【革の知識まるわかり】本革財布の価値は革の魅力で7割決まる!知ればもっと好きになる本革財布の世界

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本革財布に用いられる革にはたくさんの種類があります。この記事では革の歴史、種類、産地など基礎知識をおさらいしていきましょう。価値の7割は革の魅力で決まるという本革財布の世界……決まる知れば知るほど、愛用の財布がもっと愛おしく感じられるのではないでしょうか。

【豆知識01】そもそも革って何?

人と皮革の付き合いは旧石器時代から続いている人類と皮革の付き合いは古く、およそ200万年前(旧石器時代)にはすでに始まっていた。狩猟で得た動物の毛皮や革を身につけ、寒さやケガから体を保護していたといわれており、皮革はそれほど古くから人類と関わりの深い素材であったのだ。現代を生きる私たちが今も革を利用し、革に惹かれるのは、そういった歴史が魂に刻まれているからかも。

使われている革のほとんどが畜産副産物を有効活用したモノ革の原材料となるのは、もちろん動物の皮だが、皮を取るためだけに動物を殺すことは禁止されている。代表的な牛革や豚革などはあくまで食肉用に飼育された家畜の産物として、本来廃棄される原皮を有効活用しているもので、いただいた命に感謝し、すべてを無駄なく使いきることはエコ、サステナビリティにもつながっているのだ。

動物の皮はそのままでは腐ってしまったり、カチカチに固まったりしてしまう。皮を丈夫で長もちする革にするために、人類は鞣しの技術を生み出し、伝承してきた。鞣しとは皮のコラーゲン繊維に植物タンニンやクロム化合物など(太古は燻煙や樹脂を使用)を結合させることで、皮本来の性質を維持し、しなやかで丈夫な耐久性のある革となるのだ。

【豆知識02】革の種類

革には一般的によく目にする牛革や馬革、豚革、羊革などたくさんの種類がある。それぞれの特徴を知れば、財布選びがもっと楽しくなる。

【牛】Cow【牛】Cow
牛革は革素材の代表格。月齢によって細かく分類され、生後6カ月以内の仔牛をカーフ、生後6~24カ月くらいをキップと呼ぶ。

【馬】Horse【馬】Horse
繊維構造は粗いが、緻密で柔軟性に優れる。特に農耕馬特有の強靭な臀部の皮は高級素材のコードバンとして人気が高い。

【豚】Pig【豚】Pig
薄くて柔らかながら耐摩擦性に優れる人気素材 。通常3本の単一毛穴が特徴で銀面には凹凸が多い。カバンの裏革や袋物などに用いられる。

【鹿】Deer【鹿】Deer
古くから武具などに用いられてきた日本の伝統的な素材。比較的薄くて丈夫、毛穴が大きく通気性、吸湿、放湿性に優れる。

【山羊】Goat【山羊】Goat
弾性繊維の密度が濃く、繊維束の交絡が少ないため、強靭でありながら薄くて柔軟。仔山羊の皮はキッドスキンとして珍重される。

【羊】Sheep【羊】Sheep
品種が多く、用途別に毛用、肉用、毛皮・乳用種などに大別 。軽くて柔らかな特性を持ち、 仔羊は高級素材のラムスキンに。

【爬虫類】Reptiles爬虫類】Reptiles
エキゾチックレ ザーを代表するワニ、ヘビ、トカゲなどが含まれる。独特のウロコ模様が個性的で、マニアックな人気を持つ。

【豆知識03】革の産地

革は古くから世界中で作られていて、その国、土地を代表する特産革がある。財布の素材に用いられ、日本でも人気の高い革の産地を知ろう。

イタリア】バケッタレザー
バケッタ製法と呼ばれる、植物タンニンを長い時間染み込ませて鞣すトスカーナ州伝統の革が世界的に有名。イタリアンレザーとも。

【英国】ブライドルレザー
古くから馬具用としてブライドルレザーが
作られてきた。トーマスウェア&サンズ社、J&FJ.ベイカーなど名立たるタンナーが存在。

【アメリカ】コードバン
牛革はもちろん、馬革の生産地としても有名。特にホーウィン社が作るシェルコードバンは、世界中の革好きに愛される存在。

インドネシア】エキゾチックレザー
南アフリカと並ぶエキゾチックレザーの産地。ダイヤモンドパイソンリングマークトカゲが人気。養殖も盛んに行われている。

フランス】カーフレザー
高級ブランドが多数あるフランスはカーフやゴート、シュリンクなど上品な革が有名。デュプイ社やアノネイ社などが知られる。

【豆知識04】革ができるまで

皮はそのままでは製品として使えない。長い時間をかけ、幾つもの工程を経て革になる。革になるまでの代表的工程をかいつまんで紹介。※革の製作工程は代表的作業を抜粋したものです。

原皮原皮:原皮は国内産を除き、通常、腐敗を防ぐため塩漬けまたは乾燥、さらには半鞣しの状態で輸入される。豚皮以外は多くが輸入皮。

水漬水漬:皮に付着している塩分や汚物などを取り除き、脱水された水分を補い生皮の状態に戻す。パドルやドラム(太鼓)を使用する。

脱毛・石灰漬け脱毛・石灰漬け:石灰乳に浸漬させ、アルカリによって皮を膨潤させコラーゲン繊維をほぐすとともに、毛、脂肪、表皮層を分解除去する。

垢出し:処理しきれなかった毛根などを取り除き、銀面をきれいに。垢出機(スカッディングマシン)または銓刀を用いて圧出除去する。

脱灰・酵解脱灰・酵解:残存した石灰を取り除き、鞣し剤の浸透を容易に。酵解とはタンパク質分解酵素により不要なタンパク質を分解除去すること。

鞣し鞣し:用途に合わせてクロム鞣し、タンニン鞣し、クロム+タンニン鞣しなどを行う。タンニン鞣しは半年以上時間をかける場合も。

水絞り・伸ばし水絞り・伸ばし:機械(サミング・セッティングマシン )を使い 、 鞣した革から余分な水分を絞り、革を伸ばす。水分を除 いた後に加脂が行われる。

乾燥乾燥:革中の染料や加脂剤を固着させるために乾燥させる。自然乾燥または熱風乾燥。革の感触に直接的に影響する重要な工程。

ステーキングステーキングステーキングマシンを使い、革を揉みほぐし、柔軟性や弾力性を与える。この後に張り乾燥、縁断ち、銀むき 、塗装などの工程へ。

アイロン・艶出しアイロン艶出し:オーダーに応じて、艶出しアイロン、ポリッシングなどの仕上げ工程が行われる。型押し加工や揉み作業なども仕上げ方法の一つ。

製品革が完成このように様々な工程を経て製品革が完成!

今回は、革にまつわる豆知識を多数取り上げました。いま本革財布を使用している人にとっては、より愛着が増したのではないかと思います。また、これから本革財布を購入したいと検討している人にとっては、改めて基礎知識を復習できるよいきっかけになったのではないでしょうか。長く使い続けることで味が出る製品だからこそ、大切に選びたいものですね。

撮影/坂下 丈洋(BY THE WAY

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