【元記事を音楽ナタリーで読む】

SHINeeが11月28、29日に東京・国立代々木競技場第一体育館でアリーナツアー「SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION]」の最終公演を開催した。

SHINeeの5年ぶり日本ツアー、初日公演はさいたまスーパーアリーナで

SHINeeが日本でツアーを回るのは、2018年の「SHINee WORLD THE BEST 2018~FROM NOW ON~」以来、約5年ぶり。韓国でのデビュー15周年というメモリアルなタイミングも重なり、9月に埼玉・さいたまスーパーアリーナでスタートしたツアーは大きな注目と盛況の中で代々木第一体育館公演を迎えた。この記事では、28日の公演の模様をレポートする。

“宇宙船”で思い出の代々木第一へ

ひさびさの代々木第一体育館に、SHINeeは“宇宙船”で降り立った。ライブの幕開けに満員のファンを驚かせたのは、天井から吊るされたUFO風のセットの上に立つKEY、MINHO、TAEMINの姿。MINHOの「東京、ひさしぶり!」という声を合図に、UFOはメインステージからセンターへと体育館の上空を“飛行”する。オープニングナンバーの「Chemistry」を歌いながら、3人は客席一面の光の海を静かな笑みで見つめた。花道の先のセンターステージに静かに降り立った彼らは「Dream Girl」を続け、マイスタンドを巧みに操りながら軽快なステップを踏み鳴らす。客席からは彼らのパフォーマンスを盛り上げる息の合ったコールが飛び、2曲目にして大きな高揚感に包まれた会場。3人がグルーヴィに体を揺らした「Heart Attack」のラストには、KEYとMINHOがTAEMINの胸元でハートマークを作るキュートなワンシーンがオーディエンスの目を奪った。

SHINeeがメインステージに戻って届けた「Atlantis」では、キーの力強いロングトーンに呼応するようにステージ前方から花火が噴出。3人のダンスにもいっそうの熱がこもり、曲中にライトブルーのジャケットを脱ぎ去ったテミンはシャープな身のこなしで観衆を魅了した。この日最初のMCでは、5年ぶりの開催となった日本でのツアーについて触れたKEYが「代々木だけで言えば6年ぶりくらい」と語り、SHINeeが日本で初めて単独ライブを行った会場である代々木第一体育館への思い入れを明かす。TAEMINは今回のツアーで見せるステージは「みんなと一緒に作るステージ」だとファンに伝え「皆さんの呼吸、光、目線、香り、姿形、存在があってこのステージが完成する。『PERFECT ILLUMINATION』にはそんな思いが込められています。皆さんがいないとSHINeeはできないですから」と思いを語った。

TAEMINの「僕が特に好きな曲です」という紹介から始まった「Sweet Misery」では、涼やかなボーカルワークとダイナミックでありながら艶のあるダンスで曲の世界観を浮き上がらせた3人。センターステージの機構が3段の階段状に変化する演出とともに届けられた「CØDE」ののち、「Good Evening」のイントロが響くと客席からは大きな歓声が湧き上がる。スタイリッシュなサウンドに乗せ、3脚の椅子の上に立った3人がアイコニックなポーズを決めると場内の熱気はさらに上昇。回転するセンターステージの上、KEYは客席をじっと見つめながら自身のセリフパートを歌い、曲の最後に3人が見せた圧巻の踊り込みにも大きな歓声が上がった。

Body Rhythm×Guiltyの熱狂

ダンサーによるパフォーマンスブロックを経て、ワイルドなアーミー風ルックでステージに戻った3人は、「Don't Call Me」でこれまでのムードを一変させる。ファイヤーボールが噴き上がる中、鋭い視線を客席へと投げかけながらドープなヒップホップサウンドに身を委ねるSHINee。続く「Body Rhythm」では、アウターを脱ぎ去り鍛え上げられたスタイルをあらわにしたMINHOが歓声をほしいままにし、TAEMINは自身の楽曲「Guilty」のダンスを取り入れた動きで腹筋をのぞかせ、ファンの視線を一身に集めた。

KEYがストイックな歌唱で楽曲の勢いを牽引した「JUICE」までパワフルに駆け抜けると、続くMCでは一転、砕けたムードでマイペースに盛り上がる3人。TAEMINが突如「最近覚えた日本語は?」と2人に尋ねると、MINHOは「起承転結」と返答。するとTAEMINは「ミノさんにめっちゃ似合う日本語を教えてあげます。“無敵”。これからは『無敵のミノです』って紹介してください」と楽しそうにリクエストした。

“無敵のミノ”がタイトルコールした「Everybody」でライブを再開させた3人は圧倒的な熱量のパフォーマンスで場内の盛り上がりを加速させ、「View」でコールを巻き起こして一体感をより強固なものにしていく。そして「Downtown Baby」が始まると、今度はトロッコに乗り込み、ペンライトの光がカラフルに明滅するアリーナの客席エリアを進んでいく。ポップなサウンドに乗り、解放感に満ちた晴れやかな表情を浮かべる3人の姿は、客席に温かな高揚感をもたらしていた。

