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ポケモンカードでのバトルに初挑戦した前編に続いて、後編ではプランニングディレクターの塚本啓太さんと、前編にも登場していただいたゲームディレクターの小林康平さんに、のっちさんがインタビュー。どんなことを考えてポケカの開発をしているのかなどを聞きつつ、読者の皆さんから募集した開発チームへの質問にも答えてもらいました。

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取材 / 倉嶌孝彦・橋本尚平 文 / 橋本尚平 撮影 / 上山陽介 ヘアメイク / 大須賀昌子 題字 / のっち

「今遊んでいる人たちが遊びやすいデザイン」を考える

のっち 今日は初めて覚えることがたくさんで、好奇心でいっぱいです。ポケカって難しそうだなと思っていたけど、ルールを覚えたら簡単に遊べるゲームなのかなっていう印象に変わりました。それに、とにかくカードがかわいい! 今日はさまざまなイラストのカードをたくさん見せてもらいましたけど、ポケモンが進化するごとにストーリーが進んでいく絵を見せてもらって、それだけで楽しかったです。

小林 ポケモン好きの人なら誰もが楽しめるようなイラストにしているので、パックを剥いているだけでも楽しめるのがいいところかなと思っています。

のっち 剥いているだけで楽しかったです。「強いカードが出てうれしい」だけじゃないんですよね。ななっぷるさんと一緒に引いたときに出てきた、色鉛筆タッチのポッポシュールで(笑)。「かわいいカードが出てうれしい」もあるんだなって。ところでお二人は、この会社でどういうお仕事をされているんですか?

塚本 私はプランニングディレクターをしております。

のっち プランニング?

塚本 企画を考えたり「年間にどういった商品を出すのか」みたいなことを決めたりする役割です。

小林 私はゲームディレクターとして、ワザやHPなど対戦に必要な要素を決めたり、遊び方を作ったりしています。「どうやったら初心者にわかりやすくなるか」「ここを変えるとどういうゲーム環境になるか」というようなことを考えて。

のっち 「クワッスは頭の毛をジェルで固めてるから、ワザの名前は『ジェルかけ』にしよう」とかもですか?(笑)

小林 それも自分が監修しています(笑)。ゲームをデザインするチームは10人弱いて「このポケモンはこういうワザにしよう」みたいなアイデアを出し合うんです。

のっち ほかにはどんなチームがあるんですか?

小林 イラストを作るイラストチーム、パッケージやトンマナを作るデザインチーム、企画を考えるチームとか、合わせるといっぱい人数がいて、それぞれ役割分担してカードを作っています。

のっち 企画というのはどういうことを考えているんですか?

塚本 例えば新しいパックの中にどのポケモンを入れようとか、イラストはこういう方向性にしようとか、何をするべきかを話し合って最初に旗を振る役割ですね。ポケモンカードゲームは長年ずっと新しいものが出続けているので、「いつ何を出すか」について常に議論をしています。新シリーズである「スカーレット&バイオレット」の目玉は伝説のポケモンコライドンミライドンだけど、そのあとはどのポケモンをパッケージにしようか、とか。

小林 ポケモンカードは発売開始からもう27年経つんですが、「スカーレット&バイオレット」シリーズは、今後10年も20年も続けていけるスタンダードなものをもう一度作ろうというコンセプトで再設計したんですよ。なるべく見やすいデザインに直したり。

のっち デザインっていうのはイラストのことじゃなくて?

塚本 イラストももちろんですが、カードに描かれている文字の部分も含めたデザインですね。過去のカードと見比べるとわかりやすいと思うんですけど、これがポケモンカードゲームBWのときのカードです。

のっち これだ! 私が見覚えのあるポケモンカードはこれだ!

塚本 印象は似ているんですけど、よく見ると実はいろんな部分が変わってますよね。例えば背景の色味は文字が見やすいように明るくなってますし、HPの文字サイズも大きくなってます。

のっち ホントだ! わかりやすくて助かります!

