Blackmagic Designによると、VFXスタジオのTrick Digitalが、アクション映画「57 Seconds」で、VFX/モーショングラフィックス・ソフトウェアであるFusion Studioを使用したという。このタイムトラベリング・スリラーでは、VFXのほかにもエキサイティングなオープニングの制作にFusion Studioが使用された。

モーガン・フリーマンとジョシュ・ハッチャーソンが主演を務める本作は、インタビュー中にテクノロジーの権威者に対する攻撃を阻止したテックブロガーが、57秒前の過去にタイムトラベルできる不思議なリングを発見する。

Trick Digitalは同作の200ショット以上におよぶVFXを完成させ、Fusion Studioの3Dシステムを使用して、ニュースやメインの登場人物に関連したブログの画面を含むオープニングクレジットも作成した。

VFX主任を務めたアダム・クラーク氏は、次のようにコメントしている。

クラーク氏:メインタイトルとオープニングで何か特別で格好良いものを作れないかと土壇場で依頼を受けました。作品の背景を伝え、始めの部分に印象に残るものを追加する必要があると感じました。メインタイトルのアニメーションのデザインから本作をスタートしたので、この追加のリクエストを喜んで引き受けました。

Blackmagic Design導入事例:アクション映画「57 Seconds」の場合

クラーク氏:非常にクリエイティブで遊び心をくすぐるプロセスでした。Fusion3Dシステムとノードベースのアーキテクチャにより、専用の3Dアプリを使用することなく、最終的なレンダリング映像のコンテキストにおいて、すばやくコンセプト化でき、クリエイティブに反復し、アイデアを100%反映できました。これは、可能であれば常に選択したいワークフローです。

同作で最も難しいVFXシーケンスの一つは、モーガン・フリーマン演じるアントン・バレルがスタジアムで話しているシーンだという。

クラーク氏:スタジアムの座席は独自の困難が伴いました。群衆のショット数があまりなく、グリーンバックを使用しないグループのショットがいくつか混ざっていたからです。

Fusionのノードベースのワークフロー、ペイント、イメージワープロトスコープツールのおかげで、あまり苦労することはありませんでした。撮影した人々の映像からロトスコープペイントを何度も使用し、群衆のキットを作成しました。人々の配置を変え、微調整を行って、遠近とワープで群衆のブロックを作成し、スタジアムの環境に適切に配置しました。

弊社ではFusionを20年以上使用しており、使用方法をマスターすることにより、作業を迅速化でき、創造面における自由が得られます。

ノードベースのワークフローは、制作に多くの理由で最適である以外にも、今までにないタスクをこなすために、火の輪くぐりのような、タイムラインベースの多くの時間と労力を要する作業を行わずに済みます。

Blackmagic Design導入事例:アクション映画「57 Seconds」の場合

ソフトウェア開発の経験がある同氏にとっては、Fusion Studioのスクリプト機能が非常に役立っているという。

クラーク氏:とても自然に感じます。エクスプレッションを書いて、視差をシンプルなポイントトラッカーに追加することで、人工的な奥行きを作成したり、ライトを点滅させたりといった作業が簡単に実行できます。創造面と技術面において、このレベルのコントロールが得られることは素晴らしいですね。究極的には、優れた映像を可能な限りすばやく作成でき、ツールの柔軟性が高いほど良いと言えます。

建物を変えたり、デジタルで小道具を作成したり、強調する上で、同作のVFXの要として同社はFusion Studioの3Dシステムを使用した。

クラーク氏:新しい平面トラッカーと3Dカメラトラッキング・ツールを大変気に入っています。

これらのツールをあらゆる用途に四六時中使っています。また、3D空間でのトラッキングマットなどのツールを用いることで、ロトスコープの使用を減らしたり、完全に使わなくても、元々の形状のポイントを変更できるのには非常に助けられています。

幅広いネットワークを作成して、マットを生成することで、必要なロトスコープを最小限に抑えられます。Fusionの素晴らしいロトスコープペイントツールのおかげで、通常は悩みの種であるプロセスをリラックスして作業できます。

Blackmagic Design導入事例:アクション映画「57 Seconds」の場合
Blackmagic Design導入事例:アクション映画「57 Seconds」の場合