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 NASA最後の有人月面着陸となったアポロ17号のミッションで持ち帰られた月の岩石を分析したところ、そこに水素が含まれていることが判明したそうだ。

 この発見が非常に重要なのは、将来行われる月でのミッションで、北極や南極以外でも水を利用できるかもしれないからだ。

 そうした水は、宇宙飛行士の生命維持に欠かせないだけでなく、地球-月間の往来や、それよりもっと遠くの宇宙へ行くためのロケットの燃料にもなると期待されている。

【画像】 アポロ計画最後のミッションの手土産、月の岩石

 水素が見つかったのは、公式上アポロ計画の最後の飛行、1972年12月に行われたアポロ17号ミッションで月から持ち帰られた「79221」と呼ばれる土壌サンプルだ。

 そこに含まれていた水素は、常に月面に吹き付けられている太陽風や、彗星の衝突などによって作られたものと考えられている。

 その重要性について、月の水素は将来のミッションで使われる貴重な資源であると、アメリカ海軍研究所の地質学者キャサリン・バージェス氏は、プレスリリースで述べている。

月面で恒久的な設備が置かれるようになれば、水素にはそこで直接利用できる資源となる可能性が秘められています

月に向かう前に資源を見つけ、それを集める方法を考案するのは、宇宙探査にとってとても大切なことです
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アポロ17号最初の船外活動で月面車を運転するユージン・サーナン宇宙飛行士 / image credit:NASA

月の極地以外でも水が使用できる可能性

 NASAの試算によると、水のびん1本を月へ打ち上げるには数十万円かかる。そうした多額の費用を削減するためのアイデアが、月の氷から水を現地調達することだ。

 水は宇宙飛行士が月に滞在するために絶対不可欠なだけでなく、水素と酸素に分解すれば、月と地球を往復するロケットの燃料として使うこともできるし、火星やさらに遠くへ行くためにも使えるかもしれない。

 これまで、そうした月の氷の大半は、北極や南極にあるクレーター内の永遠に日が当たらない領域(永久影)で確認されてきた。

 だが2020年、NASAの飛行天文台「SOFIA」のデータから、月の水はじつは月面全体に氷として点在している可能性が明らかになった。

 そして興味深いことに、アポロ17号の宇宙飛行士たちが採取した月のサンプルは、各国が進出を目指す南極付近ではなく、赤道付近からのものだ。

 こうしたことから、発見された水素は「月の極地以外の地域でも、水素分子が安定して持続的に存在するだろうことを示す重要なもの」と、『Communications Earth & Environment』(2023年11月15日付)の論文で説明されている。

References:Hydrogen Detected in Lunar Samples, Points to Resource Availability for Space Exploration > U.S. Naval Research Laboratory > NRL News / written by hiroching / edited by / parumo

 
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アポロ17号が持ち帰った月の岩石から水素を検出。将来の月探査で利用できる可能性