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(写真:時事通信

支持率が低迷する岸田政権。11月に各社が行った世論調査では、内閣支持率が、朝日新聞で25%、日本経済新聞社とテレビ東京の合同調査でも30%など、相次いで過去最低を記録した。

岸田政権に対して、世間から家計の負担が増えるのではないかという不信感があることは「増税メガネ」のあだ名が体現しているだろう。目玉施策として打ち上げた「異次元の少子化対策」では、必要とされる3.5兆円の財源について、一部を医療保険料として新たに徴収する方向。また、’24年12月から高校生への児童手当の拡充がなされるにあたり、高校生の扶養控除の縮小が検討されていることが報じられると“給付して増税では意味がないじゃないか”と違和感が噴出した。

増税メガネ」のレッテルを脱すべくかかげた所得税の定額減税についても、実施が来年夏と遅すぎることや、一度きりでは不十分だとして評価はイマイチ。SNSなどでは、物価高対策として「消費税の減税」を訴える声も多く、所得税の減税は期待外れとなったようだ。また、これらは選挙対策としての”バラマキ”であり、「いずれまた増税されるのでは」との懸念も漂っている。

さらに、「辞任ドミノ」もの不信感を増す要素に。10月26日山田太郎文部科学政務官(当時)が女性問題で、10月31日に柿沢未途法務副大臣(同)が選挙違反事件への関与で、11月14日には神田憲次財務副大臣(同)が税金滞納でと、3週間足らずで3人が辞任となったのだ。

岸田政権への不満が高まっていく昨今。国民ははたしてどの政党に次の政権を取ってほしいと思っているのだろうか? 1000人を対象に「次に政権を取ってほしい党」について、アンケートを行った。

3位に選ばれたのは野党第一党の立憲民主党116票を獲得した。10月18日に公表した「物価高を克服するための緊急経済対策」には、全世帯の6割に「インフレ手当て」3万円を支給するほか、トリガー条項の発動で1リットルあたり約25円の減税、児童手当の先行拡充、給食費無償化の先行実施、インボイス制度の廃止などの政策が記されている。

民主党時代に、’09年から’12年まで政権を担った経験があることから政権を運営できるのではないかとの期待が寄せられたほか、自民党政権から脱するには立憲ががんばるしかないとはっぱをかける声も。総じて、自民党への不満の受け皿として票を集めたが、「自民党以外ならどこでもいい」と消極的な理由もみられた。

当の泉健太代表(49)は、「あと5年で政権交代を考えている」として、次の選挙はその基盤づくりにあてたいとの考えのようだ。

「腐りきった自民はいらない。今度は頑張ってほしい」(20代・女性)
自民党に緊張感を持たせるため」(70歳以上・男性)
「野党の中で勢力がある民主党時代に政権の経験がある」(30代・男性)
自民党よりましで、それなりの経験があるから」(60代・女性)
「ここが頑張らないと日本は良くならない」(30代・男性)
自民党は嫌」(30代・女性)

158票を獲得し、2位に選ばれたのは日本維新の会10月23日に公表した「緊急経済対策」には、低所得者は5割、それ以外は3割の現役世代の社会保険料減免、ガソリン税の当分の間税率(暫定税率)の廃止、給食費および高校授業料の無償化、出産費用無償化、消費税減税(最大10%から8%)などが並んだ。

今年春の統一地方選では、大阪府議会と市議会の両方で過半数を獲得するほか全国的にも議席を大きく増やした。府政で議員報酬のカット、外郭団体の削減、小中学校の給食無償化を実現するなど、“有言実行”してきた実績から、大阪府民からの信頼は厚いようだ。

馬場伸幸代表(58)は、約10年で政権交代を実現するとして「できないなら、維新は解散した方がいい」と意気込んでいる。

自民党でも良いけれど、変化を見てみたいから」(60代・女性)
「少しは日本も変わるのかなあとおもった」(50代・男性)
「大阪での成功事例があり公約に対して唯一コミットしてる政党であるから」(30代・男性)
「暫く自民党で悪い状況になっているので、全て維新に賛成出来るわけではないが、一度やってもらいたい」(50代・男性)
「吉村知事をはじめ、関西では日本維新の力がすごいから。他にも吉村知事は有言実行をしていて信頼を勝ち取っているので、維新のイメージがいいから」(20代・女性)
「一番国民の声に耳を傾けてくれそうだから」(70歳以上・女性)

■「ほかに選択肢がない」大差をつけ1位に選ばれたのは

立憲、維新と大きく差をつける313票を獲得し、1位に選ばれたのは自民党だった。これほどまでに不満の声が噴きあがるにもかかわらず、やはり日本の政権を担当できるのは現状「自民党」しかないとの見方が多くを占めた。

