日産自動車の人気車両が一堂に会する試乗会が2023年11月29日に都内で行われた。今回はその中から、注目されている最新の電気自動車「アリア B9 e-4ORCE limited」と、ファミリーにも人気の「セレナ e-POWER LUXION」に試乗。特徴や魅力、運転してみた感想を紹介する。

【写真】大容量のバッテリーを搭載した「アリア B9 e-4ORCE limited」

■力強い加速と滑らかな走行を実現した、上質なクロスオーバーEV「アリア B9 e-4ORCE limited」

試乗コースは、旧山手通りから八幡通りを抜け、明治通りを経由して国道246号を巡り、再び旧山手通りへ戻ってくる、ぐるっと1周約15分のコース。まずは「アリア B9 e-4ORCE limited」のハンドルを握って1周してみた。

「アリア」は、日産が初めて手がけた世界トップクラスの性能を持つクロスオーバーEV。その中でも「アリア B9 e-4ORCE limited」は、91kWhの大容量バッテリーと、前後にモーターを搭載した4WDシステム「e-4ORCE」を搭載した最上級モデルとなる。WLTCモードでは最大560キロの航続可能距離を実現しており、2WDモデル「B6」の66kWhバッテリーの470キロよりもおよそ100キロ長い。

「e-4ORCE」は、前後のモーターがそれぞれのトルクを個別制御。加速時のトラクション性能はもちろん、減速時にもクルマの沈み込みを抑制し、車体の揺れを軽減する。さらに、コーナリング時には4輪のブレーキも個別に制御して、迅速かつスムーズなハンドリング感覚をもたらしてくれる。これらの制御のおかげで、雨天や雪道などのコンディション下でも、技量を問わず安心して運転することが可能。

日本の伝統的な行燈を表現した車内照明や、石庭をモチーフとしたフロアカーペットBOSEのプレミアムサウンドシステムなどの内装が、ラウンジのような高級のある快適空間を演出する。

「アリア B9 e-4ORCE limited」での走行を終えて

スタイリッシュで上質感あふれるデザインの「アリア B9 e-4ORCE limited」の試乗は、出発前から驚かされた。なぜなら、クルマの電源を入れると無垢の木目調だったパネルに、エアコンなどの操作スイッチが、フッと白く浮かび上がったから。そんな心憎い演出に、運転する前から期待値がグッとアップ。

そして、スタートしてみると、電気自動車ならではの静粛性に感動した。モーター駆動なのでエンジン音がするわけもなく、どうやら外の音も遮断されているよう。BOSEのサウンドシステムから流れてくる音楽が心地よかった。また、センターコンソールを後ろにスライドさせることで、足元の空間が確保され広々。信号が青に切り替わったときの蹴り出しもスムーズで、キュイーンと快適に発進。246号の上り坂もグイグイとパワフルに上り、都心の混雑しがちな道路も快適に走行できた。

■ファミリーに全力でおすすめしたい、最高グレードの「セレナ e-POWER LUXION

一方の「セレナ e-POWER LUXION」は、人気ミニバン「セレナ」の最高グレード。高速道路でのハンズオフ運転が可能な「プロパイロット2.0」を唯一標準搭載しているグレードになる。さらに、「e-POWER」と呼ばれるハイブリッドシステムを採用し、ガソリンエンジンが発電機として働きモーターだけでの走行が可能に。これにより、電気自動車のようなスムーズで静かな走りと、高い燃費効率を実現している。

車内は、7人乗りのゆとりのある設計。しかも2列目は、両側にアームレストが装備されたキャプテンシート仕様で、上質なくつろぎ空間が提供されている。さらに、車酔いを科学的に追求している点にも注目したい。車酔いは「体性感覚」「嗅覚」「ストレス」「視覚刺激」の4つが主な原因とされるため、頭部を揺らさない工夫のほか締めつけを軽減したり、プラズマクラスターで匂いを抑えたりと、さまざまな車酔い対策を実施している。

また、100V AC電源(1500W)をオプション装備。冷蔵庫やドライヤー、電気毛布も使えるので、アウトドアを快適に楽しむことができる。移動はもちろん、ファミリーのかけがえのない時間が楽しめる、最強のミニバンとなっている。

セレナ e-POWER LUXION」での走行を終えて

そんな「セレナ e-POWER LUXION」を走らせてみて、まず感じたのは、視点の高さと大きなフロントガラスによる開放的な視界の広さ。渋谷駅周辺の道路工事や複雑な車線も、高い位置からしっかり状況が把握できた。そして、大きな車体の割に曲がりやすく、「e-POWER」のおかげで発進時の蹴り出しもスムーズ。まったくストレスを感じなかったのも印象的だった。目線を逸らさずに安心してナビ情報が把握できるのもグッド。フロントガラスに映し出されるカーナビの情報が、普段走り慣れていないコースを走るときや初心者にとっては、心強い味方だと感じた。

■「プロパイロット2.0」も注目の機能!

今回の試乗会では高速道路を走行しなかったので、残念ながら両車種に搭載されている運転支援技術「プロパイロット2.0」を体験することができなかったため、ぜひ次回はチャレンジしてみたいと思っている。また、自宅など白線がない駐車場でも、自動で駐車してくれる「プロパイロットパーキング」も体験してみたいと思った。

今回の試乗会では、アリアの静粛性やセレナの安定感などそれぞれの特徴を感じることができ、日産自動車の技術革新を十分に体感できた。興味がある人は、近所にある日産自動車ディーラーに足を運んで、ぜひ試乗してみよう!

取材・文・撮影=北村康行

新型コロナウイルス感染対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。

試乗前に各車種の説明会を実施