映画『隣人X -疑惑の彼女-』(公開中)の公開記念舞台挨拶が12月2日、新宿ピカデリーにて開催され、主演の上野樹里、共演の林遣都、熊澤尚人監督が登壇した。

【写真を見る】公開初日に本作を夫と鑑賞したという上野樹里。ハンカチが見当たらず涙を拭えなかったと告白!

本作は、人間の姿をして社会に紛れる“惑星難民X”があふれる世界を舞台に、林演じる週刊誌記者の笹憲太郎が上野演じるX疑惑のかかった柏木良子に近づき、やがて2人に恋心が芽生えていく。

前日の公開初日には本作を夫の和田唱(TRICERATOPS)と共に鑑賞したことを明かした上野は、「夫が昨日誕生日で、一緒に観ました」とニッコリ。「内容を知っているのに、深く理解しているからこそ、何気ない表情や次にこうなると分かってそのシーンを観ている辛さ。どのシーンも不意打ちで突き刺さってきました」と感想を伝える。

「淡々としていて静かでしっとりしているテイストなのに、こんなにも強さやメッセージが伝わってくるのかと。いままでの人生で辛かったことや経験したことを詰め込んでいます」と作品に込めた思いを語り、一度では(作品の)すべてを受け入れきれないとし、自身も映画公開中は映画館に通い詰めることになりそうだと、観る側としても本作を気に入っている様子。

いろいろなシーンで不意に涙が溢れそうになったとし、「一応ハンカチを持ってきたのですが、それはお手洗いに行くために持ってきたもの。まさか涙を拭くために必要になるとは思わなくて…。カバンの底のほうに入っていたから、涙がダラダラ流れてしまって、間に合いませんでした(笑)」と、流れる涙を拭えなかったと話した。和田の感想は「面白かったけど、もう一度観たい」だったそう。想像していた通りのリアクションだったと前置きした上野は「試写でも『もう1回観たい』という声が多くて、自分自身もそうなっています」と語り、「膨大なメッセージが詰まっている作品を2回、3回と咀嚼しながら楽しんでいただけたらと思います」とリピート鑑賞をおすすめしていた。

イベントでは上野と林に熊澤監督から感謝の花束が贈呈される場面も。また、12月6日に33回目の誕生日を迎える林には、上野からも花束がプレゼントされた。撮影、プロモーションを通じて上野からいろいろなことを学んだという林。「会うたびに感動させられます。人を感動させられる力を持った方で、言葉も惹きつけられます。今日も舞台挨拶が始まる前に、お米をプレゼントしてくれました」と告白。前回のイベント時にお米にハマっていると話した林のコメントに対しての上野の気遣いに「綺麗な爪なのに、ダンボールをベリベリっと破って(笑)。僕にだけでなく、みなさんにとわざわざ持ってきてくれました」と微笑み、「ピュアで素敵な方。樹里さんが持っている人として大事な部分のようなものを持ち続けて、僕も歳を重ねていきたいです」と感謝を言葉にしつつ、抱負を語った。

最後の挨拶で熊澤監督は「無意識の偏見について新たな発見があるんじゃないかと思っています。大切な人と観て、大切な人と話し合ってもらえたら」とし、「1回目は笹目線で観るケースが多いと思います。2回目は良子の視点で見ると2倍面白くなったりします。何回も観ると新しい発見があります!」と呼びかけた。

上野は「どうしても動かせない社会の流れのようなものがあるなかで、どういう風に生きていくのか。数字とか文字とかでは表せない、見えないなにかをつかみにきてください。見えないなにかは感じることでしか見えてきません。自分自身の心の純度を知りたい方は、観て話して、どのくらいグレーなのか、黒いのか、ピュアなのか。自分の鏡として観ていただきたいです」とアピール。さらに「いろいろ振り返りながら、新年に向けて心のなかを見つめるきっかけになってくれたらいいなと思います」と年末に観るのにふさわしい映画であるとおすすめした。

取材・文/タナカシノブ

映画『隣人X -疑惑の彼女-』(公開中)の公開記念舞台挨拶で花束を手に笑顔の上野樹里&林遣都