史上最恐のホラー映画として、その名を知らぬものはいないであろう金字塔『エクソシスト』(1974年日本公開)。一人の少女とその母親が体験する戦慄の恐怖を圧倒的なリアリズムで描いた『エクソシスト』は、それまでのホラーの常識を覆し、全世界に一大ムーブメントを巻き起こしました。伝説の誕生から50年、悪魔に憑りつかれた2人の少女が呼び覚ます新たな恐怖を描いた『エクソシスト 信じる者』が現在大ヒット上映中です。

本作の監督、脚本を務めたデヴィッドゴードン・グリーンさんのインタビューが到着!作品へのこだわりについて、俳優陣の熱演について語る監督の言葉にご注目を。

――最初の『エクソシスト』映画の思い出は何ですか?また、それがこの作品にどのような影響を与えましたか?

初めてその映画を観たときの一番鮮明な記憶は、リーガンが腰椎穿剌を受けていて、それを挿入するときに血が吹き出すシーンだよ。それは間違いなく、あの映画で最も恐ろしい瞬間だ。ある意味、あのようなシークエンスがあったからこそ、流行のホラー手法で現代的な感じの映画を作るのではなく、ああいった落ち着かない、見ていてつらい、もう少し知的なシークエンスで(この作品を)やることを、許可されたように思うんだ。あの病院のシークエンスみたいにね。フリードキン監督が本物の人々を映画に起用し、よくあるスーパーナチュラルの劇映画のように感じさせず、何か別の作品のように感じさせてくれたことが好きだ。だから、僕たちの映画で神父を見たら、それは本物の神父である可能性が高いんだ。もし医者を見たら、彼らは自分自身を演じているんだ。映画の最後に登場する救急救命員や警察官は、本物の人たちを起用し、僕らの映画に信憑性のある本物らしさを与える手助けをしてもらった。そしてそういったことは、フリードキン監督の映画のイメージやシークエンスにとてもインスパイアされているんだよ。

――オリビアリディアという2人の子役が、この映画で素晴らしい演技を見せてくれました。彼らの演技はこの映画にとってとても重要だったと思います。監督として、彼らの演技をどう思われましたか?また、オリビアリディアを起用した理由を教えてください。

僕が彼らをキャストしたんだ。僕のオーディションのプロセスは、いつもとても広範囲に渡る。(そして)彼らの能力を見ているキャスティング・ディレクターと、いつも何度かオーディションを行うんだ。そして、僕はその部屋に入って、彼らが即興的な演技をやれる資質を持っていて、映画の序盤でのこれらの役にある明るい感じや、感情的に激しい芝居をやれることを確認するんだ。(そして)それを健全な形で実現するために、僕は、彼らの周りに強力な家族やサポートグループがあることを確認する。撮影現場には児童心理学者を配置し、感情的にとても微妙な環境でも、自分たちがうまく乗り越えられると感じられるようにしたり、ちゃんと彼らが守られていて、心理面で(そういったシーンをこなせる)ツールを利用出来るようにしたんだ。そして、正直に言って、彼らは僕たちの映画のバックボーン(中心)となり、僕たちが毎日そこにいることの喜びとなった。大変な仕事がたくさんあったけど、彼らの笑顔と笑い声は、僕たち全員にとって本当に大切なものだったよ。

――ほとんどの悪魔祓い映画では、カトリックの神父が主人公です。しかしこの映画の神父は主人公ではないです。なぜこの役を小さくしたのですか?

そうだね。僕がとても好きなストーリーのひとつは、僕たちの司祭が、自分の協会の女性とその隣人の努力を支援するためにそこにいるというものなんだ。彼(マドックス神父)が神父たちの委員会に持ち込んでする悪魔祓いの会話があるけど、そこでの神父たちはすべて本物のカトリックの神父なんだ。僕たちは彼らの会話を撮影し、それを映画の中で使用したんだ。それは実に洞察に富んだものだった。そして、彼は悪魔祓いをすることを禁じられるんだ。だから、(そこで)彼が下した選択は、家の外で待機し、そこで祈りを捧げながら、それがうまくいくことと、女の子たちが無事であることを瞑想することだったんだ。伝統的な悪魔祓い映画であれば、そこで、彼がヒーローとなり、そこに入っていって、危機を救うところだけど、ここでは、彼はその瞬間、それをするための準備が整っていなかった。そして、そこに参加すべきではないと彼に忠告した人々は、実際、正しくて、それはうまくいかなかった。(でも)彼はそこに心血を注ぐんだ。情熱のすべてをそこに注ぎ込むんだ。でもうまくいかないんだよ。僕は、観客が必ずしも期待していないようなものを与え、内面的な選択をしているキャラクターを作り出し、クライマックスの瞬間にちょっとスリルを与え、彼女たちの中にあるこういった存在(悪魔)の力を目にするといったことを観客に与えようとしているんだ。

――あなたは先ほど、本物の神父のような人が(映画の中に)いるとおっしゃっていましたね。最初の映画や原作とは違う、新しい素材を手に入れたのですか?