塚本 昔のものが間違っているというわけではなくて、「今遊んでいる人たちが遊びやすいデザイン」を考えて、その時代に合わせて作ることを心がけています。

ゲームにもアニメにも出てこなかった一面が垣間見れるんですね

のっち 例えば「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」のテラスタルポケモンのタイプをテラスタイプに変化させる現象)とか、「ポケットモンスター」シリーズの新作が出るごとに新しいシステムや特殊な効果といったものなどが増えることもあるじゃないですか。そういうのもカードに反映させてるんですか?

小林 テラスタルのカードはリザードンがわかりやすいですね。本来リザードン炎タイプなんですけど、この「リザードンex」というカードは悪タイプなんですよ。

のっち 強そうー! 悪タイプなのに炎エネルギーが2枚必要なんですね。じゃあ、ダイマックス(「ポケットモンスター ソード・シールド」に登場する、ポケモン巨大化する現象)を表現したカードもあるんですか?

塚本 HPやワザのダメージを大きくすることで、体が大きくなったことを表現しています。

のっち 新作が出たときに「今回はカードにするのが難しそうだな」って思ったりしますか?

塚本 毎回思いますね(笑)。

のっち さっき言ったクワッスの「ジェルかけ」とか、ポケモンのゲームには出てこないワザも多いんですね。

塚本 ディスプレイのあるデジタルなゲームと違って、駒を動かしたりカードを使ったりするアナログゲームを面白いものにするためには、いかにプレイヤーの想像力を掻き立てるかが大事だと考えています。ゲームに没入すると、カードに描かれているポケモンが本当にそこにいて、動いているような気がしてくる、みたいな。だからポケモンのことをイメージしてもらいやすくするために、「ピカチュウといえば10まんボルトだよね」みたいなお決まりのワザだけではない、カードゲームオリジナルのワザも考えています。

のっち 確かに、このキャタピーのカードの「はっぱをたべる」は、「たいあたり」よりもイメージが浮かびますね(笑)。なるほど……あれ? イラストじゃなくて写真のカードもあるんだ!

塚本 それは粘土などで立体作品を作って撮影したものですね。

のっち えー! 遊び心! 絵じゃなきゃダメって思ってました! このコイルのカード、電気室みたいなところで撮影してるんですね。

塚本 そうですね。当時のオフィスで、電気室に入れてもらって撮りました。

のっち へええ! 面白い(笑)。

塚本 編みぐるみのカードもあるんですよ。これは背景のセットも作ってもらってます。

のっち めっちゃくちゃかわいい! 背景もフェルトだ! イラストじゃなくて写真にするカードはどういう基準で決めてるんですか?

塚本 長い歴史の中で、同じポケモンのカードをたくさん出してきたので、「今回のコイルはこうしてみたら面白いんじゃない?」みたいに話して選ぶことが多いですね。

のっち そっか。ずっと昔からいるポケモンも、新鮮味を感じてもらいたいですもんね。

塚本 みんなによく知られているポケモンの新しい一面を見せられるのが、カードのいいところだと考えています。

のっち ゲームにもアニメにも出てこなかった一面が垣間見れるんですね……! 昔からずっと遊んでいる人は、集め甲斐があって楽しいだろうなあ。統一感はそこまで重視していないんですか?

塚本 統一感よりも「表現を広げていこう」みたいなことを気にしていますね。皆さんが好きなポケモンってけっこうバラバラですし、それぞれにいろんな「好き」があるので、そんな「自分はこれが一番好き」に全部応えるために、描き方や表現の種類もたくさんあったほうが楽しめるんじゃないかなって。

のっち 「このポケモンは人気あるのに、なんでもっと前面に出さないんだ?」みたいに思う人もいるかもしれないけど、どのポケモンにもファンがいるから、ってことなんですね。

塚本 そうですね。「なんで?」と思われている一方で、「このポケモンを出してくれたのすごくうれしい」と思ってくれている別の方もいるので。人気があるポケモンって国によってもちょっと違うんですよ。カードゲームを作る側の扱いが偏ったせいで、人気が特定のポケモンに集中しちゃうと、そういう面白さがなくなっちゃうかなと。

ポケカ開発者たちが、ポケモンのゲームをプレイしながら考えていること

のっち お二人とも「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」はプレイしたと思うんですけど、やっぱりカードの開発にどうつなげるか考えながらやるんですか?

