スギ薬局

「え、あれっ? 200円安くなるはずだったのに、これじゃだめだ?」

キャンペーン条件を熟読して買い物をしたはずのこの日、家に帰って確認したところまさかの失格……キャンペーン条件分の値引きが獲得できていませんでした。

これは痛いです。200円という実被害も痛いといえば痛いのですが、こうやって毎週、得する経済学の連載をしている評論家がまさかの条件見落としというのは地味にプライドが傷つきます。反省を込めて、この日、何があったのかお話ししたいと思います。

読者の皆さんも謎解きのように、私がどこで失敗したのかを推理しながらお読みいただければと思います。

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■薬用せっけんを買って帰るミッション

もともとの発端は帰宅前、自宅からメールが入ったこと。薬用せっけんが切れそうなので詰替え用のボトルを買って帰ってほしいというのです。

しかも家内からは抜かりなくお得情報が。いつも買っているスギ薬局で「ビオレ商品15%引クーポン」が配信されているので、それを使うといいというのです。ラジャーです。

こうして私はスギ薬局の売り場に向かいました。すると難しい算数の問題のように2種類の詰替えボトルが並んでいます。ひとつは普段買っているボトルに「30g増量中」と書かれたパッケージ。いつもは770mlなのに今回はお得に800ml入っていて税抜きで498円です。

 

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■店頭には「PayPayキャンペーン」の告知

もうひとつはいつもは見かけないもっと大きなボトルです。1200ml入ったボトルが698円です。こういった状況のとき私は電卓で計算します。要するに1.5倍の大きさのボトルが1.4倍の値段で売っていますから、正解は大きい方のボトルの方が安いようです。

そこで大きいボトルを手にしようとしたところ、棚に貼ってあった小さなステッカーが目にはいりました。

「最大30%PayPayポイントが戻ってくる」と書いてあります。これはビオレの販売元・花王とPayPayのコラボキャンペーンです。

こういった情報を目にした場合、経済の専門家の私はきちんとその脇のQRコードを読み込んで、キャンペーンの詳細条件を確認します。たいがいの場合色々な購入条件があり、ただPayPayで買ってもポイントが戻ってこない場合があるからです。

 

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■キャンペーン条件を熟読して購入完了

そのような経験から、私はいつもキャンペーンの適用条件は詳しく確認をするようにしています。それによれば一度の購入が1,000円以上にならないとキャンペーンは適用されない様子です。それも税込1,000円以上で20%、税込3,000円以上で30%と段階が設定されています。

これは危ないところでした。1本だけ買って帰ったらキャンペーン適用外でした。しかし大きい方をやめて小さい方2本なら? 1本あたり税抜498円ですから2本買えば税込価格は1,000円超えて20%オフが適用されます。

ちなみに6本買えば税込3,000円を超えるのですがさすがに詰替えボトル6本を買っても置き場所がない。今回は20%オフを狙うことにしたのです。

さて、レジで会員証を見せて、クーポンを提示して、PayPayで支払って、これで任務完了と自宅に帰ったのです。

 

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■「落とし穴」に気をつけましょう…

さて、わかりましたか? 私が失敗した落とし穴

そうなのです。冒頭で情報にあったスギ薬局でビオレを買うと15%オフになるクーポンの存在です。税抜き498円のビオレを2本買ってそれが15%オフになった結果、PayPayで支払った金額は931円に。…つまり1,000円払っておらず、paypay還元キャンペーンは不適用になっていました。

ここで気づかず、「ずいぶん得したなあ」とご機嫌で家路についた私が愚かでした。いやいや痛い話です。

 

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■著者プロフィール

鈴木貴博

Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。

今週は「ドラッグストアで遭遇した2つのキャンペーン」をテーマにお届けしました。

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