『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ』は戦争の根底に「人種問題」があります。胎児の頃に遺伝子操作を受け身体能力が格段に強化された新人類「コーディネイター」に対抗するべく、従来の人類「ナチュラル」は薬や洗脳による人体実験で強化された生体CPU(平たく言えば強化人間)を作ります。今回はそんな生体CPUの一種である「エクステンデッド」の1人、「ステラ・ルーシェ」について紹介します。


【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】


■いつもは普通の女の子

 非戦闘時のステラは、やや子どもっぽい言動があるものの、海が大好きな普通の女の子です。「海が好きなのに泳げない」というちょっと可愛らしい一面もあり、シンと運命的な出会いを果たした時も、シンはステラが敵軍の兵士であると気付かないほど。ステラの海好きはドラマCDでも描かれており、放っておくとずっと海を見ているような少女でした。

ブロックワードは「死」

 ステラたちエクステンデッドには「ブロックワード」という特殊な暗示がされており、その言葉を見聞きしたり、それを連想される場面に出くわしたりするとパニック状態に陥ります。ステラのブロックワードは「死」。溺れているところを助けたシンに「死ぬ気か、このバカ!」と怒鳴られ一度は激しく動揺したステラでしたが、「君は死なない、俺が守るから」と諭され落ち着きを取り戻します。この「守る」という言葉は、最期の寸前までステラを支えることになるのでした。

■起こってしまった悲劇

 戦いに関わること以外の記憶を消される「メンテナンス」を定期的に受けているステラ。シンとの約束も忘れてしまい、戦場で再会した時もシンを拒絶しますが、必死の呼びかけにより記憶を取り戻します。しかしながら、薬によって強化された人間であるステラは捕虜となったザフト軍ではどんどん衰弱していくばかり。「もう傷付いてほしくない」という願いから独断でステラを「もう戦わせない」という約束のもと、地球連合軍に返すシンでしたが、運命は過酷なものでした。

 シンの願いもむなしくステラは再度戦場に立つこととなり、虐殺を繰り返していたところをキラのフリーダムに撃たれ命を落とします。死の間際にシンと再会し、「シン・・・すき・・・」と呟くステラ。生きている限り「死」の恐怖は常に付きまとうことになり、ある意味ではようやく恐怖から解放されました。その生涯は幸せだったのか、私にはわかりません。しかし、最終回に精神体となって現れ、「ステラ、『きのう』をもらったの。だからわかるの。『あした』・・・うれしいの。・・・シン、また『あした』ね!」と言って消えていく姿を見ていると、悲しい人生ではありましたが決して不幸ではなかったのかな、とも思うのです。


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★記者:凛廻(キャラペディア公式ライター)

(C)創通・サンライズ

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