ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)はセクハラに関わる性別平等工作法の改正に伴い、セクシャルハラスメントに関する判例の解説コラムを期限限定で一般公開しました。

【係争事由】性別平等工作法第13条第2項に違反する罰則に取消訴訟

【裁判所】最高行政裁判所

【上告者】丙会社

【被上告者】新北市政府

【申立人】甲

【セクハラの容疑者】乙(会社の責任者)

  • 【判例解説】セクハラではないと判断した場合でも調査は必要か?

【訴訟の経緯】

・甲は2016年5月から2018年7月まで、丙会社で行政秘書として働いていました。乙は丙会社の責任者です。

・2018年7月26日、甲は乙からのセクハラを申し立てるために丙会社に內容証明郵便を送りました。しかし、丙会社は適切なセクハラ防止措置を講じなかったため、甲は同年8月1日に新北市政府労働局に訴えを提起しました。

・調査の結果、丙会社は性別平等労働法に違反していると判断され、10万台湾元の過料が科され、企業と責任者の名前が公表されました。

・丙会社はこの新北市政府労働局の処分に不服として、新北市政府に訴願を提出しましたが、その決定にも不服として、台北高等行政法院に行政訴訟(一審)を提起しました。一審判決に不服があったため、最高行政法院に上告(二審)を行いました。

【上告者・丙社の主張】

・事件現場には乙、乙の妻、甲の3人のみで、他に調査対象がいなかったため、追加の調査は不要とされた。

・丙社は8月27日と28日に従業員へのアンケート調査を行い、法的基準に従っており、対応に遅れはなかったと主張。

・甲は乙を強制猥褻で刑事告訴したが、この事件は乙に無罪判決が下された。

・労働局が過料を科す目的は、雇用主(乙)に事件の調査を要求する名目で、 被告(乙)に自己の罪を証明させるためだ。

・事件はセクハラではなく不倫の問題として民事裁判で認定された。

【裁判所の判決】丙会社の上告却下。

【裁判官の見解】

性別平等工作法に基づき、セクハラ事案が報告された際、雇用主は即座に調査を開始する義務がある。

丙社はこの義務を果たしていない。理由は、行ったアンケートが事実を明らかにするのに不十分で、調査が事件発生から1か月後に遅れて行われたため、即座で効果的な対応ではなかった。また、この調査の責任は乙個人ではなく、丙社にある。

【解説】

1. 本件は、企業がセクハラの有無を独自 に判断できないことを示しており、苦情が寄せられると、調査プロセスを開始しなければならず、かつ行為者が責任者である場合、調査プロセスでの関与を避けなければなりません。

つまり、苦情が提出された後、調査プロセスは完全でなければならず、経営者自身でセクハラがないと判断し、調査を実行しないことは、性別平等工作法の義務違反と見なされ、過料および責任者の名前を公表される処分を受ける可能性が高いです。

2. 本件は、会社の責任者によるセクハラの事例であり、来年3月8日に施行される性別平等工作法では、新たに「職権によるセクシャルハラスメント」が定義され、企業の最高責任者や雇用主によるセクハラ事案は罰則が重いです。更に、最高責任者や雇用主によるセクハラ事案に関して、被害者は主管機関に直接申し立てをすることができるようになりましたので、企業には細心の注意を払い、防止体制を早急に整える必要があります。

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※本コラムで紹介する裁判結果は、数ある裁判の一判例にすぎず、絶対的なものではありません。個々のケースによって異なる判断が下されることをご了承下さい。

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