コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は太川善之さんの『田中と鈴木』(小学館)をピックアップ。

【漫画】タピオカ“飲むvs食べる”論争で殴り合い!?福岡の田舎町に住む男子高校生の日常がゆるくて面白い

田舎に暮らす男子高校生2人の楽しく気だるい日常を描いた本作。10月10日に作者がX(旧Twitter)にて「田舎についにコンビニがオープンした話」(コミック第1巻収録)を公開したところ6000以上の「いいね」が寄せられ話題に。この記事では、自身も田舎出身であるという作者・太川善之さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。

幼馴染の田中と鈴木 2人のかけがえのない友情と“田舎あるある”満載の青春漫画

人口約2000人の福岡県K町に住む高校1年生、田中龍夫。中学時代には不良を束ねる番長だったが、卒業旅行で東京に行った際に「うわっ、ダサっ」と言われたことで不良をやめることに。田中の幼馴染である鈴木英二も同じくヤンキーとして中学時代を一緒に過ごしていたが、田中の突然の“裏切り”によって鈴木もまた不良をやめ、2人は友情を深め合っていた。

そんな2人が生活を送るのは、緑とお年寄りとフォトジェニックな風景に囲まれた小さな田舎町。コンビニもなく、唯一の娯楽施設は涼しい図書館で、若者たちは2時間かけて自転車で隣町のデパートへ行くほどの田舎っぷりだった。

しかしある日、自分たちの町についにコンビニエンスストアがオープンすることを聞きつける。オープン初日に訪れてタピオカミルクティーを買った2人は、近所の公園に立ち寄って早速試してみることに。「初めて飲んだけど結構おいしいな」と言う田中に、無言で涙を流しながら「博多で“食べた”専門店のタピオカはこんなもんじゃねぇ」と悔しがる鈴木。そんな中、鈴木の“タピオカを食べる”という言い方が気になった田中が指摘するとそこから2人の意見はどんどん食い違い、ついには殴り合いの喧嘩に発展してしまう。しかし最後は思わぬ結末が待ち受けていて…。

田舎町に暮らす“元ヤン男子高校生2人の、日常の中に散らばるかけがえのない友情が描かれている本作。ゆるい会話と田舎暮らしならではの“あるある”なエピソードにも反響が集まり、SNS上では「青いわァ!」「2人の友情良い…」「この2人のノリとか会話をずっと見ていたい…」「好き」「めっちゃ男子高校生って感じ」「スローライフのあるある漫画として面白い」などのコメントが寄せられ話題となっている。

■“自分が経験したかった青春”を詰め込んで 作者・太川善之さんが語る創作背景とこだわり

――『田中と鈴木』が生まれたきっかけや理由があれば教えて下さい。

田舎出身の私が都会に引越し電車に乗って通学する小学生を見て驚き、逆に都会生まれの方から見たら田舎の学生の生活は馴染みがなく面白いかもしれないなと思い採用しました。

――田舎町に住む男子高校生2人の友情が面白おかしく描かれている本作ですが、物語を描くうえでこだわった点や「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。

こんな友達欲しいなと思ってもらえるよう、自分が経験したかった青春はみんなも経験したいはずだ!…と思い込み描きました。

ポイントは時々出てくるおじいちゃんおばあちゃんがかわいいので見てほしいです(笑)。

――田中龍夫と鈴木英二、二人のキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?

とにかく元ヤンが描きたくて男子高校生2人にしました。

鈴木のビジュアルは元々坊主でしたが編集さんから坊主はやめましょうと言われ金髪クリクリにしました。生やして本当によかったです。

――本作の中で太川さんにとって特に思い入れのあるエピソードやセリフはありますか?

「きっと一生馬鹿やってますよ。馬鹿なんで。」ですね…。

2人にはずっと馬鹿やっててほしいし、主人公もきっとそう思ってるんだろうな…と印象に残ってるセリフです。

――太川さんは本作以外にも『真夏日、30分』や『スタンド・バイ・ユー』(いずれも小学館)など様々なテーマでの人間模様を描いていらっしゃいますが、創作活動全般においてのこだわりや特に意識している点がありましたら教えてください。

自分が感じたりかけてもらった言葉を使うことが多いです。

人間関係に恵まれているので必然的に嫌なキャラが出てきにくいですが、それはそれで良いんじゃないかと思います。

――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。

作品を読んでくださりありがとうございます!また沢山描いていきたいと思いますので是非とも気軽に楽しんでください。

地元にコンビニがオープンし喜ぶ2人…太川善之さんの『田中と鈴木』が話題/(C)太川善之/小学館