ハワイの不動産は日本の富裕層だけではなく、世界の不動産投資家から注目されています。そんななか、ハワイのランドマークとして有名な「Trump Tower Waikiki」がブランドを一新することが発表されました。本稿では、株式会社Crossover Internationalの代表取締役である田村仁氏が、ブランド一新によって起こる「Trump Tower Waikiki」の変化について、不動産投資の視点から解説します。
Trump Tower Waikikiがブランド一新!2024年2月より『Hilton』の「WAKEA WAIKIKI」に!
世界中で猛威を振るったコロナ禍もやっと落ち着き、「久しぶりにハワイへ!」という人も少しずつ増えてきました。米国のインフレや円安を受け、日本人からすると一昔前とは比べ物にならないくらい「高く」なったハワイですが、さらに驚きのニュースが飛び込んできました。
2023年11月10日、ハワイのランドマークの1つであるラグジュアリーホテルコンドミニアム『Trump Tower Waikiki』が、なんとTrump Organizationとの契約を終了。新たにHiltonとのパートナーシップを締結し、HiltonブランドのLXR Hotels & Resortsを運営会社として迎えることになったのです。
2009年のホテルオープンから長らく親しまれてきた『Trump International Hotel Waikiki』は2024年2月7日をもって終了し、そこから『WAKEA WAIKIKI』に生まれ変わります。
2018年に誕生したLXR Hotels & Resortsは、Hiltonのラグジュアリーコレクションブランドの1つ。日本では2021年、京都に国内初のLXRホテル&リゾーツ『ROKU KYOTO』がオープンしており、現在5つの大陸で12軒のホテルを運営しています。
Hiltonブランドの1つですから、ゲスト・ロイヤルティ・プログラムであるヒルトン・オナーズの特典を利用可能です。Hiltonという名はあまりにも有名ですが、Hiltonのなかには、現在18ものホテルブランドが存在しています。
いわゆる「ヒルトン・ホテル」というのは、その18ブランドのなかの1つなのです。
ほか17のホテルブランドのうち、Hiltonラグジュアリーブランドとしては下記3つのブランドがあります。
■Waldorf Astoria Hotels & Resorts(ウォルドーフ・アストリア)
■CONRAD Hotels(コンラッド)
このなかでは、日本でも馴染みがあるのはCONRADではないでしょうか? CONRADは東京と大阪に進出しているラグジュアリーホテルですが、ゆったりとした客室面積を備え、モダンでラグジュアリーなシティホテルの代表格です。
2023年にイングランドから来日したサッカープレミアリーグのマンチェスターシティがCONRAD東京に滞在するなど、世界的なエグゼクティブの滞在にも利用されています。
Waldorf Astoriaはまだ日本に進出前なのでイメージしにくいかもしれませんが、Hiltonブランドのなかでもっともラグジュアリーといわれるブランドです。
こちらもついに日本初上陸が計画されており、2026年に東京日本橋に開業予定です。Hiltonのラグジュアリーブランドの雄としての最高のホスピタリティを提供してくれることでしょう。完成が待ち遠しいラグジュアリーホテルです。
Hiltonにはその他様々なコンセプトを持ったホテルブランドが多々ありますが、LXR Hotels & ResortsはこのWaldorfとCONRADと肩を並べるHilton内の3つの最上位ブランドの1つであることから、期待も高まります。
LXR Hotels & Resortsに変わるとどうなる!?
ホテルブランドが変わるということは、当然そのコンセプトも変わってきます。サービス内容ももちろん変わっていくことになりますが、このブランド変更に伴い、エクステリア・インテリア含め、館内の大幅なリノベーションが予定されています。
今後予定されているリノベーションデザインの一部を下記にみていきましょう。
ロビーやレストラン、プールエリア、スパ、フィットネスセンター、車寄せ、ランドスケープなどの共用部分が一新されます。
『Trump Tower Waikiki』はホテルコンドミニアムというシステムですので、すべての客室に個別のオーナーがいます。これらの改装費用については、2024年の1年間、各オーナーが毎月支払っている建物管理費に上乗せして請求されることとなります。なお、共有部分だけではなく、各ユニットも改装の対象となります。
各ユニットは各オーナーの私有財産ですので、改修をするかしないかはオーナーに決定権があります。
ただし、『WAKEA WAIKIKI』となる新ラグジュアリーホテルのホテルレンタルプログラム(ホテル客室として稼働をさせることができるプログラム)に参加するためには、今回の改装は必須です。LXR Hotels & Resortsの『WAKEA WAIKIKI』というブランドのホテルに宿泊するに際して、部屋ごとにクオリティがマチマチではホテルとして成立しないためです。
よって、今後『WAKEA WAIKIKI』の客室の1つとして収益を上げていくことを希望するオーナーは、改修参加に手を挙げる必要があるということになります。
では、室内の改装予定のデザインも一部みていきましょう。
ハワイらしい温かみのある優しい雰囲気のお部屋になりそうです。お部屋の改装費用については2023年内に各オーナーに見積もりが提示され、2024年に3回の支払い、2025年1年間をかけて工事が実施される予定です。改修工事は部分ごとに行われ、工事中もホテルは営業を継続するとのことです。
ハワイ不動産・ホテル業界には大ニュースとなったこのトランプのブランド変更ですが、やはり懸念点となるのがその改装費用。総工費1億ドル規模ともいわれますが、現時点ではまだ詳細が明らかになっていません。
この費用負担をするのは結局のところ各オーナーとなるため、オーナーたちは戦々恐々としています。さまざまな意見が飛び交っていますが、最終的には良い判断だった、良い投資だった、と思える仕上がりになることを期待します。
また、『Trump Tower Waikiki』は各部屋が1つの不動産商品だということも見逃せません。
このブランド変更と改修工事が完結するまでの期間、いままで『Trump Tower Waikiki』の一室として売買がされてきた不動産が、今後どうなっていくのか、非常に注目です。というのも、単純に考えて改装費用は売主・買主どちらが負担するのか? ということで不動産売買時の交渉ごとになっていくでしょうし、このブランド変更・改修工事により、完成後実際にどの程度キャッシュフローが改善するのかも確定しておらず、未知数であるためです。
大きな期待と未知への不安がせめぎ合う格好になる『WAKEA WAIKIKI』。今後もハワイ不動産投資を考えている日本人投資家からの注目の的となりそうです。
田村 仁 株式会社Crossover International 代表取締役
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