来シーズンよりバイエルンに加入することが発表されたグラナダに所属するFWブライアン・サラゴサが、胸中を明かした。6日、スペイン紙『ムンド・デポルティーボ』が伝えている。

 出生地のスペイン南部マラガに本拠を置くマラガやベティスといったクラブのカンテラ入団を断られ、19歳でグラナダに拾われた“ジャックナイフ”が今、脅威的な成長速度で欧州随一のビッグクラブに到達した。2001年4月25日生まれのB・サラゴサは現在22歳。グラナダのカンテラ出身で左サイドを主戦場とし、切れ味鋭いドリブルを武器とする同選手は、昨シーズンのセグンダで頭角を現すと、舞台をラ・リーガに移した今シーズン序盤戦のサプライズに。特に第9節バルセロナ戦は圧巻の一言に尽き、スペイン代表、そして欧州にその名を轟かせるには十分過ぎるほどだった。第15節終了時点で5得点2アシストを記録するなど、降格圏脱出を目指すクラブを牽引している。

 2024-25シーズンより、2029年夏までの5年契約でバイエルンに加入することが6日に両クラブから発表されたB・サラゴサ。ブンデスリーガ11連覇中の“絶対王者”の一員になる同選手は「自分に起こっているすべての美しいことを夢に見てきたよ。でも本当は、そのような絵空事が実現するとは思っていなかった」と告白。続けて「僕はここで幸せ。ただ、永遠というものはないし、遅かれ早かれ別れのときが訪れることも分かっていた。そういうのを含め、人生にはすべての物事に対するタイミングというものがある。そして今がその瞬間なんだ」と愛惜を感じつつも、固めた決心を強調した。

 また報道によると、1500万ユーロ(約24億円)の契約解除金に200万ユーロ(約3億円)のボーナスが付帯しており、これはグラナダ史上最高額の移籍金になるとのこと。加えて、今冬の移籍市場ではなく、今シーズン終了後にチームを離れるB・サラゴサは「シウダ・デポルティーバ・デル・グラナダ(練習場)のピッチで、フットボーラーとして、そして人間として成長することができた。僕が知っているほとんどすべてのことは、あのピッチを駆け抜けて学んだこと」と回顧。さらに「チームはゴールに辿り着くつもりだし、それも皆んなと一緒にね。僕自身も望んでいることで、ここに(シーズン終了まで)留まる理由だ」と1部残留を“置き土産”にすることを誓っている。

 かつて“失格の烙印”を押された“ジャックナイフ”が、スターダムを駆け上がっている。始まりの地・グラナダからバイエルンに辿り着いたB・サラゴサは、その先の未踏もドリブルで切り裂いていくだろう。

バイエルン来季加入が決まったFWブライアン・サラゴサ [写真]=Getty Images