2023年、反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。世間を騒がした「困った客」部門、店員が本音を語る迷惑客の数々から第4位はこちら!(集計期間は2023年1月~10月まで。初公開2023年5月22日 記事は取材時の状況)
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 本来は売上に貢献してくれるはずのお客のなかには、恐怖やイラつきを与える迷惑なヤツもいる。今回紹介する2つの事例はいずれも、店主やスタッフが入店拒否したくなるような迷惑客。心当たりのある人は改善しないと、ヤバイかもしれない。

◆代表待ち注意で逆ギレ!脅されて怯えるハメに

 2名以上で来店し、誰か1人だけが店の前で並ぶ。そして順番が近くなると、いっしょに来ていた全員が列に割り込む“代表待ち”の対応に悩まされている飲食店も少なくない。人気飲食店を営む高須蓮人さん(仮名・41歳)も、そのうちのひとりだ。

「代表待ちをする人を見逃すと、きちんと並んでいる人や常連客からクレームが出ます。暑い日や寒い日は、とくにです。店側に怒ってこられても正直困るのですが、客同士でケンカをはじめられるのはもっと困ります」

 平日は並ばずスッと入店できることもあるという高須さんの店だが、土日には混雑して行列ができることも少なくない。代表待ちをしている人のなかには、子どもや高齢者といっしょに来ていて、トイレなどのためにやむを得ず列から外れてしまう人もいる。

◆やむを得ないケースでも許せない人が

「でもやっぱり、子どもや高齢者連れのお客さんが列から外れてトイレに付き添う行為についても、クレームが来ることはあります。きちんと並んで待っている人からすると、許せない気持ちになるのかもしれません

 いろいろ考えると、クレームを付けてきた人たちに謝ることしかできなかったと高須さん。けれどクレームは増え続け、温和な常連客からもついに「ずるい人も多いから、きちんと注意したほうがいいかもね」と少し強めにアドバイスされてしまう。

◆友人に頼んで行列を撮影してもらったら…

「そこで、よく観察してみることにしました。友人に頼み込み、お客さんたちに気づかれないように、数日にわったって動画を撮影してもらったのです。すると、ずるい人は本当にずるい。そしてそのうちの多くが、繰り返し代表待ちをしていることを知りました

 高須さんは意を決し、代表待ちを繰り返している人たちを中心に注意することに。すると、ほとんどの人が気まずそうに「すみません」と謝罪し、列の最後に並び直してくれたとか。なかには、「今日だけお願いします」という図々しい人や舌打ちして帰っていく人も。

ほかにも、『この前は注意されなかった』と逆ギレされたこともあります。そこで、お店に来たお客さん全員の目に留まるように、代表待ちを控えるようお願いする貼り紙をしたのです。でも、『すぐ来ますから』『今回だけ』と言い訳する人も結構いました」

◆代表待ちを禁止する貼り紙をすることに

 なかには子どもに並ばせておいて、「子どもがトイレで……」と訳のわからない言い訳をする親も出現。知り合いが撮ってくれた動画と言い訳を見比べるうち、嫌な気持ちになることも多かったと高須さん。

「若い方はもちろんですが、親子連れや孫と祖父母などファミリーでも楽しめるようにしたいと思って立ち上げたお店だったので、一人ひとりが考えて常識の範囲で行動してほしかったです。そのあと、泣く泣く、代表待ち禁止と強めの貼り紙に変更しました

 ところが、貼り紙を掲げて早々に代表待ちが発生。お客からのクレームを受け注意しようと店の外に出ると、以前「この前は注意されなかった」と逆ギレしたカップルのお客だった。2人は次に席が空くと店内に入れる位置にいて、「お腹空いた~」などとじゃれ合っている。

◆「悪口ばっか書いてやるからな!」

「そんな2人にソフトな口調で注意を促したところ、彼氏のほうがものすごい様相でニラんできました。でも一瞬ハッとしてバツが悪そうに周囲を見渡すと、私の耳元でこう言ったのです。『●●●●(※某有名グルメサト)に悪口ばっか書いてやるからな!』と

 グルメサイトの口コミは、飲食店経営者にとっては死活問題となることも多い。脅してきただけだと心を落ち着かせながらも、その日からしばらくは、「いつ悪評を書き込まれるのか」と怯える日々を送っている。

「いまでもその恐怖は続いています。いつカキコミされるかわかりませんから。ひとりひとりが常識の範囲で行動してルールを守ってくれたら、きちんと並んでいるお客さんも不快にならなくて済む。ムダなイラ立ちや言い争いも発生しないはずなんです。今は店を閉めることも視野に入れ、モヤモヤとした気持ちで営業を続けています

ハッピーアワーがあぶり出した遅刻のキッカケ

 迷惑客なお客に困っているケースはこれだけではない。なかには常連客の迷惑行為に頭を抱えているというスタッフもいる。そんなエピソードを披露してくれたのは、居酒屋で働く麻生朋美さん(仮名・当時28歳)

居酒屋には、気軽に話しかけてくれる常連さんも結構いてアットホームな感じでした。みんないい人だったのですが、そのなかの1人が遅刻の常習犯。予約した時間から30分ぐらい遅れてくることも結構ありました。最初は、やむを得ない所用や仕事で遅れてやってくるのだと思っていたのですが」

 しかし、遅刻常習犯の男性と話をしていると、会社はキッカリ17時には終わる。家族もいない1人暮らしのため、制約もないという。

それならどうして毎回のように遅刻してくるのか、とても謎でした。2~3日前にコースまで決めて予約することもあれば、店に来る1~2時間前に電話をしてきたのに遅れるということもあったからです。ひどいときは、1時間以上も遅刻してきました」

ハッピーアワーを18時まで限定にすると

 それでも“常連客”ということで、店長は注意しようとしない。それが麻生さんのストレスになっていた。そんなある日、18時まで限定でハッピーアワーを実施することに。すると、その貼り紙をして以降、遅刻常習犯は時間を守って来店するようになったのだ。

「夏のあいだずっと実施していたハッピーアワーのキャンペーン中、遅刻常習犯は1回も予約時間を過ぎることはなかったのです。ところが、ハッピーアワーが終わった途端、また遅刻常習犯に変貌。そこで、私が貼り紙をしようと店長に提案しました」

 貼り紙には、“15分以上遅刻した場合は、席の予約をキャンセルさせていただきます。食事を予約していた方は、お食事代を請求させていただく場合もあるので気をつけてください”というような内容を盛り込んだとか。

◆遅刻常習犯はただルーズなだけだった

「するとまた、遅刻がピタリと止まったのです。これにはさすがに店長もイラっとして、『なんだよ、あの遅刻常習犯、ただのルーズかよ!』とボヤいていました。そう、その迷惑客はメリットや罰則がないと時間を守れない単なるルーズな人だったのです」

 麻生さんは、「予約に遅れられると、次のお客さんに影響が出ることもあります。きちんと時間どおりに来店できるなら、最初からきちんと来てほしい」と付け加える。店側に迷惑をかけないためにも予約時間は厳守し、やむを得ず遅れる場合は連絡を入れておきたいものだ

 今回紹介した2つの事例は、いずれも1枚の貼り紙がキッカケとなった迷惑客の話だが、自分では気づいていないだけでよく似た行動をとっているかもしれない。食事やサービスを楽しむためにも、店の人たちが嫌な気持ちになるようなことは控えたいものだ。

<取材・文/夏川夏実>

【夏川夏実】
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5