プレミアリーグ第14節、マンチェスター・シティvsトッテナムが3日にエティハド・スタジアムで行われ、3-3のドローに終わった。

チェルシーリバプールとの連戦をいずれもドローで終えて2戦未勝利のシティ(勝ち点29)は、アーセナルに抜かれて2位に転落。リバプール戦ではハーランドの先制点を含めて試合を通して主導権を握ったものの、1-1のドローで逃げ切り失敗。要塞エティハドでの公式戦連勝記録が「23」でストップ。それでも、直近のチャンピオンズリーグ(CL)ではRBライプツィヒに2点差を引っくり返す劇的3-2の逆転勝利。グループステージ5連勝で首位通過を確定させ、直近2試合の微妙な流れを払拭した。リーグ3戦ぶりの白星を狙った一戦では先発2人を変更。リコ・ルイスとグリーリッシュに代えてドクとアルバレスの主力を復帰させた。

対する5位のトッテナム(勝ち点26)は前節、ホームでアストン・ビラと対戦。ロ・チェルソの初ゴールによって先制点を奪ったものの、急造守備陣が耐え切れずに1-2の敗戦。3試合連続逆転負けでの3連敗となった。満身創痍の状況で乗り込んだビッグマッチでは長期離脱が決定したベンタンクールに代えてサスペンション明けのビスマを起用した以外、同じメンバーを継続した。

互いにハイライン・ハイプレスのアグレッシブなスタイルを志向するチーム同士の一戦は、立ち上がりから非常にオープンな展開となる。

地力で勝るホームチームが押し込む形となったが、先にゴールをこじ開けたのはアウェイチームだった。開始6分、シティの左CKをGKヴィカーリオがパンチングではじき出すと、ペナルティアーク付近のブライアン・ヒルが鮮やかなターンでプレスを回避し、左で浮いたクルゼフスキに繋ぐ。クルゼフスキは右サイドで背後を狙うソン・フンミンに斜めのミドルパスを通すと、ドクを完全に振り切った韓国代表がそのままボックス右に持ち込んで右足のシュートをゴールネットに突き刺した。

スパーズの圧巻の高速カウンター屈したシティだったが、すぐさまスコアをタイに戻す。9分、相手陣内右サイドで得たFKの場面でキッカーのアルバレスが正確なクロスボールをゴール前のスペースに落とすと、手前でハーランドがわずかに頭で触ったボールが流れたところでソン・フンミンの太ももに当たったボールがゴールネットに吸い込まれた。

奇しくもいずれもソン・フンミンが絡む形となった2つのゴールによって1-1のイーブンに戻った試合は、ここから追いついたシティペースで進んでいく。安定した繋ぎに加え、ベルナルド・シウバを起点とした強度の高い守備が機能すると、13分には相手ボックス左でエメルソンを嵌めたベルナルド・シウバのボール奪取からの完璧な折り返しを中央でフリーのハーランドが左足ダイレクトで合わすが、ここは珍しくイージーフィニッシュを枠の右へ外してしまった。

一方、最後の局面での粘りで易々と逆転までは持ち込ませないトッテナムは、攻撃でも先制点と同じような高速カウンターでシティを脅かす。20分過ぎには右サイドをスピードでぶっちぎったブレナン・ジョンソン、高い位置でパスカットしたヒルの際どいクロスがソン・フンミンに供給されるが、いずれも相手DFの好守に阻まれた。

前半半ばを過ぎて再びシティが全体のギアを上げていくと、29分にはアルバレスのスルーパスに抜け出したドクがボックス内でDF2枚相手にカットインを仕掛けて枠の右を上を叩く鋭いシュートでゴールへ迫る。

