ZeekerssがリリースしたPC(Steam)向けホラー『Lethal Company』。11月中旬には同時接続者数が10万人を超え、人気配信者にもプレイされているなど、いま勢いのあるインディーゲームの1本だ。本稿では、そんな本作の人気の理由を考察していく。

参考:【画像】恐ろしいクリーチャーが登場する『Lethal Company』のスクリーンショット

■仲間との協力して困難を打開するスクラップ回収ゲーム

 本作は荒廃した月を部隊にしたホラーゲームで、最大4人でプレイすることができる。プレイヤーは、工場や自然、そしてクリーチャーが存在する月でスクラップを集め、ノルマを達成していき、稼いだ資金で装備を整えて次のミッションに挑むというのが本作の大まかな流れとなる。

 なお、本作はパーティーでのプレイを前提としており、一人でミッションをこなすのは難しい。特に廃工場やフィールドを徘徊しているクリーチャーは非常に強く、一人で対処するのは困難だ。

 クリーチャーには、スライムや小型の虫などもいれば、こちらが見ているときは動かず、目を逸らすと襲い掛かってくる機械人形や、見続けると襲ってくるモンスターなどさまざまなものが存在する。一方のプレイヤーは、スコップや電流を流すZap Gunなどクリーチャーに対応する手段はあるものの、こちらは攻撃を食らえば一瞬で殺されてしまうのに対し、これらの武器は非常に貧弱。そのため、基本的には周囲を気にしながら探索をし、敵に見つかったら逃亡するというのが基本的なプレイとなる。

 また、本作には時間の概念も存在し、期日内に回収ノルマを達成しなければ解雇され、宇宙に放り出されてしまう。衛星内でも時間は進み、夜になると視界が悪くなるだけでなく、危険なクリーチャーとの遭遇率が上がってしまうので、いかに早く、効率よくスクラップを回収するかが攻略のカギとなる。

 プレイヤーはアイテムを駆使し、仲間と連携することでこうした困難に挑むことになる。アイテムは武器だけでなく、周囲を照らせる充電式の懐中電灯や、仲間と通信するための無線などさまざま。アイテムを持てる量は決まっており、スクラップスロットは共有となっているため、仲間のなかで誰がどのアイテムを持ち、どれだけスクラップを抱えるかはチーム内での相談が必要だ。

 アイテムを用いた仲間との連携は本作の魅力の一つで、無線機を用いれば仲間と通信をしながらスクラップを回収できるだけでなく、一人を拠点となる安全な宇宙船に残し、モニター越しに指示を出してもらうといった役割分担が可能となる。

 また、敵クリーチャーに対してもZap Gunはダメージがないが、当てている間は敵が痺れるので、他のプレイヤーがシャベルで殴ればクリーチャーを倒すことができる。アイテムがあれば仲間と強力することで打開できる状況が増えていき、ミッションクリア時の達成感をチームで分かち合うことが可能となっている。

■あえてゲーム内VCだけでのプレイを推奨

 本作はDiscordなどのボイスチャットツールの使用は非推奨だ。近くのプレイヤーの声しか聞こえず、距離が離れるほど声が小さくなるゲーム内VCの方が臨場感あふれるプレイが味わえ、無線機の活用もより重要となってくる。

 たとえば、廃工場を探索していると、金属がぶつかるような音や、なにかの足音が聞こえてくる。ゲーム画面が暗いのも相まって、仲間から離れていると心細くなることも少なくない。そんななか、なにかが走って近づいてきたと思ったら仲間の足音だったりすれば笑いが起きる。また、トランシーバーで呼びかけても誰も反応せず、自分以外が全滅しているのを悟り、仲間を殺したクリーチャーに怯えながら帰路につくといったこともある。死んでしまったプレイヤー同士は会話ができるので、生き残ったプレイヤーを見ながらアレコレ言い合うことができるのも面白い。

 こんなふうに、あえてゲーム内VCのみでプレイすることで、本作のホラー要素や仲間とのコミュニケーションといった要素が際立ってくる。難易度は上昇するものの、本作の魅力を存分に楽しむことが可能なので、プレイの際はDiscord等をミュートにするといいだろう。

■パーティー内で相談できる選択

 リプレイ性の高さや、選択肢の多さも本作の魅力だ。無事にスクラップを回収して宇宙船に戻り、ノルマを達成できたらCompanyに売却し報酬を得ることができるのだが、ノルマを達成した後も、期日に余裕があれば更なる資金を稼ぎに探索に繰り出すこともできる。報酬の使い道も装備だけでなく、船やスーツのカスタマイズなども存在するため、限られた資金で何を購入するかは悩みどころだ。

 また、衛星の地形はプレイごとに変化し、プレイのたびに出現するクリーチャーやトラップの位置や種類が異なってくる。衛星の天気も行くたびに変わり、晴れている衛星は危険度が低いが、霧の日には見通しが非常に悪くなり、目的地にたどり着くのにも苦労させられる。嵐の日には金属を持っていると落雷を受け即死する危険がある。

 こんなふうに、本作ではプレイごとに衛星の状況が変わるため、毎回違ったプレイを楽しむことができ、変化に応じて資金をどう稼ぐか、どう使うかといったことや、どの衛星でスクラップを回収するかなどをパーティーで話し合って決めることとなる。

 スクラップ回収中に全滅しても「あっちの衛星にいけばよかった」「この装備を持っていけばよかった」「次はこういう役割分担で挑みたい」といった会話のタネになり、次の探索へのモチベーションになるのもポイントだ。こうしたリプレイ性の高さと、さまざまな選択がコミュニケーションのきっかけになっている点も、多くの人が本作にハマる理由の1つだろう。

 本作はほかにも、ノルマを達成できず宇宙に放りなげられるなどのコミカルな演出や、クリーチャー図鑑のような収集要素も存在し、好評を得ている。また、日本語サポートはないものの、少しプレイすればゲームの流れは簡単に理解できるのもありがたい。

 総じて、一人でプレイするのは厳しいが、複数人でプレイすればほかのプレイヤーとの役割分担やチームワークが重要となる、コミュニケーションの楽しさを感じられるゲーム性が本作最大の魅力ではないだろうか。

 なお、今後もマップやクリーチャーなどの様々な要素がアップデートで追加されるとのこと。日本語への対応も期待したいが、今後価格が上がる可能性もあるので、気になる方は今のうちに手に入れておくのもいいだろう。

(文=堀江くらは)

『Lethal Company』人気の理由は?