バラードに思い乗せたクライマックス

そして、ライブは「Replay」でクライマックスへ。ラメが輝くモノトーンの衣装に着替えてファンの前に戻った3人は、スモークが焚かれたメインステージで優しいハーモニーを響かせた。息の合ったボーカルワークが光る「Love Like Oxygen」を経て、テミンの繊細なハミングが導いたのは「Diamond Sky」。愛しい人への思いをまっすぐに歌い上げるこの曲で3人は「一緒に!」と客席に呼びかけ、回転するセンターステージの上で柔らかな歌声を届ける。キーのロングトーンに合わせてステージが上昇し、スパークラーが噴出するというロマンティクな演出も会場のムードを盛り上げ、3人がダイヤモンドを形作った片手を上げると、会場中のファンも彼らと同じ動きでステージ上の3人へ思いを伝えた。

直後のMCで、KEYは「(Diamond Skyの)ポーズ、一緒にやってくれてありがとうございます」とファンに感謝を伝えた。「Kind」「Selene 6.23」に「An Ode To You」。終盤にバラードナンバーを続け、3人は繊細な息遣いと優しい歌声で思いを届ける。そして本編のラストを飾った「An Encore」では、キューブ状にリフトアップしたステージの上から歌声を響かせた3人。芯の通ったまっすぐな歌声で思いを届ける彼らの姿を紙吹雪が彩り、客席を見つめながら手を挙げたMINHOに呼応するように、オーディエンスはハンドウェーブで彼らの歌声に寄り添った。

皆さんがいるからSHINeeがいる

アンコールは最新アルバムのタイトルトラック「HARD」で幕開け。3人は力強いヒップホップトラックをワイルドに乗りこなし、アグレッシブなステージを見せつけて場内の熱気を急上昇させる。曲を終えるとKEYは「『HARD』みたいな曲は、アンコールではあまりやらなかったよね」と2人に語りかけつつ、日本で初めてライブを行った代々木第一体育館がSHINeeにとって特別な会場であることを改めてファンに伝えた。「(代々木第一体育館での)初めてのコンサート、オープニング曲の記憶がすごくあるんです。ポップアップでの登場だったんですけど、そのときにステージを上げてくれたスタッフさんの顔をよく覚えていて」と笑顔で振り返ったのはMINHO。3人は和やかな空気感で思い出話に花を咲かせ、KEYは「10年以上も歴史があるから、いろいろ話せますね」と語った。さらに、TAEMINは2月24、25日に行われる東京・東京ドームでのワンマン「SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION] JAPAN FINAL LIVE in TOKYO DOME」に言及。「アリーナツアーと違う曲、ひさしぶりの曲、懐かしい曲も歌うと思います」と予告してファンの期待値を高めつつ「皆さんが来てくれて、応援してくれるといいなと思っています!」と客席へ語りかけた。

「皆さんの声が必要です!」というMINHOの呼びかけからなだれ込んだ「Hitchhiking」では大きなシンガロングが巻き起こり、3人もパワフルなサウンドに乗って力強くオーディエンスを盛り上げる。曲中フロートに乗り込んで再びアリーナエリアへと飛び込んだ3人は、そのままラストナンバー「Runaway」へ。一面パールアクアグリーンの光に染まった客席を進み、何度もファンに手を振って別れを惜しんだ。ステージに戻った彼らが花道を駆け抜けると銀テープが発射され、晴れやかなムードの中でライブは終幕。最後にTAEMINは「こうして公演ができることが、僕にとって本当に意味のあることです。皆さんと一緒に歩んでいくこの瞬間を大事にしたいし、そばにいてほしいと思います。ずっと僕たちのそばにいてください。そして体には気を付けて。特に風邪には!」と思いを伝え、MINHOは「今日も特別な思い出をありがとうございます。皆さんがいるからSHINeeがいます。そして皆さんが僕の希望です」と続く。そしてKEYは「この場所で初めて歌ったのは20歳くらいの頃だったと思います」と切り出し「時間が流れるのは早いと感じていますが、また歌うことができてうれしいです。ここに立つ気持ちはずっと変わらないし、これからも歌いたい。まだまだ全然できます。だから、いろいろ思い出すことができてうれしかったです。皆さん健康に気を付けて。ドームでも笑顔で会いましょう!」とコメント。笑顔で再会を約束し、ステージをあとにした。

セットリスト

SHINee「SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION]」2023年11月28日 国立代々木競技場第一体育館

01. Chemistry
02. Dream Girl (Japanese Ver.)
03. Heart Attack
04. Like It
05. Atlantis
06. Sweet Misery
07. CØDE
08. Good Evening
09. Don't Call Me (Japanese Ver.)
10. Body Rhythm
11. JUICE
12. Everybody
13. View
14. Downtown Baby
15. The Feeling
16. Replay
17. Love Like Oxygen
18. Diamond Sky
19. Kind
20. Selene 6.23
21. An Ode To You
22. An Encore
アンコール
23. HARD
24. Hitchhiking
25. Runaway

SHINee(撮影:田中聖太郎)