このチャンスは逃したが、直後の31分には相手を押し込んだ形からボックス左でタメを作ったドクに対してアルバレスが絶妙な中央から左への短いランニングでボールを引き出し、空けた中央に入ったフォーデンに完璧なラストパス。フォーデンは冷静にニア下へ左足のシュートを流し込んだ。
前半のうちに試合を引っくり返したシティは、より安定したボールの循環を意識しつつ要所で相手のプレスを回避。左サイドで積極的に勝負を仕掛けるドクを起点に以降もチャンスを救っていく。その流れでアルバレスやハーランドに3点目のチャンスが訪れたが、ポストに嫌われるなど決め切ることはできない。

対するトッテナムは粘り強く守りながら散発的に相手のハイプレスを回避。狙いとする高速カウンターで相手を引っくり返すところまでは持っていったが、ヒルを筆頭に最後の判断、精度に課題を残し、攻撃をなかなかフィニッシュで完結できなかった。

迎えた後半、先に動いたのはビハインドを追うトッテナム。ヒルを下げてホイビュアをビスマ相棒に据えて2列目は右からクルゼフスキ、ロ・チェルソ、ジョンソンという並びに変えた。

開始直後にベルナルド・シウバの見事な左足のミドルシュートでいきなりGKヴィカーリオにファインセーブを強いるなど、後半も良い入りを見せたシティ。だが、筋肉系などの違和感か、ドクが52分にベンチへ下がりグリーリッシュが投入される。

後半序盤以降はシティのプレスに順応したトッテナムがボール保持率を高めていく。前半のように自陣で食われるシーンは減った一方、攻撃をスピードアップできず。なかなか効果的な前進からのフィニッシュという形は作れない。

オープンな展開が続いた前半とは打って変わって後半は睨み合いの展開が続くなか、先にゴールをこじ開けたのはトッテナム

69分、シティの自陣からの繋ぎでアルバレスから最前線のハーランドへのフリックパスをベン・デイビスがダイビングヘッドでクリア。これがバイタルエリア中央のソン・フンミンに繋がる。ここでボールを引き取ったロ・チェルソはボックス右へ走り込んだソン・フンミンをオトリに左への持ち出しからペナルティアーク付近で左足を一閃。鋭いグラウンダーシュートが左ポストの内側を叩いてゴールネットに吸い込まれた。

ロ・チェルソの2試合連続ゴールによって試合が振り出しに戻ったなか、追いつかれたシティはフォーデンを下げてルイスを投入。これでベルナルド・シウバが右にポジションを移す。対して敵地での引き分けも視野に入れるトッテナムは殊勲のロ・チェルソを下げてスキップピッチに送り込む。

より勝ち点3が必要なホームチームがここから攻勢を強めていくと、相手のミスを突いてまんまとゴールをこじ開ける。81分、自陣で強引にボールを運ぼうとしたビスマを囲んでロドリがボール奪取。すかさずボックス右に走り込むハーランドに短いスルーパスが通ると、ハーランドは冷静に中央で浮いたグリーリッシュへのパスを選択すると、これをイングランド代表が難なく流し込んだ。

良い時間帯に勝ち越しに成功したシティは、直近2試合の反省を活かしてここから逃げ切りの交代策。1枚カードをもらっていたグヴァルディオルを下げてアケ、アルバレスに代えてコバチッチを同時投入した。

だが、このテコ入れにも関わらず、直近2試合同様の厳しい展開が待っていた。90分、手術明けのリシャルリソンを投入して攻撃に出たトッテナムは左サイドのスペースに抜け出したジョンソンが左足で正確な浮き球のクロスを供給。これを大外から勢いを持って入ってきたクルゼフスキがDFアケに競り勝ってヘディングシュート。クロスバーの内側を叩いたボールがゴールネットに吸い込まれた。

3試合連続終盤の失点によって再びゴールが必要となったシティは、前がかって攻勢を仕掛ける。だが、カウンターチャンスでの不運な判定などもあってうまくトッテナムに時計を進められると、最終盤のセットプレーも劇的ゴールには繋がらず。

この結果、打ち合いとなった白熱の上位対決は3-3のドロー満身創痍のスパーズが難所から勝ち点1を持ち帰るポジティブな結果となった一方、シティは痛恨のリーグ3試合連続ドローとなった。