22023年10月に横須賀で開催された自衛隊イベント「オータムフェスタ」に、海上自衛隊大好き漫画家が潜入取材。会場で関係者に話を聞いたら、女性の潜水艦乗りが増えるにつれ、現場ならではの苦労を垣間見ることができました。

制服フェチの人、必見のイベント

2023年10月21日、海自オタの漫画家である私、たいらさおり海上自衛隊 横須賀地方総監部で行われていた基地開放イベント「オータムフェスタ」に潜入してきました。

会場では、自衛隊のイベントではおなじみの制服試着コーナーも設けられ来場者で賑わっていました。しかも、今回は海上保安庁巡視船「あしたか」も一般公開に参加していたため、海保の制服試着コーナーもあり、どちらも親子連れの人だかりができていました。

意外だったのは、その列にまさかの防衛大学校の学生らが並んでいたこと。思わず二度見してしまいましたが、会場には防大生だけでなく海自の新隊員、さらには同じく横須賀市内にある陸上自衛隊高等工科学校の生徒もちらほら。こういった若者らの姿を見て、「オータムフェスタ」が校外学習の一つとして認識されているのだと感じました。

イベント後半には、潜水艦「なるしお」にて1日艦長の任命式も行われていました。任命されたのは、「FRESH CAMPUS CONTEST2022」でグランプリを受賞した青山学院大学の小杉怜子さん。このコンテストは通称「フレキャン」と呼ばれ、大学や短大などの新1年生を対象とした「日本一の新入生を決める」コンテストなんだとか。

青空に映える白の夏制服で登場した小杉さんは笑顔が可愛らしく、撮影会では多くのギャラリーを魅了していました。その後「なるしお」では、引き続き海上自衛隊の制服ファッションショーが開催されました。

私(たいらさおり:漫画家/デザイナー)は自衛隊イベントに行くと、たまに遭遇するこのファッションショーが密かに大好きです。作画の資料にしたいという漫画家魂はもちろん、ノリノリのモデルさんが一発芸などを披露してくれるので、最後には笑いすぎて表情筋が痛くなる……なんてことも。加えて、ファッションショーは、普段見ることのできないレアな恰好、装備が披露されることもあるので、個人的にとてもおすすめです。なので、イベントで開催される場合は、ぜひ素通りせずに足を止めてチェックしてみてください。

女性区画は隔離するけど、万一の際は破壊も

今回も期待にもれず、腕立て伏せをする隊員さん、プロのモデルも顔負けな即興ポージングをする隊員さんなど、バラエティ豊かな制服とともに楽しませてくれました。

ちなみに、潜水艦「なるしお」は海上自衛隊が保有する潜水艦の中で女性隊員が最も多く乗り込んでいるそうで、総員の約10分の1が女性なのだとか。「なるしお」の幹部乗員に話を伺うと、艦内の一番小さい居住区画を女性用として整備し、鍵がかかるようにしたのだといいます。

しかし、非常時には鍵が壊せないと困るので、いざというときは破れる構造になっているのだそう。狭い艦内において区画を分ける苦労が伺えました。海上自衛隊では、女性隊員が働きやすくするための試みが各所でなされており、例えば「FFM」の通称で知られるもがみ型護衛艦は設計段階から女性用区画が作られ、生活動線なども考えられているそうです。

昔は、女性の艦艇勤務はスペース確保や体力的な観点などから積極的な配置がなかったといいますが、2008(平成20)年に女性の配置制限が撤廃されたことをきっかけに護衛艦配置が増え、合わせて女性艦長や女性司令なども誕生、女性が活躍する場がかなり増えています。

オータムフェスタ」に行って、潜水艦「なるしお」の現場の声を聞くことで、改めて性別による垣根が取り払われたことにより、多くの隊員が希望する場所で輝ける時代になってきたんだと実感しました。

2023年10月21日に行われた横須賀地方総監部「オータムフェスタ」の様子(画像:海上自衛隊)。