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 手元にあるスマホのナビが目的地までのルートを教えてくれるようになった現代、私たちは気軽に道案内を利用できるようになった。

 しかしそのルートはいつも完璧で安全とは限らない。スマホの地図アプリもとても便利なツールだが、それにひたすら頼りすぎると大変な目にあうこともある。

 ナビが情報が古かったり誤っていたり、信号や標識を無視したり、不適切な道路や場所に誘導される恐れがあるからだ。

 アメリカのTikTokユーザー、シェルビーさんらは先月団体でそんな事例を経験したばかりだ。

 彼女ら一行は車でラスベガスからロサンゼルスに帰る途中、グーグルマップのナビを使ったところ、なんと砂漠で迷子になった。しかも彼女たちだけじゃない。同じナビを使った車が一列に並ぶほどだったのだ。

【画像】 グーグルマップを利用して車で帰宅を始めたシェルビーさん一行

 先月19日の日曜日、カリフォルニア州ロサンゼルス在住のシェルビー ・イースラーさんと仲間たちが経験したのは、ナビを利用しながらそろって迷子というとんでもない出来事だ。

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 その日、兄弟やその家族みんなでそろってF1レースを観戦しようと、それぞれに車を出してネバダ州ラスベガスの会場に向かったシェルビーさん。

 ロサンゼルス-ラスベガス間は一般に、車で4時間半ほどかかるが、悲劇が起きたのは帰り道。レースを楽しく見終えたシェルビーさん一行が、みんなでロサンゼルスに戻る途中で起きたという。

砂嵐の渋滞を避けグーグルマップのナビを頼りに迂回

 シェルビーさんによると、その時すでにグーグルマップを使っていたが、帰りに通るつもりだった州間高速道路I-15が、砂嵐で一部通行止めによる渋滞になったため、アプリが提示したネバダ砂漠を突っ切る迂回路で帰ることにしたそうだ。

 大半が乾燥地域で、砂漠が多いネバダ州では、砂が強風により塵や砂が激しく吹き上げられる砂嵐が頻繁に起こる。すると道路が通行不能になることがよくある。

 しかもその日は日曜。ただでさえ渋滞するのにそこに巻き込まれたらいつ帰れるかわからない。でもグーグルマップのナビならきっと別ルートでもスマートに早く着けるはず。

 しかしその選択がのちの悲劇を招くことになる。シェルビーさんはのちに知ったのだが、実は I-15 以外の道などなかったのだ。

その時の私たちは、それ(グーグルマップのナビ)がより安全だと思ってたんです。実際ナビは最初、50分早く着くって表示だったんですよ。私はロサンゼルスとラスベガスの往復は初めてで、それができるのは I-15 しかないことを知らなかったんです

気づけば道なき道で迷子に!車も故障し立ち往生

 混雑する I-15 を避けるため、グーグルマップが再計算した迂回路は、シェルビーさんらを一般道から舗装のない道に導いた。

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 2時間以上ナビに従い続けた彼らはいつのまにやら砂漠地帯に入っていたが、それでも彼らは苦労しながらグーグルマップのルートを辛抱強くたどって行った。

 ところがそのうち、前方から巨大なトラックに乗ったドライバーが引き返してきて、どこにも道がないから戻らねば、と彼女たちに告げた。どうやら前に走っていた車も同じようにグーグルマップのナビをあてにしていたようだった。

 それがきっかけで彼らは、実は自分たちが完全に道を見失っていて、キングストンピークの砂漠地帯の真ん中で迷子になったことを自覚した。

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 道はすでに無く、文字通り「ここはどこ?」状態に陥っていたのだ。

 だがその時には、オフロード向きでもないのに砂塵の中を無理して走ってきた車が次々不調をきたしており、出せるスピードも時速約3キロにまで落ちていた。

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 砂漠の悪路のなかではUターンもままならず、同じように追従している他の車もそれぞれ故障をきたしていて引き返すにも引き返せない。そもそもどこに向かえばいいのかもわからない。

救助も望めず最後はレッカーで脱出

 現状に気づいたシェルビーさんらは、911に連絡。カリフォルニアハイウェイ・パトロール(CHP)に救助を求めた。

 だが残念ながらCHPは、I-15 の道路の封鎖や事故対応に追われていたため、彼らの救助に向かうことはできなかった。

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 そこで彼らはレッカー車を呼ぶことに。その頃は5時を過ぎてたが順番に車をレッカー移動してもらう以外に方法はなかった。

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 シェルビーさんの車はディーラに運ばれたが、着いた時には右の後輪が外れ、アライメントもおかしくなるなど散々な目に遭ったという。

この件で米グーグルが謝罪。シェルビーさんは今後既知のルートを優先

 ドライバーが数名いたにもかかわらず、全員がグーグルマップのナビにつき従った結果、団体で迷子になってしまったシェルビーさんと仲間たち。

 なおロサンゼルステレビ局KTLAによると、迷った人が続出した今回の件についてはのちに米グーグルマップも誤誘導を認めて謝罪。二度とこのルートを表示しないよう対処したと述べたそうだ。

 ナビゲーションシステムが発達した便利な時代だからといって、妄信は禁物。示すルートがすべて完璧・安全とは限らない。

 みんなも知っているとおり、気軽に使えるグーグルマップの地理情報はリアルタイムではない。マップが古いまま新しい道路が反映されない場合や、このような誤誘導も起こりうる。

 なのに一度でも通ったことがあるルートならまだしも、砂漠地帯もある場所で未知のルートを行こうとするのはやっぱり無茶ではなかろうか。

 うっかり迷っても戻れるならいいが、グーグルマップのナビに従って壊れた橋を渡った男性が事故死したケースのように取り返しがつかなくなったら元も子もない

 この件に懲りたシェルビーさんは「今度から知ってる道だけにしてルートが不安な時は確認することにした」とコメント

 渋滞は避けたいし、一刻でも早く着きたい気持ちは誰にでもあるが、この件のように知らない場所のときには特に時間がかかっても一般道を選んだり、ナビなら頻繁にルートをチェックしつつの安全運転につとめたいものだ。

References:sfgate / nypost / tiktok / ktlaなど /written by D/ edited by parumo

 
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グーグルマップに従った結果、ドライバーが列をなし砂漠の道なき道へ案内されGoogleが謝罪