ボーイングの主力製品のひとつ「787」は、「ワイドボディ機」市場のヒット機になりました。旅客機市場ではヒット機が出ると、初期モデルをベースにしつつ、さらに改良を加えた派生型が出ることが一般的ですが、787ではそれは考えられるのでしょうか。

すでに先代「777」の受注数を上回る

アメリカの航空機メーカー、ボーイングが2023年時点で旅客機の主力商品としているモデルのひとつが、2本の通路をもつ「ワイドボディ機」の「787」です。世界の航空会社で導入されているヒット機のひとつで、国内でもANA(全日空)、JAL日本航空)などが主力機として使用しています。

旅客機市場ではヒット機が出ると、初期モデルをベースにしつつ、さらに改良を加えた派生型が出ることが一般的ですが、787の場合はそれが考えられるのでしょうか。

ボーイング787は2011年に運用開始。現在運用されているのは、標準タイプの「787-8」、胴体延長型の「787-9」のほか、-9よりさらに胴体を伸ばすことで最大450の客席を配備できる「787-10」の3タイプが存在します。

2023年12月に報道陣の質問に応じたダレン・ハルストボーイング民間航空機部門 マーケティング担当副社長によると、すでに787シリーズは1800機の受注を獲得しているそうです。これは、1995年にデビューした先代のボーイングのワイドボディ主力商品で、ANA・JALはじめ、世界中の航空会社で採用されたモデルである「777」をすでに上回っているといいます。

一方ボーイングでは、これまでヒット機をベースにした派生型を次々と生み出し、シリーズ化してきました。

代表的なのがボーイングで最も多くの受注を獲得した単通路機「737」で、1968年に初期タイプが初飛行して以来、1980年代には一般的に「737クラシック」と称される派生型が、さらに1990年代には「737NG(ネクスト・ジェネレーション)」と呼ばれる派生型も登場。2017年には、現在の単通路機の主力モデルである「737MAX」が運航を開始しています。

先代のワイドボディ機である777も同様で、初期タイプである777-200の就航後、同社では胴体を延長した777-300、航続距離を延長した777-200ER、777-300ERなどを開発。さらに2025年には、姉妹機ながら設計やエンジン、客室仕様に大きなアップデートを加えた「777X」の就航も予定されています。

副社長に聞く「787改」プランの概要とは

ボーイング787もデビューから10年以上が経過しており、これまでの同社の歴史を見ると、「787の新型機」が出る可能性も否定できません。ダレン・ハルスト副社長にこのことを聞くと、「長期的には検討はしていますが、現在のところ具体的な計画はないです」としたうえ、現行の787に次のような改修を加えることを検討していると話します。

「この1、2年で、とくに787-9、および-10を中心に、航続距離をさらに500kmから800kmほど伸ばせるような改善を検討しています。ただ構造上の改修を行うのではなく、いまのものを使用したまま、航続距離や客室容量を増やせないかということを検討しているところです」(ダレン・ハルスト副社長)

なお、現在の787-9の航続距離は1万4010km、787-10の航続距離は1万1730km。787シリーズの新たな派生型が出現する見込みは薄そうですが、現行機の強みである航続距離の長さなどを、さらに改善する方向性はありそうです。

成田空港。手前がANAの787-9。後ろがJAL系LCC、ZIPAIRの787-8(乗りものニュース編集部撮影)。