小林 そうですね。「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」はシリーズ初のオープンワールドで、「水辺にはこんなのがいる」「森にはこんなのがいる」みたいなそれぞれの生態をより意識しやすくなったし、ポケモンのサイズ感とか、「自分がこう動いたらこのポケモンはこんなことするんだ」ということがわかりやすくなったんです。だからカードでもそれを表現できるように作り替えようと思って、意識しながら遊んでました。

のっち 遊び方の視点が普通の人と全然違いますね(笑)。

塚本 ポケモンはゲームだけでなくアニメもあるしアプリもある。その中で自分たちが魅力に感じた部分をカードに落とし込む、ということを意識しています。

のっち 「ポケモン スカーレット」と「ポケモン バイオレット」、両方遊んだんですか?

塚本 私は「ポケモン スカーレット」を選びました(笑)。社内には2つともやってる人もいますね。

小林 そしてそれぞれに話を聞いて、お互いに好きになったところを共有したりしてます。

塚本 ゲーム発売直後は面白かったところの感想を書きあう場所を作るんです。そこでみんなが共通して印象に残った部分がわかったり、お互いに気付かなかった部分を知れたりして。コライドンミライドンの性格や仕草は実際にゲームをやるまでわからないので、ゲームをプレイしながら見た目だけでなく内面までカードに落とし込むにはどうすればいいか考えながらプレイしてますね。

のっち 仕事をしながらもゲームをする時間も作らなきゃいけないし、「ゲーム休暇」みたいなのはないんですか? 今日は1日ゲームだけするぞ、みたいな(笑)。

塚本 ゲームをするのは苦じゃないですからね。ゲーム休暇じゃなくても普通に休日はゲームしてるし(笑)。

ゲームの中では旅して戦ってるけど、そうじゃない普段の生活がポケモンにもありますからね

のっち 私は「ポケモン バイオレット」で最初のパートナーをホゲータにしたからすごく思い入れがあって、このホゲータと一緒にスーパーでお買い物をしてるカード、すごく好きですね。アチゲータラウドボーンと進化していくにつれて時間の経過が表現されてて。

小林 3枚で1つのストーリーになってるんですよね。

のっち こういうの見たら泣いちゃうわ……。このシリーズを作った人いいなあ……。きっと「ポケモンと一緒にスーパーでお買い物したい」って思いながらこのカード作ったんだろうな……。

塚本 ゲーム内にこういうシチュエーションがあったわけではないんですけどね。

のっち 「かつりょくのうた」「バーニングボイス」ってワザなのに、まったく歌いそうにない(笑)。あと、このコジオもかわいい……。食卓で味付け担当として生きているんですかね(笑)。こういうイラストを発注するときは、どんなふうにお願いするんですか?

塚本 ポケモン図鑑のテキストを読みながら「もし現実にいたらこんな感じなんだろうな」と想像してイメージを考えるんです。ポケモンが生きていることが感じられるように。

のっち そっか、ゲームの中では旅して戦うことが多いけど、そうじゃない普段の生活がポケモンにもありますからね。

小林 ちなみにこれはAR(アートレア)のコジオですけど、こんなコジオのカードもあります。

のっち わー、普通!(笑) かわいい~! 推しのポケモンがいる人は大変ですね。絶対に全部集めたくなっちゃう。

提示したものと別の答えが返ってきたときが、この仕事をしていて一番楽しい

のっち ポケモンカードの開発をしていて一番楽しい瞬間ってなんですか?

小林 私はそもそもモノづくりが好きでこの仕事に興味を持ったんですけど、自分が作ったものがユーザーの手に渡って、遊んでもらえたり喜んでもらえたりするのってすごくうれしいんですよね。ときどきユーザーと対戦する機会もあって、自分が作ったゲームで一緒に遊べるのは楽しいです。

のっち わっ、それは素敵ですね。

塚本 私は小学生の頃に初めてポケモンのゲームをやってから、ずっとポケモンが身近な存在だったので、今こういう仕事をしながら、ポケモンがどんどん変わっていくところをお客さんの反応を見ながら一緒に楽しめるのがいいですね。「ポケモン 赤・緑」(1996年発売「ポケットモンスター 赤・緑」)の頃と今とではリザードンの印象も変化してるし、自分もポケモンと一緒に成長しているんだなって感覚があって。

