サイバーパンクSFの金字塔『攻殻機動隊』シリーズの最新作『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』が、2023年11月23日より劇場上映中だ。今回、アニメ!アニメ!独占で“ネタバレあり”の公式解説が公開された。

【大きい画像を見る】『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』メインビジュアル第2弾(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会



攻殻機動隊』は、士郎正宗1989年に「ヤングマガジン増刊 海賊版」(講談社)にて発表したSFコミックを原作とし、押井守監督による映画『GHOSTIN THE SHELL/攻殻機動隊』をはじめ、アニメ化、ハリウッド実写映画化など様々なメディア展開を行ってきたコンテンツ。

攻殻機動隊 SAC_2045』は、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズを手掛けた神山健治と『APPLESEED』シリーズの荒牧伸がダブル監督を務め、『攻殻機動隊』のアニメーションを制作してきたProduction I.GSOLA DIGITAL ARTSによる共同制作によるシリーズだ。
最新作『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』では、シーズン2に新たなシーンと視点を加えて劇場版として再構成されている。

<以下、“ネタバレあり”公式解説>
電脳犯罪に立ち向かう全身義体のサイボーグ・草薙素子と、彼女が率いる公安9課のメンバー・バトーやトグサらを中心に描かれてきた「攻殻機動隊」シリーズ。貧困問題、国際紛争、電脳犯罪といった常にリアルとシンクロする社会問題を描き、世界中から注目を集めてきた「攻殻」シリーズの中で、常に物語の中心に立ち、ファンが最も憧れるのが、公安9課のリーダー草薙素子だ。89年に原作が描かれた当時はそのクールな性格は斬新なキャラクターとして登場し、素子を28年も演じてきた田中敦子は「素子は、『攻殻機動隊GHOST IN THE SHELL』のときには人形遣いから融合を求められたし、『S.A.C.2ndGIG』の久世とも対峙した。最後の最後で大きな決断を求められるキャラクターなんです」と最後は重要な決断を迫られる展開が描かれてきた。


そして、現在公開中の劇場版『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』でも、素子は重要な決断を迫られる。それが、最後に対峙するシマムラタカシが素子に与えた最後の選択だ。しかし、バトーを演じた大塚明夫が「シマムラタカシって、これまでのシリーズの相手と違って、本当にこれが食い止めるべき相手なのか、というところがあるんでです。だから戦いの中に迷いが生じる部分があって。その迷いが、どんどん首を締めてくるような感覚がありました」と語るように、シマムラタカシが素子に与えた選択肢はこれまでとは異なっている。

幼少期に過酷な体験をし、電脳がシンギュラリティ技術的特異点)を迎え、人知を超えた能力を覚醒させた人類(=ポスト・ヒューマン)として新世界を築こうとする14歳の中学生・シマムラタカシ。彼は、実際の現実と並行する形で、内面において自身が志向する現実を生きている状態(=ダブルシンク)を生み出し、世界中の人々をダブルシンクさせることで新たな世界を作り出そうとする。

そしてクライマックスで素子が迫られるのは、シマムラタカシが望むように全人類をNとするか、それとも彼につながれたコードを抜くことで、Nにはならないようにするかという究極の選択だ。バトーやトグサたち公安9課のメンバーでさえも次々と“N”になっていく中で、唯一Nにはならずシマムラタカシと対峙する素子は、ここで“大きな決断”を迫られることになる。

Netflixで配信された「攻殻機動隊 SAC_2045」シーズン2では、その答えは視聴者に委ねられるところが大きかった。世界中のファンの間でもコードを抜いたのか、抜かなかったのかは多くの議論を呼んでいたが、今回『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』では、藤井監督と神山監督の長いディスカッションを経て、明確にある一つの”結末”が描かれている。そして、劇場版用の追加の収録を経てキャスト陣が感じたのは「素子はコードを抜かなかった」という結末だ。

