電車なんかと違って、クルマで行く旅は風の吹くまま気の向くまま、どこにだって行ける。相棒が愛してやまない自分のクルマだったら、より楽しい。それと、思い立ったらパッと行けて、パッと帰ってこられるくらいが、ドライブにはちょうどいい。

そんなわけではじまった本連載。今回は本誌でも活躍するカメラマン・宿利泰蔵さんと一緒に、富士山の西に位置する富士宮を経由して河口湖周辺へ。GO OUT CAMPの会場でもある「ふもとっぱら」へのアクセスもいいスポットは、ナイスなアウトドアショップが多いこと!

宿利泰蔵
1977年生まれ、福岡県出身。19歳からカメラマンアシスタントとして働き、25歳で独立。現在は『GO OUT』本誌をはじめ、別冊『CAMP STYLE BOOK』等でも多くの撮影を担当。公私ともに、キャンプ漬けの日々。
Instagram:@taizo_shukuri

プラドのショートで、富士山をぐるり。

「ど〜も〜」と待ち合わせ場所にやってきた宿利さん。見た目と違わず、ファニーでゆる〜い人柄で、本誌『GO OUT』でも活躍するカメラマン。そんな宿利さんのアイコンといえば、金髪と、1994年トヨタランドクルーザー プラド」のショートボディ。

「このクルマは乗り始めて1年くらい。見た目も乗り心地も最高に気に入ってます」

これまで乗り継いできたクルマは、カメラ仲間3人でシェアしていたトヨタエスティマ」、スズキジムニー」、ジープチェロキー」、そして現在の愛車の4台。

ランドクルーザー プラド」は正真正銘のトヨタ車なのだけど、出会ったのは「ホンダカーズ」とのこと。それも、場所は自身の住まいである東京から遠く離れた栃木県

「たまたま仕事で行った先で、なんとなくお店に目を向けたら、これがあって。最初は『ホンダトヨタ!?』って目を疑いましたよね(笑)。で、その場で実際に見させてもらって即決しました」

クルマとの出会いは、いつだって運命的。逃さぬが吉。

宿利さんは都内での撮影も多いし、ときにはキャンプ場までクルマを走らせることもある。カメラの機材をたくさん積んで。

「なので、クルマは小回りできることが大事なのと、ときには撮影で使う長い背景紙も積まなきゃいけないので積載量もある程度なくちゃいけないんです。いまのクルマはどっちも満たしてくれています。ただ、長距離移動にはなかなか向いてないですけど(笑)」

ディーゼルで、マニュアル車なものだから、長時間乗っているとどうしても疲れてしまう。けれど宿利さんは、年末年始になると、実家のある福岡まで、休憩も入れながら15時間ほどかけてこのクルマで帰省している。「やっぱり何かを得たいなら、何かを捨てなきゃいけないということです」と宿利さん。ちなみに、このクルマを買ってもうすぐ1年。走行距離は、現時点で3万キロを超えている。

静岡のハンバーグといえば、あそこではなく、セロリ畑。

今日は都内を出発し、富士宮をブラブラして、最終目的地は河口湖周辺にあるアウトドアショップの名店。なかなかのロングドライブなのだけど、宿利さんにとってみれば「通勤くらいの感覚」らしい。それほど普段から、クルマで遠出をしているのだとか。

で、宿利さんは1年のうち、多い年は40泊をテントで過ごすという生粋のキャンパーだ。だから、キャンプ場がひしめくこのあたりのエリアに関しては、めっぽう強い。ほとんどナビを見ることなく、軽快にドライブは進む。

そうこうして、約2時間30分かけて到着した富士宮。宿利さんが最初に連れてきてくれたのは、一見すると、民家のような場所。「静岡でハンバーグといえば、あの有名チェーン店ですけど、実はここ、かなりの穴場なんです」

セロリ
住所:静岡県富士宮市淀師466
電話:0544-68-2934

お店の名前は「セロリ畑」。ここ、とにかく絶品のハンバーグを提供してくれるらしい。メニューはハンバーグのみという強気の設定だ。グラム数のみ選ぶことができ、この日は200グラムのハンバーグを注文。

熱々の鉄板に載せられてやってきたハンバーグは、中がレア。繋ぎとひき肉は使わず、店主が手切りした肉を100%使用しているから、肉本来のうま味ダイレクトに味わえる。「やっぱり、めちゃくちゃおいしいですね!」と宿利さんの箸も止まらない。

ただ、レアのハンバーグは人気のメニューのため、売り切れ御免。確実に食べたいなら、早めの時間に行くべし。GO OUT CAMPの会場へ行く前に、ここでサクッとランチなんていうのもいいかもしれない。

とっておきのジムニーを見学しに。

実は宿利さん。いまは「プラド」に乗っているものの、熱心な「ジムニー」愛好家でもある。現在の愛車にも、赤べこの隣に「ジムニー」のミニカーが搭載されている。

「ぼくが小さいときに父親が『ジムニー』に乗っていて、その影響もあるかもしれないんですけど、ずっと『ジムニー』が好きなんです。いまのクルマを選んだのも『ジムニー』と形が似ているからっていうのも、理由のひとつで」

そんな宿利さんが兼ねてから行ってみたかったという場所に、次はやってきた。

MStech
住所:静岡県富士宮市杉田680-4
電話:0544-66-3377
HP:www.mstech.jp

クルマのカスタムや販売を行う「MStech」は「ジムニー」のカスタムには定評があり、関東をはじめ、多くのジムニーラバーたちがやってくる場所。

そして、人気のガレージブランド「ネルデザインワークス」とコラボレーションした「ジムニー」を手がけているのも同店。「ネルデザインワークス」といえばの木を削り出して作られたハンドルや、ウッド&レザーで施された内装はとても人気で、バックオーダーもかなりの数になっているという。