いつもそうだよ。ずっとそうだった。この映画に登場するすべての宗教について、コンサルタントを雇ったんだ。そのことに本腰を入れて取り組んだんだ。そして、多くのエクソシスト(悪魔祓いの祈祷師)や、こういった儀式や儀礼に参加したことのある人たちに話を聞いた。そういったことに関して、かなり学んだよ。そして本物の神父をキャスティングすることで、、、マドックス神父と隣の家のアンが教会に行き、関係者(神父たち)と話をするシークエンスで、そこにいた全ての人たちは本物の神父だった。そして僕たちはただ会話をしたんだ。台本はなかった。僕たちの2人の役者がそこに入って、(彼らに)質問したんだ。この種の機会で素晴らしいのは、彼らのように、カリスマ性を持つ人たち、人前で話すことに慣れている人たちがいる場合、それはどこか自然な感じになるんだ。そういったことは、僕にとっても勉強になったよ。

――オリジナル作品でおなじみの顔ぶれが登場したことで、この物語に信憑性だけでなく、重厚さも加わりました。でも、どうやってこの映画を(オリジナルのキャストに)売り込んだのですか?彼らにこの作品をやってもらうためにどんな話したのですか?

そうだね。僕はただ結合組織(オリジナルと繋がる要素)を見つけようとしていただけで、それは、僕の情熱、そして多くの人たちにとってオリジナルの映画以来見たことのないシリーズに一体感をもたらすための僕の努力から始まったんだ。だから、それがアイデアだった。個人的な視点から何かを作ることは、僕にとって大きな意味と価値があった。それと、彼らが僕と一緒に共同制作するために、(この作品に)彼らを招くことにはね。エレン・バースティンとの最初の電話では、彼女が50年間演じたことのない役柄に足を踏み入れることができるようにするために、彼女にとって意味のあること、そして彼女のキャラクターのストーリーの続きがどのようなバージョンになるかを話したんだ。

――エレン・バースティンはこの映画にどのようなアイディアを持ち込んだのでしょう?例えば、彼女は何か提案したりしましたか?

イエスだよ。彼女の家でのモノローグ(長いセリフ)は、僕が最初に彼女をこのプロセスに招待したときに、彼女と僕が交わした会話にとてもインスパイアされたものなんだ。(そこで)彼女が感じているネガティブなエネルギーの領域が何かや、(ネガティブな)バイブ、その実体について彼女がどう感じているかをつかんだんだ。それとエネルギーをどう動かすかとかね。さまざまなスピリチュアルな観点から、さまざまな言葉でそれについて語ることができるし、彼女はそれらの多くを探求してきたんだ。そして、僕たちは、お互いに本について共有した。僕は、エレン・タッド著の『The Infinite View(無限の眺め)』という、僕にとって特別な本を共有したし、彼女は、『Conversation with God(神との対話)』という本を僕と共有した。そして、僕たちは、これらの存在のさまざまな声や視点(見方)がどこから来るのかを共同で研究したんだ。そしてそれは、僕が彼女について得た洞察の非常に貴重な部分であり、最終的には僕たちのエクソシズム(悪魔祓い)でのクリス・マクニールの視点となるものだったんだ。

【ストーリー】
13年前にハイチの地震で身重の妻を亡くして以来、ヴィクターは一人娘のアンジェラを育ててきた。
ある日、アンジェラとその友人キャサリンが森の中で姿を消し、
3日後に何が起こったのかまったく覚えてない状態で戻ってきた時、
2人の少女とその家族はかつてない恐怖と対峙することになる…。

【作品情報】
監督・脚本:デヴィッドゴードン・グリーン
製作ジェイソン・ブラム 製作総指揮:ダニー・マクブライド
出演:レスリー・オドム・Jr、アン・ダウド、ジェニファー・ネトルズ、ノーバート・レオ・バッツ
リディア・ジュエット、オリヴィア・マーカム、エレン・バースティン
配給東宝東和
(C)Universal Studios. All Rights Reserved.
公式サイト:exorcist-believer.jp 公式Twitter:https://twitter.com/uni_horror
※北米公開日:10月6日(金)

『エクソシスト 信じる者』デヴィッド・ゴードン・グリーン監督インタビュー「観客が必ずしも期待していないようなものを与え、スリルを演出する」