配信版では明確に描かれなった描写に一つ答えを出されたことについて、トグサを演じた山寺宏一は「(コードを)抜かなかったのは衝撃でした。だってシマムラタカシは普通ならば“最大の敵”に相当するポジションですよ。そんなラスボスの作戦に主人公がのっかる、というのは普通はありえないでしょう」とその衝撃を明かしながらも「でもダブルシンクが当たり前になるラストが必要なぐらい、現代が病んでいるのかなとも思いました。例えば世界のあり方なんかをみると、全員ダブルシンクにでもならないと、戦争は終わらないのかもしれない、とも感じたりしました」と、Netflixでの配信がスタートした頃とは大きく変わってしまった社会情勢も踏まえて、劇場版が公開された今だからこその理解を示す。


一方で、「素子は孤高の人で、誰よりも高い場所から世界を見渡していて、そういう視点に立つと、最後に対峙した時点ではシマムラタカシもそこまで『敵』という存在でもないのだろうと思いました。だから『コードを抜く/抜かない』という直接的な選択も超越したところに素子はいて、その上で世界のことを考えて決断したのだろうと考えました」と、素子はその選択肢すら超越しているという新たな解釈を持つのが、長年素子を演じ、寄り添ってきた田中だ。

最後にはまたしてもバトーと別れ、ひとりで旅立っていく素子。世界を背負った大きな決断をし、その後の世界を見つめる彼女はどこへ向かうのか。
配信版ですべてを見届けた人も、また新たな答えを考えさせられる本作。ぜひ新たな視点で劇場版を見てほしい。

攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』は、2023年11月23日より3週間限定公開。


【作品概要】
■タイトル
攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間
■劇場公開日
2023年11月23日(木・祝)[3週間限定]
■キャスト
草薙素子田中敦子/荒巻大輔:中 博史/バトー:大塚明夫/トグサ:山寺宏一
イシカワ:仲野 裕/サイトー:大川 透/パズ:小野塚貴志/ボーマ:山口太郎/タチコマ玉川砂記子/江崎プリン:潘めぐみ
スタンダード:津田健次郎ジョン・スミス:曽世海司/久利須・大友・帝都:喜山茂雄/シマムラタカシ:林原めぐみ
■モーションアクター
草薙素子:川渕かおり/荒巻大輔、イシカワ:曽世海司/バトー:笠原紳司/トグサ:岡田地平/サイトー:武井秀哲/江崎プリン:山城屋理紗
■スタッフ
原作士郎正宗攻殻機動隊」(講談社 KCデラックス刊)/総監督:神山健治 × 荒牧伸志/監督:藤井道人/演出&編集:古川達馬/脚本:神山健治、檜垣 亮、砂山蔵澄、土城温美、佐藤 大、大東大介/キャラクターデザイン:Ilya Kuvshinov/CGディレクター:松本 勝/3Dキャラクタースーパーバイザー:松重宏美/プロダクションデザイナー:臼井伸二、寺岡賢司、松田大介/モデリングスーパーバイザー:田崎真允/バックグラウンドモデリングスーパーバイザー:市川 聡/リギング&キャラクターFXスーパーバイザー:錦織洋介/リギングスーパーバイザー:井上暢三/モーションキャプチャディレクター:宇土澤秀公/レイアウトスーパーバイザー:崔 佑碩/アニメーションスーパーバイザー:山口雄也/エフェクトスーパーバイザー:清塚拓也/ライティング&コンポジットスーパーバイザー:高橋孝弥/テクニカルスーパーバイザー:大桃雅寛/音楽:戸田信子 × 陣内一真/サウンドデザイナー:高木 創/主題歌:「Secret Ceremony」「No Time to Cast Anchor」millennium parade/音楽制作:フライングドッグ/主題歌協力:ソニーミュージックレーベルズ/制作:Production I.G × SOLA DIGITAL ARTS/製作:攻殻機動隊2045製作委員会/配給:バンダイナムコフィルムワークス 
(C)士郎正宗Production I.G/講談社攻殻機動隊2045製作委員会

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『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』場面カット(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会