ジムニー」も型が数あれど、宿利さんが乗っていたのも、「MStech」で主に扱っているものも、1994年式JA11最終型。「やっぱりこの年式の、この型が一番好きですね。ずっと生で見たかったんですけど、見てるとやっぱり、欲しくなっちゃう…」

最近はカフェも併設されて、薪ストーブで暖をとりながら、サンドイッチやハンバーガー、スキレットを使った料理なども堪能できる。クルマに興味がない人も、ひと休みしに、訪ねてみて。

ビンテージランタン、ここに極まれり。

冒頭でもお伝えしたように、宿利さんはとにかくキャンプ漬けの日々を送っている。それだから、キャンプギアにもなみなみならぬこだわりを持っていて、テントなんかは20張も持っている。とにかく、ギアフリークなのだ。

そんな彼が訪れてみたかった場所がもうひとつ。ビンテージのランタンが並ぶ、こちらのお店。

ユーズランタン
住所:静岡県富士市柚木51−3
電話:080-3626-5851
HP:uslantern.com

店内にはコールマンをはじめとしたビンテージランタンがびっしり並ぶ。ここまでの数が並び、かつ購入もできる店は、全国、ひいては全世界見渡しても珍しい。

「いろんなショップを巡ってますけど、こんなにビンテージランタンがラインナップされている場所ははじめて見ましたね。で、いまぼくは加圧式のランタンを3つ持っていて、すべてコールマンの『200A』。正直、最近は出番が少なくなっているんですけど、それでも集めてしまう魅力があるんです」

ここにも「200A」をはじめ、アメリカの量販店「シアーズ」が販売していたモデルや、もっと珍しいものだとコールマンが1916年に販売していた全天候型のガソリンランタンなんかも売っている。フリークたちが見れば、垂涎しまくる代物の数々が並ぶ。

店主である村松さんは趣味でランタンの修理をはじめ、歴は20年以上。現在は韓国や中国からも修理依頼が殺到しているという。

販売しているランタンは、DMが殺到するからとSNSには掲載されていない。どんなラインナップがあるかは、お店に行ってからのお楽しみ。興味がある人は、ぜひ一度来てみて。絶対に驚くから!

そして、基本的に火器類であればどんなものでも修理が可能で、配送での依頼もできるとのこと。ガレージの隅で眠っているあのランタンも、ここで蘇らせてもおう。LEDもいいけど、やっぱりガソリンのランタンの火には敵わないよね。

冠雪した富士山を眺め、無駄に水場を走ったりする。

「ユーズランタン」をあとにして、ここから進路を北にとり、目指すは河口湖方面。

「個人的には山梨川から見る富士山が好きですね。とはいえ、こっちからも今日はめちゃくちゃ綺麗だな〜」

道中、突如と現れたたっぷり雪が覆いかぶさった富士山。夏の青々としたのもいいけど、冠雪した富士山は一層輝く。このあたりの道は富士山が見えたり見えなかったりを繰り返すから、運転していも飽きないのだ。

「ちょっとこっちの道行っていいですか?」と急な寄り道ができるのもドライブの醍醐味というもの。気持ちよさそうだからと車外にでて、無駄に水温なんかもチェックして。「ここ、今度撮影で使えそうだな」とロケハンもしてみたり。

「四駆だから全然大丈夫でしょ!」と自分に言い聞かせるようにシャウトして、無事に川をザバーンと渡ったら、いざ、最終目的地のあの店へ。

ギア好きの宿利さんが、いつも立ち寄る山梨の名店。

スタンダードポイント
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町小立8017−1 フォレストモール富士河口湖 D棟
電話:0555-68-9072
HP:standard-point.com

17時にもなると、あたりは真っ暗。最後にやってきたのは、山梨のキャンプショップの雄「スタンダードポイント」。

キャンプの初心者から上級者まで、どんな需要にも応えられる充実の品揃えで、宿利さんもこのあたりにやってきたときは、必ず訪れるというキャンプギアの名店。店長とも顔見知りだ。「セレクトが本当におもしろいんですよね。来る度にいろいろな発見があるんですよ」

この日は、キャンプギアではないのだけど、「タコマフジレコード」のスウェットをゲット。「12月のGO OUT CAMPは本当に寒いので、それ用に買わせていただきました 」

やっぱりこのあたりは、ショップもレストランも、素敵なお店が点在している。それに、どこを運転していても景色がいい。運転していて暇になることがない。最後に、宿利さん、本日のドライブはいかがでしたか?

「このあたりは本当によく来るんですけど、何度来ても飽きないんですよ。こっちまで来ちゃえば道も空いていて快適ですから。しかも1日のルートとしては、いい感じだったんじゃないでしょうか? 読者の皆さんにも、ぜひ真似していただきたいです!」

ドライブの途中、遠くから見えた「ふもとっぱらキャンプ場」。

さて、今年もあとわずかと差し迫っていますが、2023年の総決算となる「GO OUT CAMP冬 2023」は12月8日〜10日の開催です。キャンプ納めをしに、ぜひ、会場へ足を運んでみてください。ちなみに、宿利さんもカメラマンとして会場入りの予定です。

「見かけたら、ぜひ声かけてくださいね〜」

Photo/Shouta Kikuchi

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