉を、耳を澄まして聞けるような映画だと思う。

映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』場面写真 (C)2020 ‐ Dschoint Ventschr Filmproduktion / SRF Schweizer Radio und Fernsehen / blue