のっち ある意味、そういう印象の変化に自分が携わってるわけですよね。

塚本 でもそれは自分たちだけでなく、お客さんたちが作ってくれている面もあるんです。自分たちが作って世に出したものを見た方々が「このポケモンって、こうなんじゃないか?」とイメージしていろんなところで話してくれることで、ポケモンは完成すると思っているので。

のっち みんなに好きに想像してもらって、どんどん解釈が増えることで、ポケモンに深みが出るってことですね。私たちも新曲をリリースしたときに、自分では全然考えてもいなかった解釈をファンのみんながしてくれることがよくあるんです。「これはこういう歌なんだ」って。それを聞いて「へーっ! いただき!」って採用することもありますね(笑)。

塚本 すごくわかります(笑)。答えって1つじゃないから、こちら側から提示したものと別の答えが返ってきたときが、たぶんこの仕事をしていて一番楽しいときなのかもしれませんね。

みんなの質問、のっちが代わりに聞いてきますのコーナー!

のっち 読者の皆さんから募集したポケカ開発者さんへの質問を、これからお二人に答えていただこうと思います。よろしくお願いします!

技やフレーバーテキストにあったストーリーを感じるポケカのイラストが大好きです!どのようにしてカードや技とイラストレーターさんの組み合わせを決めていますか?

小林 流れとしてはまず「拡張パックにどのポケモンが入るか」というラインナップを決めて、それぞれのワザだったり、どういうゲームにするかを考えて、一旦ゲームができたあとでそのカードに向いているイラストレーターさんを選定することが多いです。「こういうワザならこんなイラストがハマってるんじゃないか」「むしろ幅を持たせるためにちょっとイメージを変えたほうがいいんじゃないか」とか。例えばこれらのカードは全部「だんけつのつばさ」というワザを持っていて、このワザを持つポケモンのカードが自分のトラッシュにあると、その枚数分だけ大ダメージを与えられるんです。

のっち じゃあ、同じワザを持っているポケモンたちを集めてデッキを作ると強くなるんですね。それ激アツ! ヤバい!

小林 イラストを見てもらうとわかるんですけど、このワザを持っているのはカイデンヤミカラスカラミンゴとどれもとりポケモンで、みんなで群れて強くなるというワザなんです。だからイラストレーターさんにはそれをイメージしてイラストに落とし込んでもらってます。

のっち そのポケモンは「ポケモン バイオレット」でも群れて出てきましたね。イラストは同じ人にお願いするんですか?

塚本 いや、全部バラバラですね。

小林 違うイラストレーターさんに同じコンセプトで描いてもらって、作家ごとの個性を出してもらっています。

塚本 近いものだと、過去には「ねこびより」というワザもありましたね。ペルシアンが場に出ていれば、「ねこびより」を持つポケモンはワザを使うためのエネルギーがゼロになるという。

小林 だから「ねこびより」を持ってる猫っぽいポケモンをいっぱい集めてデッキを作ると強いんです。あと似たようなワザで「よるのこうしん」とか、お茶会をイメージしたイラストでワザ「マッドパーティ」もありますね。

のっち 「マッドパーティ」かわいい! これは確実に誰かに刺さるやつ!

塚本 こういうワザのコンセプトは映画を観たり本を読んだりして、そこから影響を受けて思いつくことがけっこうあります(笑)。

ポケカのイラストや粘土フィギュア、ぬいぐるみ等の作成者になるには、どのような手順が必要ですか?

のっち イラストレーターさんはどういうところで見つけてお願いするんですか?

塚本 今はイラストレーターさんがご自身で作品を発信していることが多いので、それを見て「こんなイラストをお願いできるんじゃないか」と考えてお声がけしたりしています。現在も開催中ですが、イラストレーションコンテストを開催して募集することもあります。

のっち 「ポケカといえばこの人!」っていう方もいらっしゃるんですか?

塚本 長く描いていただいている方はたくさんいますね。そして「この人のイラストが好き」っていうファンの人も。

のっち すごいですね。「自分が描きたい絵をただ描いていただけなのに、ポケカのイラストを描くことになりました」みたいな人もいるのかな。

塚本 いるかもしれないですね(笑)。

ポケモンカードの拡張パックのメインポケモンはどのようにして決まっていますか? またexポケモンもどのように決めているのか知りたいです!

