11月26日、府中の森芸術劇場にて『ホロライブpresents Vのすこんなオタ活なんだワ! ~150回記念! 公開録音スペシャル!~』が開催された。今回、筆者は公開収録イベントの第二部を取材した。ここではその様子をレポートしていこう。

【画像】シチュエーションを決めて「ほかほかのカツ丼」の“なり切り”芸を披露する宝鐘マリン

 同イベントはインターネットラジオ局の「響ラジオステーション」内で配信されているラジオ番組『ホロライブpresents Vのすこんなオタ活なんだワ!』(通称:『すこだワ』)の公開収録イベントだ。VTuberグループ・ホロライブに所属する白上フブキ宝鐘マリンのふたりがMCを務め、2020年5月に放送を開始してからすでに3年を超える長寿番組となっている。今回の公開収録は、『すこだワ』150回目の放送を迎えた記念として開催されたものだ。

 白上フブキ宝鐘マリンといえば、「フブマリ」もしくは「BABACORN」というコンビ名でファンから知られているが、ふだんのYouTube配信で肩を並べる機会はそこまで多くない。

 そんな2人に共通する魅力といえば、YouTube配信などでのリスナーとの巧みな会話、やり取りであろう。

 ソロ配信であれ多人数とのコラボ配信であれ、漫才のようなネタを仕込んでは笑いを起こしてみたり、ときにはシリアスかつ感情をあらわにして語りかける。そんな飽きさせないトークは多くの視聴者を惹きつけ、それぞれがYouTube登録者数は200万人を超えるほどのファンを獲得してきた。

 今回の公開収録には、ゲストとしてにじさんじに所属する星川サラが参加。これまでにもラジオにゲストが登場することは何度となくあったが、その多くが同じホロライブに所属するタレントや、白上/宝鐘両名が敬愛する声優たちであり、にじさんじのタレントが参加するのは今回が初めてなのだ。

 筆者が取材したのは、17時30分からスタートする第2部の回だ。前半は『ホロライブpresents Vのすこんなオタ活なんだワ!』の公開収録、後半は会場向けトーク&バラエティコーナーという内容になった。

 なお、前半の公開収録部分についてはネタバレとなるため本稿では割愛する。2023年12月上旬に公開される放送を楽しみにしていただきたい。

 それでもネタバレにならない範囲で記すとすれば、この日14時から先におこなわれていた第1部を通して肩の力が抜けていたのか、白上・宝鐘・星川の間からは親しい距離感・どこかリラックスしたムードを感じられたことが印象的であった。

 『すこだワ』を聴いたことがないという方に向けて、普段のYouTube配信と異なる、ラジオならではの魅力についてもお伝えしておこう。YouTube配信とラジオ番組とでもっとも異なるのは、しゃべりの温度/テンポにある。YouTubeでふたりがコラボするときは宝鐘が茶化し役/ボケ役となり、白上がまとめ役/ツッコミ役に回りがち。大げさな振る舞いでボケる宝鐘を、白上が笑いながらツッコんでという形だ。

 一方で『すこだワ』内でのふたりはというと、意外にもそういった態度やスタンスを見せることが少ない。いくつかのコーナーやテーマにまつわるエピソードをリスナーから集め、それを元にトークを進めていき、ほどよいテンポ/トーンをキープする。

 ボケ/ツッコミ役というロールはいったん気にせず、相槌を的確に打ってスムーズに話題を膨らませていく。『すこだワ』は、会話上手でノリの良いふたりのパーソナリティによる心地よいトーク番組となっているのだ。

 この日のイベントでは星川サラというゲストを輪にくわえたことと、公開収録であることも相まってか温度感・関係性が大きく変化。宝鐘が臆することなく攻めた発言をすれば、合わせるように星川も攻めた発言で切り返し、白上がうまく2人をまとめてトークを進めていくという流れで進んでいった。

 11月15日に公開された第153回放送内では、「せっかく星川が来るのだから、(彼女を)巻き込んだ内容にしたいよね!」と2人は話していたが、各種コーナーの内容も含め、3人分の“らしさ”が詰まった内容となっていた。

 公開収録となった前半パートが終了すると、すぐに後半パートが始まった。

 まず、公開収録の感想を振り返る3人。「会場に来てくれたみんなが笑ってくれるのが良い」と話す星川をはじめ、生のリアクションを聞きつつラジオ収録ができたとうれしそうだった。

 つづいて、会場に来たファンを巻き込んだ参加型の企画『目指せ!オンリーワンアンケート』が開催される。

 会場に集まったファンにあらかじめ起立してもらい、白上フブキ・宝鐘・星川らがアンケート内容を考え、それをファンに投げかける。内容に該当する者は立ったまま、該当しない者は座っていき、最後の1人になるまで続けていくという、非常にシンプルな企画だ。

 1番手の白上からは「東京以外からきた人はいるか?」、2番手の星川からは「単推しのひとはいますか?」、宝鐘からは「私たち3人以外が推しのひとはいるか?」と徐々に攻めた内容を投げかけていく。攻めた内容が功を奏し、この時点で10人ほどまで絞ってみせた。

 ラスト1人まで絞ってみせようとさまざまに考える3人。ここで星川が「昨夜食べた」というカルボナーラにちなんで「昨日の夕飯、カルボナーラを食べた人は?」という質問を投げかけると、残り4人にまで一気に絞られる。見事なファインプレーだ。

 つづけて星川が「少し聞きづらいけど、にじさんじの配信を一度も見たことがないひとは?」と問いかけると、残り2人に。つづけて宝鐘が「じつは、フブキとわたしの『すこだワ』を聴いたことがないのに今日のイベントに来たひとは?」という自虐的な内容を投げかけると、最後の1人まで絞り込むことに成功した。

 これには出演者3人と会場が大いに湧いたのはいうまでもない。ラスト1人となった観客に向けて、「東京から来てなくて、単推しだけどそれが私たち3人じゃなくて、昨日の夜カルボナーラを食べていて、にじさんじの配信や私たちのラジオも聞いたことがない。あなたは一体なに?!」と宝鐘が直球なツッコミを投げかけていたが、まさにオンリーワンな人物だといえよう。

 とはいえ一つ分かることは、もしも当人らを知らなかったり、そのコンテンツに触れたことがなくても「ホロライブのリアルイベントだし、せっかくだから行こう」という熱いファンがいるということだ。それほどにホロライブというコンテンツに対して厚い信頼を寄せているということにほかならない。

 終盤には、白上と宝鐘2人によるユニット・BABACORNの新曲の一部歌唱パートを発表するなど、ちょっとしたサプライズも挟みつつ、無事にイベントは終了となった。

 テンポよく会話をつづけ、会場に集った多くの観客を終始笑わせ続けた約90分間。3Dビジュアルを使って全身の姿を映し出すことも、なにかの楽曲を歌うような歌唱パートもない。3人のプロフェッショナルなトーク力と、フレンドリーなムードを純粋に楽しめるイベントであった。

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(文=草野虹)

会場の様子(© Bushiroad Move.,©HiBiKi Radio Station,© 2016 COVER Corp.,©ANYCOLOR, Inc.)