よく、民間の「医療保険」は「不要」といわれます。公的保障でかなりの部分を賄えるからです。しかし、医療保険は不要だという意見をもつ人でも、「共済」には加入しているケースがあります。本記事では、共済のしくみとメリット、注意点について解説します。

「共済」とはどのようなしくみか

「共済」は、メンバー(組合員)が互いに少しずつお金(掛金)を出しあい、組合員が病気・ケガをしたり、死亡したりした場合に、お金が支払われるという制度です。民間の保険と基本的に同じですが、異なる点は、非営利事業だということです。後述するように、毎年、余ったお金は組合員に分配されて戻ってきます。

全47都道府県にある「都道府県民共済」のほか、全労災が運営する「こくみん共済」、生協組合連合会が運営する「コープ共済」、農協が運営する「JA共済」、漁協が運営する「JF共済」等があります。

共済の3つのメリット

共済には以下の3つのメリットがあります。

【共済のメリット】

1. 安い掛金で充実した保障を受けられる

2. 「生命保険料控除」を受けられる

3. 余ったお金が毎年「割戻金」として返ってくる

◆メリット1|安い掛金で充実した保障を受けられる

第一のメリットは、割安な掛金で充実した保障を受けられることです。

たとえば、「東京都民共済」の「生命共済」の「入院保障2型」は、65歳までなら、年齢・性別にかかわらず、掛金月2,000円で以下の保障を備えることができます。

・入院:1日1万円(60歳~65歳は1日7,500円)

・ケガでの通院:1日1,500円

・手術:2.5万円・5万円・10万円(60歳~65歳は1万円・2万円・4万円)

・先進医療:1万円~150万円(1万円~75万円)

・死亡・重度障害:10万円(60歳~65歳は5万円)

もし、民間の保険会社が販売している医療保険でこのレベルの保障を備えようとしたら、月2,000円では足りないことが多いです。しかも、60歳~65歳(65歳になって最初の3月末日まで)の間は保障が減額されますが、それでも月2,000円というのは医療保険と比べれば割安です。なお、65歳になって最初の4月1日以降は、同じ掛金で「熟年共済」へと移行します。

◆メリット2|「生命保険料控除」を受けられる

第二のメリットは、掛金が所得税・住民税の「生命保険料控除」(介護医療保険料控除)の対象となり、一部が非課税となることです。

したがって、実質的にみると、掛金2,000円よりも低い額で、前述の充実した保障を受けられることになります。

◆メリット3|余ったお金が毎年「割戻金」として返ってくる

第三のメリットは、毎年「割戻金」を受け取ることができることです。

割戻金の制度は、掛金総額のうち、使い切れず余った分を加入者に分配して返すものです。割戻金の額は年度によって差がありますが、都道府県民共済の場合、例年、年間掛金総額の30%~40%程度です。掛金月額2,000円なら、年間総額24,000円のうち7,200円~8,400円ほどが返ってくるということです。

前述した「生命保険料控除」と「割戻金」を合わせて考慮すると、その人の所得の額にもよりますが、実質的な掛金の負担は大幅に軽減されることになります。

共済の2つの注意点

他方で、以下の2点に注意が必要です。

・60歳を過ぎると保障が徐々に減っていく

・特約等のバリエーションが限られている

◆注意点1|60歳を過ぎると保障が徐々に減っていく

第一に、60歳を過ぎると保障が徐々に減っていくということです。

ただし、これは致命的な欠点とはいえません。病気やケガの保障が最も必要なのは「働き盛りの年代」だからです。

すなわち、働き盛りの間に病気やケガで働けなくなってしまうと、治療費がかかるだけでなく、生活費を稼げなくなるという、二重のダメージを受けることになります。

もちろん、わが国の公的医療保険は「3割負担」であるのに加え、「高額療養費制度」で月ごとの自己負担額には上限が設けられています。また、傷病手当金(会社員・公務員のみ)や障害年金等の公的保障はあります。しかし、それらだけで完全に賄いきれない可能性も考えられます。そんなとき、安価な掛金で充実した保障を受けられる共済に入っていると、大いに役に立ちます。

これに対し、高齢者の場合は、たしかに病気やケガのリスクが高まります。しかし、他方で65歳以降は公的年金を受け取れます。また、医療費の自己負担割合も低くて済むようになります。

したがって、共済が、働き盛りの年代の保障を手厚くしているというのは、合理的なしくみであるという考え方もできます。

◆注意点2|特約等のバリエーションが限られている

第二に、共済は保障内容が定型的で、民間の保険会社の医療保険と比べて「特約」等のバリエーションが限られている点です。

しかし、これも致命的な欠点とまではいえません。どうしても気になるならば、民間の「がん保険」や「就業不能保険」等の「単品の保険」に加入して保障をプラスする方法があるからです。

このように、「共済」は、割安な掛金で、特に働き盛りの間に手厚い保障を受けられるしくみです。民間の保険会社の医療保険が不要だと考える人にとっても、働き盛りの間の「お守り」として有効な選択肢の一つだといえます。

(※写真はイメージです/PIXTA)