寒くなると、猫などの動物がクルマのエンジンルームに入り込んでいることがあります。そのままエンジンをかけて悲惨な事故につながるのを防ぐべく、「猫バンバン」が推奨されていますが、万能ではないようです。

なぜ猫はエンジンルームに入り込む?

猫バンバン」の季節がやってきました――

11月以降、急速に寒くなってくるにつれ、クルマに乗る前に「猫バンバン」をすることを訴える人がSNSなどで増えてきています。

この「猫バンバン」とは、エンジンを始動する前にボンネットを軽くたたくこと。もし猫などの動物がエンジンルームに入り込んだままエンジンを始動すると、悲惨な事故につながることから、日産が2015年からこの運動を拡げています。JAF(日本自動車連盟)も、動物対策のひとつとして取り上げています。

JAFによると、2023年1月の1か月間で寄せられた「エンジンルームに猫が入り込んでしまった」という救援要請の件数は全国で19件。エンジン始動後に気づいて救援要請したとわかるケースも7件あったそうです。猫が暖かい場所を求めて入り込むケースは確かにあるようですが、実は年間通じて対応依頼があります。

実際にもっと多いのは6月、梅雨のシーズンであることもわかっています。2022年6月の救援要請の件数は全国で284件に上ったそうです。猫が雨を嫌がること、また子猫が増える時期であることなどが指摘されています。

JAFは雑誌「ねこのきもち」担当者のコメントとして、「都会では特に、外猫たちの隠れられるような場所がなくなったことも理由としてあると思います」「家猫の場合には、押し入れや、家具の隙間、こんな所に入ったのというようなせまい隙間が好きな猫は多いです」と紹介。とにかく、猫はエンジンルームのような暗くて狭い場所が好きなようです。

猫バンバンで猫気づく?

日産らの長年の活動もあり、「猫バンバン」は今や広く知られるようになりました。しかし、JAFはこれを対策のひとつとつつも「万能ではない」としています。

このようにボンネットを叩いて猫が外へ出てくるかは、個体差があるといいます。SNSでは、むしろパニックになり奥へ入り込んでしまうといった指摘も見られます。

JAFは、「叩いたあと猫の声や気配を感じたらボンネットを開け、中まで確認してください」と呼びかけています。また、エンジンルームだけでなく、車体の下やタイヤハウスの中など、周囲にも猫がいないか注意を払ったほうがいいでしょう。

ちなみに、実際に猫が愛車のボンネットに入り込んだ経験のある人に聞くと、内部は毛だらけ、ボンネットの内張りにも引っ掻いた跡が無数に残っていたとのこと。その後は整備工場でエアコンの脱臭、バッテリーカバーの交換などを行ったほか、エンジンルームを市販の金網でカバーしてもらったそうです。

猫はクルマの下やエンジンルームの中が好き? 写真はイメージ(画像:写真AC)。