「外国で売っている薬の中身が分からずに苦労をした」 訪日する外国人も経験するかも知れないこういった悩みに対して、大手の製薬メーカーが新たな取組みに踏み出します。ロート製薬では、今期にリニューアルされるパンシロンシリーズ(一部商品を除く)の製品パッケージにAccessible Code(R)(アクセシブルコード)を採用し、日本語を読むことが難しい外国人、ディスレクシアの方、弱視や全盲の方々にも、医薬品の製品情報を正確に届けられる環境整備に乗り出しました。

【概要】

 アクセシブルコードとは、多言語・音声対応の2次元バーコードで、スマートフォンで読取るだけで、その端末の設定に応じた言語で説明書の内容を表示し、音声化して読み上げる機能が付帯しています。また、アクセシブルコードの印刷箇所には、指で触っても認識が可能な凹みが施されており、視覚障害のある人でもその存在を認識してスマートフォンで読み取る事が可能*¹な仕様となっています。アクセシブルコードは、QRコード*²と同規格の為、読取りに専用アプリを必要とせず、世界中の幅広い医薬品利用者に情報を届けることが出来るユニバーサル2次元バーコードです。 

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*¹ エクスポート・ジャパン(株)がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受けた研究開発によって幅広い実証試験を行い、有効性を確認しました。詳しくは

https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101245.html


*² QRコードは株式会社デンソーウェーブが発明し、登録商標を持つ2次元バーコードです。規格がオープン化されている為、世界中で利用が拡大しています。



【導入の背景】
 コロナ後の訪日外国人数は2023年10月には251万人に達し、新型コロナウィルス拡大前(2019年)の水準を上回りました。その中で、日本のドラッグストアは訪日外国人からの人気も高く、OTC医薬品の売上に占めるインバウンド購買の比率も高まっています。
 一方、外国人の購入者にとって医薬品の用量・用法等に関する情報は、最大の関心事項であるにも関わらず、日本語が読めないほとんどの人はその情報を正しく理解する事が出来ません。加えて、小さな文字を読めないお年寄り、ディスレクシアの人、視覚障害がある人にとっても従来の記載方法では十分に情報を届けられないケースもありました。
 ロート製薬では、こういった情報格差を解消する手段のひとつとして、今月以降の出荷分よりパッケージリニューアル予定のパンシロンシリーズにアクセシブルコードを導入することを決定し、これまで情報が届けられなかった人々にも、商品の正しい情報を知ってもらう取組みをはじめます。



【アクセシブルコードの詳細】
 現在では世界人口の約7割*³が所有するようになったスマートフォンには、視覚障害等がある人にも使用可能な音声読み上げ機能(下図)が標準で付帯しています。この機能を利用すると、例え全盲であっても、スマートフォンを自在に操作し、ブラウザで指定のページを開くことによって文字情報を音声へ変換することが可能になります。(下記はiPhoneでの「ボイスオーバー」機能の設定例。Androidでも「TalkBack」という同様の機能があります。)


 現在では、この機能を利用して、視覚障害のある方々(特に全盲の人)の中で、スマートフォンを使いこなせる人の割合が高まっている事が調査結果*⁴としても報告されています。
 また、QRコードの読取りについても、これまで100名以上の視覚障害がある方々が参加した全国規模の試験によって、9割以上の人がその場所を触覚で認知できれば、読み取ることは可能である事が証明されています。


 そして、PIJIN社が開発したQR Translator*⁵というシステムによって、Web上から、複数言語に対応したQRコードを簡単に発行・管理する事が可能になっている為、このQRコードを医薬品などの包装パッケージ上に11mm四方で印刷するだけで、QRコードを読み取った人は、自身のスマートフォンの設定言語に合わせて、用法・用量や注意事項などの音声情報を得ることが可能になります。
アクセシブルコードはこれらの技術の組み合わせによって具現化されたサービスです。

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*³ Global smartphone penetration rate by Statista

*⁴ 「視覚障害者の意思疎通支援サービス、及びICT機器利用状況の地域間差の分析」新潟大学工学部 渡辺哲也

*⁵ 株式会社PIJINが開発したシステムで、発行されたQRコードをスマートフォンで読取ると、ユーザー端末の言語設定を自動認識して、翻訳された情報がテキストと音声で取得できる。(日本、アメリカ、EU、中国、韓国等で特許を取得)



【今後の展開】
 ロート製薬では、アクセシブルコードを搭載した製品を徐々に拡充していく予定です。商品パッケージという物理的制限のあるスペースを活用して、アクセシブルコード以上に幅広い消費者への情報伝達が可能な手法は、現時点では想定が困難です。将来的により多くのメーカーがユニバーサル対応に取組み、アクセシブルコードが世界中で利用される事になれば、QRコードの世界普及と歩調を合わせて、日本が世界のスタンダードを一段引き上げる役割を果たすかも知れません。

【より詳しい情報】
 アクセシブルコードの開発には、より多くのストーリーがありますが、文章に収まりませんので、ここでは割愛させて頂きます。ご興味をお持ち頂けたら、文末のお問い合わせ先にご質問下さい。

ロート製薬について】
 ロート製薬は1899年、胃腸薬「胃活」で創業しました。1975年にメンソレータム社の商標専用使用権を取得して以降、皮膚用薬の研究開発を進め、その後開始したスキンケア事業は現在、売上の6割以上を占めています。2030年に向けたグループ総合経営ビジョン「Connect for Well-being」を掲げ、一人ひとりが身体も心もイキイキと過ごせるように、健康を軸にさまざまなアプローチで事業を展開しています。

【エクスポート・ジャパンについて】
 「ビジネスを通じて多文化共生社会に貢献する」を経営理念に、2000年の設立時から、多言語とデジタルマーケティングを専門領域として活動しています。社員の国籍は、アメリカ、中国、ポーランドバングラデシュ等10カ国に及び、省庁・自治体、公共交通機関等を主なクライアントとしてサービスを提供している他、月間約200万人が閲覧する世界最大級の訪日メディア「ジャパンガイド(japan-guide.com)」の運営にも携わっています。

配信元企業:エクスポート・ジャパン株式会社

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