塚本 さっき話したことと被るかもしれませんが、そのときの人気の度合いやトレンドは影響しますし、今のこの流れでこのポケモンを盛り上げていこう!みたいなことをいろんな人たちと話して決めることが多いですね。

のっち 「前回はリザードンだったから次はカメックス出さなきゃ」みたいなことも考えるんですか?

塚本 「出さなきゃ」ってことはないんですけど、「次にこれ出したらうれしい人もいるかな?」みたいなことは考えますね。

小林 ポケモンカードはいろんなポケモンたちの個性を深掘りできるコンテンツだと思ってるんです。だから、なるべくいろんなポケモンにスポットライトを浴びせたいし、どんなポケモンにも絶対ファンはいるので、しっかりポケモンexにして強く使わせてあげたいということは考えてます。

のっち 社内の誰かの好みで決まることもある?

小林 ありますね(笑)。さっき話に出た「だんけつのつばさ」を考えたのは鳥好きの人です(笑)。

ポケカに書かれているテキストは、他のカードゲームと比べて、短くてシンプルに感じます。テキストを書くときに何か意識していることはありますか?

のっち 確かに、長くても3行くらいですね。

小林 長いと読みづらくて「難しそう」って拒否反応が出ちゃいますからね。カードをパッと見て、どういう行動をするのかわかりやすいように、極力短くするようにしています。あとは文章をアイコニックにすること。例えば「コインを3回投げる」から始まっていたら、そのテキストを読んだことがある人ならすぐに「あの行動をするんだな」ってピンと来る、みたいな。

のっち 「あれをやってこれをやって」と、いろんな行動を盛り込まないようにしてる?

小林 もしそれがゲーム的に面白かったとしても、そのせいで遊びづらくなるようなら遊びやすさを優先することが多いです。そこはせめぎ合いなんですよ。

塚本 「面白さ」と「わかりやすさ」のどっちを選ぶか?というときに、ポケカの場合はわかりやすさを取ることが多いですね。

小林 子供から大人まで楽しめるカードゲームを目指してるので。

子供が「ポケカやりたい」と言うので、四半世紀ぶりに再開しました(自分が子供の頃と同じ目線で語れるコンテンツ力たるや!) 。ゲームは長く続くほど(攻撃力などの)インフレが起こり旧ユーザーが離れそうなものですが、バランス感はどうコントロールされているのでしょうか。

のっち これ私も気になってたんですけど、ずっと昔のカードは今でも使えるんですか?

小林 直近3年くらいのものなら大丈夫です。事実としてインフレは起こっていて、でも別にインフレ自体がよくないことだとは思ってないんです。さっき話したポケモンexの実装もそうですけど、「今だったらこのほうが遊びやすい」というのを常に意識して、時代に合わせてどんどん変化させていくべきだと思っているので。ただ、ポケモンカードの基本的なルールは絶対に変えないようにしています。

のっち これだけ長年続いてると、新しいルールがどんどん足されて、ひさしぶりに再開しようとした人が「昔やってた頃と変わっちゃってて、全然わからないわ」ってなっちゃうのかなと思ってました。

小林 細かいところは変わってるんですけど、エネルギーをつけて、ワザを使って、ダメージを与えて相手のポケモンを倒すという流れは変えていません。例えば「今のポケカ、楽しそうだな」って四半世紀ぶりに興味を持ってくれた方がいたとして、すぐに戻ってこれるように大事に作ってますね。まあ、HP40くらいだった昔のカードを見ると、今はHP200くらいなのでさすがにインフレを感じますけど(笑)。

のっち でも初期のカードで遊べないことはないんですね。倒すのにすごく時間がかかっちゃうけど(笑)。

塚本 公式大会では健全に遊べるように、使用できるカードは直近数年以内のものというレギュレーションを決めているんですけど、家で友だちと遊ぶ分には昔のカードにも特に制限はなく、どんな組み合わせでも遊べます。

