不動産のプロ・細川勝矢氏は著書『知識ゼロ、資産ゼロから始める 誰も教えてくれない不動産投資』(総合法令出版)の中で、不動産投資を始める前に知っておきたいノウハウを説明。今回は、不動産投資において欠かせることのできない家賃収入の安定した回収方法やいざという場合の対応について、本書から一部抜粋して紹介していきます。

入居者を募集する

入居者の募集は不動産会社に依頼するケースがほとんどです。空室が多い場合は、入居者をつけるのが得意な不動産会社に依頼すると良いでしょう。そうした不動産会社はインターネットで探しても良いですし、収益不動産を仲介してもらった不動産会社に聞くというのも良いでしょう。

また、入居者を決めるための営業報奨金を用意するという手もあります。営業報奨金を使って担当の営業さんがやる気になってくれれば優先的に入居者を決めてくれるかもしれません。

空室が多く、今まで不人気だった物件を人気の物件にするのは意外と簡単です。事業計画書のところでもお話ししたように、物件の近くにある企業などに「社宅として使ってくれませんか?」と交渉したり、近くのボロボロのアパート住人に引っ越しをうながす営業をするなど、やり方はいくらでもあるのです。

また、生活保護制度を利用している人に住んでもらうという方法もあります。生活保護制度を利用している方に家賃が払えるのかと考える人も少なくないのですが、実は、一般の方よりもきちんと払ってもらえます。なぜなら、家賃は本人からではなく、社会福祉事務所から直接払ってもらうことができるので、取りはぐれがありません。

これを住宅扶助制度といいます。

入居者募集は簡単です。各自治体の社会福祉事務所に生活保護の方を受け入れている旨を話しておくと、何かあったら思い出してくれたり、生活困窮者のお世話をしているようなNPO法人生活保護者受け入れ可能な物件があることをPRしておくと良いのです。

また、生活保護を受給されている方々は、入居期間が長くなる人が少なくありません。生活保護の人に住んでもらうということは社会貢献にもなりますし、家賃収入が安定して入ってくることにもなるのでぜひ検討してみて下さい。

入居者に家賃保証会社をつける

入居者の連帯保証人とは、入居者が急な病気やケガなどで、家賃を一時的に払えなくなってしまったなど、何かがあったときに責任を持つ人のことです。家賃の滞納が発生した場合、入居者に代わって家賃を支払ってくれます。

しかし、2020年4月に、120年ぶりに改正された民法が施行され、連帯保証人の負担額が限定的になりました。また、契約書には極度額を明記しなければならず、長期間、家賃の滞納が発生した場合、連帯保証人だけでは、オーナーのリスク回避が難しくなってきたのです。

そこで、注目したいのが家賃保証会社です。最近では保証人ではなく、保証会社に依頼することが多くなっています。入居者が家賃の1カ月分程度の手数料を支払い、家賃の滞納があれば、入居者に代わって保証会社が支払いをしてくれます。また退去後部屋にゴミなどの残置物があった場合でも、契約内容によっては保証会社の保証で対応できます。

保証会社は、個人と直接取引してくれないことがほとんどですので、不動産会社経由で加入手続きの申し込みをしてもらうようにしましょう。

なるべく保証会社を利用して、万が一のときにも家賃を確保できるようにしておきましょう。

家賃滞納にどう対処する?

前項でも書いたとおり、保証会社の保証さえ付いていれば、たとえ賃借人口座から引き落としができなかったとしても、保証会社が賃借人に代わって、大家さんに入金してくれるので、何ら問題ありません。また2カ月以上滞納が起これば、退去の交渉もやってくれますので、大変ありがたいのです。

問題は保証会社の保証が付いていない場合です。保証人がいたとしても家賃の催促はなかなか言い出しにくいですし、一筋縄でいくような話でもありません。保証人がいなければ、本人に家賃を催促しても、お金がなければ家賃を取ることはできません。

さらに、一度、滞納を許してしまうと、どんどん滞納家賃が膨れ上がり、支払えない額になってしまいます。そうすると、大家さんの損失も大きくなりますし、賃借人の負担も大きくなってしまい、皆が苦しむことになります。

そうならないためにも家賃を2カ月滞納したら、スパッと契約を解約し、退去してもらいましょう。冷たい対応と思われるかもしれませんが、大家さんの損害も最小限度で済みますし、賃借人の負担も最も少なく済みますので、これが一番愛のある対応なのです。

火災保険でさまざまなものがカバーできる

建物を天災や火災などから守ってくれるのが、損害保険、つまり、火災保険です。火災保険は火災以外の損害も補償の対象となります。

中古物件だと漏水などによる水漏れも想定されますが、これは火災保険の補償範囲です。強風や集中豪雨などの損害をカバーしてくれるので、修繕が必要になっても安心といえます。建物のあらゆる損害に対して補償がありますので、加入は必須事項です。

火災保険の補償範囲としては、次のようなものがあります。火災・落雷・風災・ひょう災・雪災・水災・破裂・爆発・盗難・飛来物による損害などです。

地震保険は火災保険に加入しないと入れないため、地震リスクに備えるには、まず火災保険の加入が必要です。老朽化による雨漏りなどには保険は下りませんが、台風や暴風雨で雨漏りした場合には保険で修理代が支払われます。

補償してくれる内容は、「こんなものまで?」というケースがあります。不動産投資で何かトラブルが起きれば、まずは保険会社に連絡をしてみて下さい。

以前、私共の物件で庭に中身が空の物置があったのですが、台風の時にフェンスを壊して、道まで飛んでしまったのです。しかし、フェンスも物置も火災保険で直すことができたので、大変助かりました。

個人的には無条件でフルサポートの保険に入るのがお勧めです。わずかな保険料をケチって大損するというのはリスク管理できない人のやることです。

細川 勝矢

株式会社不動産SOS 代表取締役会長