結党以来、長く政権運営を務めてきた実績や、人材の豊富さを信頼する声があがる一方、今回自民党と選択した人の理由の多くが”消極的”なものだった。

「他に選択肢がないから仕方なく」(30代・男性)
自民党に期待しているわけではないけど、他の政党を信じることが難しいため」(20代・女性)
自民党も相当酷いけど、それでも他の党が政権を取るよりはまだマシだろうから」(40代・男性)
「野党があまりにもレベルが低いから。消極的に自民党しかない」(20代・男性)

また、自民党以外に政権を任せることへの抵抗感は、民主党政権時代の“失敗”の記憶から生じているようだ。’09年に国民の期待を背負って立ち上がった民主党政権は、政権運営にてこずり支持率を大きく下げ、さらに東日本大震災も重なりわずか3年で幕を閉じた。

「野党が政権を取ると以前の民主党のように今より更に景気が悪くなりそう。消去法自民党」(60代・女性)
「以前、民主党が政権をとった時の悲惨さをみると、自民党のままのほうがマシ」(40代・男性)
「ほかの党ではできないと思う。いい例が民主党がダメでしたね。なんだかんだ言っても経験のない政党は無理」(70歳以上・男性)

今の自民党に不満があっても、他に取る選択肢がないというのが有権者の本音のようだ。野党は、”政権を運営できないのではないか”という不安を払しょくし、実行力を見せていく必要があるだろう。

■次の政権を取ってほしい党ランキング 全順位

【1位】自由民主党 313

「政権交代しなくてよいから」
「他に選択肢がないから仕方なく」
「政権運営の経験値だけは高いと思うから」
「今の政権与党に不満はあるものの、それにとって代わろうという気概の感じられる野党も見当たらない感じを受けるため。」
「野党が駄目すぎるので」

【2位】日本維新の会 158票

自民党の政治に、長年の驕りを感じているので、日本維新の党に新しい風を吹き込んで、新しい政治を作ってほしい」
「政党の姿勢が好きだから」
「少しは新鮮味があると希望している」
「暫く自民党で悪い状況になっているので、全て維新に賛成出来るわけではないが、一度やってもらいたい」
「まだまだ力不足ではあるが、不正まみれの自民党を倒してほしい」

【3位】立憲民主党 116

「はっきり言ってどこの政党が良いかわからないし、期待もない。自民党のあぐらをかいている体制は不安しかない。」
自民党よりましで、それなりの経験があるから」
自民党ばかりでなんか変わってほしい」
「過去の政権運営をみると、現状政権を握っている某政党よりも、より一般的な生活を送る人たちの目線で世間を見れているように思える人たちが多く所属している政党だと思うから」
「現在の野党の中ではとりあえずそれなりのメンバーが揃ってはいる」

【4位】国民民主党 59票

「党首の玉木さんの政策が一番ましだと思うから」
「政策に共感できるから」
「一番現実的な政策を提案し、一番真面目にまともな質問をする政党だから」
「比較的自分のイデオロギーに合うから」
「最近、自民党寄りの動きを見せており、自民党政権をベースにして微調整していける野党が適当である。ただ単に、自民党政権を批判するだけの野党では、実際、何もできないと思う」

【5位】れいわ新選組 53票

「経済対策がもっとも理論的で、まともだから」
自民党は長期政権によるおごりがひどく、腐敗も進んでいるので論外。立憲民主党はなにかを変える力がない。政権をとることはありえないことではあるが、もしも取れるならばれいわ新選組なら国会の腐敗を正せると思った」
「減税を真剣に考えている政党だから」
「庶民の気持ちを一番代弁していると思うから」

【6位】参政党 42票

「演説等を拝聴して自分の考え方と合致すると感じる部分が多いから」
「日本を強くしてほしいから」
自虐史観からの脱却と積極財政への転換を掲げているから」

【7位】公明党 32票

「以前から応援している。人を大切にする党だと思う」
「真摯に国民の為に議員一同、頑張っておられる姿が見れるから弱い立場の人に寄り添ってくれていると思う」
自民党は国民を利用しているだけで国民の幸せを考えていないような気がする」

【8位】日本共産党 30票

「党の力はないが、言っていることは一番まともなことを言っている気がする」
現代社会の諸矛盾・諸問題を解消するためのショック療法を期待して」
「前にアンケート答えたら丁寧に家まで挨拶来てくれた」

【9位】みんなでつくる党 19票

自民党以外ならなんでもいいから」
「諸派党構想、NHK問題などがユニーク。子育て政策が強力であり、少子化問題に大きな期待持てる。自民党と似た政治思想であり、極端に変わるわけではない」

【10位】社会民主党 8票

福島みずほの一人ひとりが主人公なんだという言葉にひかれたから」
「一番人権問題に対するスタンスがしっかりしているから」

【10位】日本保守党 8票

「国のこと国民のことを大切に国力をつけるという理念」
「国民のための政策をしてくれそうだから」

その他 172票

調査対象:20代以上 1000人
調査方法:WEBでのアンケート(クロス・マーケティングのセルフアンケートツール『QiQUMO』を使用)