小林 さっき「インフレ自体がよくないことだとは思ってない」と言ったんですが、1年前のカードがもう使えないという状況になったらさすがによくないので、なるべく発売から3年くらいは、それぞれのカードが活躍できるように気を付けています。

のっち でもインフレさせないって難しいですよね。新しいカードが発売されても、それが強くないと「欲しい」って気持ちにならないかもだし。

小林 そこは難しいところですよね。インフレしないように新しいカードに価値を付けるために、例えばカードに有利・不利を作るんです。ポケモンのゲームにも「みずタイプでんきタイプに弱いけど、ほのおタイプに強い」という相性があるじゃないですか。例えばミライドンが強い状態になったとき、ミライドンの弱点は闘タイプなので、そのあとに闘タイプを盛り上げることでミライドンに勝てるようにする、とか。

のっち そしたら新しいカードが欲しくなりますね!(笑)

小林 ポケモンは相性がわかりやすいので、カードに落とし込むときに工夫しがいがありますね。

のっち ちなみに「スカーレット&バイオレット」のシリーズだけで何枚あるんですか?

小林 まだ始まって1年経ってないんですけど、現段階でだいたい500枚くらい出してるのかな。

のっち 500枚! じゃあもうゲームに出てきた新しく発見されたポケモンは全部カードになってるんですか?

小林 いや、まだなってないんですよ。

のっち これから出るのもあるんだ!

小林 なので、これからどんなカードが出るのか皆さん楽しみにしてください。

のっち 今日いろいろとお話を聞いて「ちゃんとポケモンの魅力がわかってる人たちが、ちゃんと伝えようとしているカードゲームなんだな」ってことがわかりました。やっぱり皆さん詳しいですよね。こうやって話している最中も「あのときのカードは……」って言いながら、この膨大なファイルからカードを取り出して見せてくれて(笑)。自分たちが作ったものとはいえ、この枚数を全部覚えてる記憶力がすごいです。

塚本 いや、全部は覚えてないです……(笑)。

のっち 対戦をしたのは今日が初めてだったし、私にとってはイラストのかわいさがポケカの魅力で、たぶん「好きなポケモンのカードが当たったらすごくうれしい」という楽しみ方をするタイプだと思うんです。でも、とにかく強いデッキを組みたい人だけでなくて、そういうかわいいカードを集めたい人でもOKという、それぞれの遊び方ができる懐の深さをポケカから感じました。

塚本 カードを手に取って見て喜んでくれるところを、実際に目の当たりにする機会はなかなかないので、今日はのっちさんから新鮮な感想を聞けてうれしかったです。

のっち 今日を機に、本格的に始めてみようかな……。

のっちさんの取材後記

こんにちは、のっちです。


最近は、やりたいゲームが積み積みです。あー目と頭と手がもう一つずつ欲しいです。
この秋冬も沢山のゲームが発売されました。

その中でわたしが注目した、注目するしかなかったゲーム。それがコチラ。


「映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ ゲームであそぼう!映画の世界」

です!!!!!いぇーー!!!!


というのも、
この度「すみっコぐらし」の映画第三弾「映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ」の主題歌として「すみっコディスコ」というおうたを、歌わせていただいているのです。

第一弾が原田知世さん、第二弾がBUMP OF CHICKEN。という非常に光栄なラインナップの中、並ばせていただきまして。

知り合いの娘さんがご飯屋さんでも大事にすみっコ図鑑を抱きしめていたり、他の娘さんも推しすみっコの「ざっそう」Tシャツを着ていたり。めちゃめちゃに愛されているコンテンツということは知っていたし、わたしもいっちょ前に推しすみっコなんかもいたりしましたが、そんなに詳しくなかったんですけどね。

知れば知るほど好きになるんです。すみっコぐらし

すみっコぐらし初のテレビアニメ「アニメ すみっコぐらし そらいろのまいにち」の中で、わたしの推しすみっコ「とかげ」の回のナレーションを担当させてもらったりもしました。

とかげはですね、実はきょうりゅうの生き残りなんですよ!! つかまっちゃうかもしれないから、とかげのフリをしてるんですよ!!
そんな「とかげ」のエピソードや「しろくま」「ねこ」「ぺんぎん?」「とんかつ」達のエピソードが面白くて。
そうあのね!とんかつはねえ!しぼうが99%で、鼻のところのピンクの部分が1%のお肉なんですよ!!あぶらっぽいから残されちゃって、どうしたら食べてもらえるか、日々研究し続けてるんですよ!!

