「行けんだろ」で冠水道路への突撃は危険! クルマの「渡河性能」はどの程度か調べてみた

この記事をまとめると

■豪雨の際は道路が冠水することがあり、アンダーパスなどはとくに危険だ

オフロード向けの本格SUVであれば渡河性能が高い

■一般的な乗用車なら多少は大丈夫だが、深いところは避けた方が良い

クルマはどこまで水に浸かっても大丈夫?

 年々、いわゆる「ゲリラ豪雨」が頻発するようになった日本の天候状況。短時間に記録外れの降雨量があるため、道路の排水能力が追い付かず、地形によってはあたり一面池のような状態になり、自動車の通行が不可能になってしまうケースが往々にしてある。冠水道路をある程度進んだものの、結局車両が動かなくなり、乗員が車両から降りて退避するような事例もニュース報道などで目にすることがある。

 こんなケースに陥らないようにするには、どうすればよいのだろうか? 教訓めいた話になるが、走行するエリアの地理(地形)を知っていれば、降雨によって浸水する地点を走行ルートから外すことができる。通常の雨天走行でも、水はけが悪くて道路を冠水させているような地点は意識的に避けるべきだ。

 また、立体交差道路の低い側、鉄道などをアンダーパスする道路も要注意だ。周辺道路はなんともないが、道路が下がった途端、深い水溜まりができていることがある。

クルマの渡河性能はどんなものなのか調べてみた

 では、どういった条件で、自動車は走れなくなるのだろうか? 対水深性能とでも言おうか、こうした特殊な条件下の走行を前提として作られた4WD車(いわゆるクロカン4WDヘビーデューティ4WDと呼ばれるカテゴリーのモデル)では、水深のある川を渡る能力(性能)として、渡河性能が表記されている車種もある。

 当然ながら、通常の自動車、セダンやミニバンに比べ、優れた対水深性能が与えられているのは言うまでもない。

クルマの渡河性能はどんなものなのか調べてみた

 ざっと調べてみたが、ランドクルーザー300系で700mm、ランドローバー・ディフェンダー110系では900mm(エアサス仕様)/850mm(コイルスプリング仕様)の渡河性能が確保されている。

膝下くらいまでなら普通のクルマでも大丈夫な可能性が高い

 ちなみに、それぞれの最低地上高は、ランクルが225mm、ディフェンダー290mm(エアサス仕様最大値)/226mm(コイルスプリング仕様)、標準装着のタイヤサイズはランクルが265/55R20で外径は約800mm、ディフェンダーは110SEが255/60R20で814mmとなっている。ランクルではタイヤ外径の87%程度、ディフェンダーではタイヤ外径より大きな渡河水深能力が備わっていることになる。

クルマの渡河性能はどんなものなのか調べてみた

 もちろん、こうした性能は、エンジンを始めとするパワートレイン系、サスペンション系などの性能が確保された上でのことで、エンジンは吸排気系、制御系(各種電気系)などが冠水(水深)の影響を受けないことが最低条件である。

 では、一般の乗用車セダンやミニバンの対水深性能はどの程度と見ればよいのだろうか。

 個別に確かめたわけではないが、どのクルマもおおよそ300mm前後が限界だと言われている。もちろん、排気口から冠水が浸入すると影響を受けてしまうが、エンジンが稼働している状態(排気ガスが連続的に排出されている状態)であれば、短時間の走行なら問題ないと考えてよいようだ。

クルマの渡河性能はどんなものなのか調べてみた

 走行速度は低速を維持。最大でも20km/hぐらいと想定しておいたほうがよいだろう。低速ギヤ(駆動力の強さ、エンジン回転数の維持)ですみやかに通過することを心がけたい。

 冠水した道路の水深を見極めるのは難しいが、道路周辺の目標物などを参考にしながら、走行の可/不可を判断したい。

 老婆心ながら、多少のまわり道で冠水のない道路を走れるのなら、そちらを選ぶようにしたい。冠水道路の走行は、基本的には避けるべきで、やむを得ず通過しなければならない場合は、水深を見極めること、低速を保ちながら止まらないこと、などを念頭に入れて走るようにしたい。

クルマの渡河性能はどんなものなのか調べてみた

クルマの渡河性能はどんなものなのか調べてみた

「行けんだろ」で冠水道路への突撃は危険! クルマの「渡河性能」はどの程度か調べてみた