ちょっぴりネガティブな理由ですみっこに集まってきたすみっコ達の個性、優しさ、魅力にとりつかれまくってます。グッズも買いまくってます。


でね。

ゲームの話なんですけど。

映画の?!!ゲームがあるの?!!なにそれ!

てことでビックリして。
Amazonで即予約してました。
しかも劇場公開とほぼ同タイミングでのリリース。それって可能なの!?

内容は、映画のエピソードに基づいてつくられたミニゲーム集でした! 20種類のミニゲーム。

自分の操作するすみっコを選びます。最大4人で遊べて、ミニゲーム中も常に4匹で遊ぶんですが、メインキャラクターは5匹なんですよね。残りの1匹は、画面端で応援してくれてました。

遊びたいゲームを選んだら15秒程のストーリーシーンの後すぐにミニゲーム。まじでシームレスにゲームに流れ込むんで、油断してポテチとか食べてちゃだめですね。

おもちゃ工場のシーンでは
布を切るゲーム、布を縫うゲーム、ワタを詰める、検品、梱包。と、映画の中ですみっコ達が体験したおもちゃ工場の仕事!
タイミング、早押し、連打、リズムゲームなど駆使して体験させてくれました。

くま工場長とのボタン覚えリズムゲームは今年一番真剣な顔で取り組みました。


[Aボタンを押してみよう]から始まるので、テレビゲーム自体が初めてという方にもおすすめできます!
この冬はみんなで、すみっコぐらしの映画を見て、ゲームであそぼう!・-・!



さて!
今回は、前後編にわたって、ポケモンカード開発会社クリーチャーズさんにお邪魔しました!

皆様、初心者の私にも優しく教えてくださってありがとうございました!嬉しかったです。

ポケカは“ポケモンバトル”だった!!
ただのポケモンの絵柄が描いてあるカードのゲームでは無かった! すごい。

6体の手持ちのポケモン、バトル中に進化したり、技名を叫んでみたり、今までゲームの中だけでのバトルだったのが、自分の手の中でゲームのキャラクターを介することなく展開される楽しさ!

自分の持ってるカードのポケモンは、自分自身のポケモンなんだなあ。そこに感動しました。
そして、カードの中にはポケモン達の生きてる世界が広がっている!!!

カードの歴史を見せていただいて、皆様のポケモン愛、カードゲーム愛に触れて、超超超贅沢な時間でした!

塚本さん、小林さん、ななっぷるさん、お世話になった皆様、本当にありがとうございました

次回は「ファイナルファンタジーXIV」や「ファイナルファンタジーXVI」の制作を統括するプロデューサー、吉田直樹さんに会いにゆきます。
FFシリーズはあまり詳しくないのですが……FF16はしっかりと遊んでいます!
楽しみです!!!
皆様からの質問も受け付けておりますので「#のっちはゲームがしたい」にてお願いしますね!

では~!

次回予告

ポケカの遊び方や楽しみ方を教えてもらって、初心者ながらその魅力を十分に味わうことができたのっちさん。次回は「ファイナルファンタジーXIV」や「ファイナルファンタジーXVI」の制作を統括するプロデューサー、吉田直樹さんにいろいろなお話を聞きに行く予定です。

この連載では、訪問相手に聞いてみたいことをTwitterで募集中。ハッシュタグ「#のっちはゲームがしたい」を付けてツイートされた吉田直樹さんへの質問を、のっちさんが代わりに聞いてくれるかもしれません。ぜひ質問をツイートしてください。

※募集期限は12月4日(月)23:59まで。1つのツイートに書き込む質問は1つだけにするようにお願いいたします。

Perfume最新情報

アニメ映画「映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ」の主題歌「すみっコディスコ」配信中。12月30、31日に神奈川ぴあアリーナMMで5年ぶりのカウントダウンライブ「Perfume Countdown Live 2023→2024 “COD3 OF P3RFUM3” ZOZ5」を開催します。

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のっちはゲームがしたい!