「別府記念」◎新田祐大/○松浦悠士/▲北津留翼/△浅井康太

 若手選手にとって百戦錬磨の実力者との連係は、勝負どころを教えてもらえる得難いチャンスでもある。

「別府記念」(12月7日㊍〜10日㊐)は、強烈まくりで戦い抜いてきた自力型がそろい、しかも細切れ戦が濃厚。各ラインの位置取りと仕掛けしだいでは、波乱の決着もある難解なシリーズになりそうだ。

 競輪祭は3連勝で準決勝まで勝ち上がりながら敗退した新田祐大だが、ここは圧巻まくりで突き抜ける。かつての後方一気から動きは多彩になった。後位は北日本両者で守澤太志がガード。今年4度目の記念Vで競輪祭の無念を晴らす。

 対抗は松浦悠士だ。競輪祭決勝戦は3着だったが、今年GⅡ戦を2勝している上位陣屈指のレース巧者。中四国ラインで前を任せる佐々木豪が早めに踏み出せば、逆転もある。

 結束固い九州勢の番手から、北津留翼が勝ち負けを演じるシーンも十分ある。阿部将大を先頭に北津留︱園田匠が続く九州トリオ。競輪祭5着の勢いと、熱烈なファンの声援が北津留の背中を押すはずだ。

 あとは、先行力ある志田龍星との中部作戦で浅井康太を警戒したい。

 ホームバンクの阿部にとっては、百戦錬磨の北津留、園田との連係は得難い経験になる。11月大垣GⅢ(③②③❺)も評価できる。強敵相手に臆することなく戦うだけだ。

【大穴この1車】岡村潤(静岡・86期)。

 ゴール前の混戦に強い追い込み選手らしく、前々走の四日市記念(②⑤②④)の初日4万円超と3日目1万円超は、どちらも車券に絡んだ3選手がライン違いだった。ただし、9月青森共同通信社杯(補②③)の1万円超と6万円超は、つけた先行と3着までに入っているように、マーク巧者ぶりを発揮している。狙いは絞りにくいが、2、3着で流したい。

【狙い目の伏兵3人】

 後藤大輝(福岡・121期)は、特昇後のS級初戦がホームバンクだったとはいえ、6月久留米記念(①④⑤②)で準決勝に進出。前々走のGⅢ大垣でも連勝して予選を突破している。ここも大暴れがある。

 藤井侑吾(愛知・115期)は、10月京王閣記念(③②①❻)で健闘し、その前後のGⅢで準決勝に乗った。主導権を取れば簡単には崩れない。

 競走得点が110点オーバーと、好調なのが森田優弥(埼玉・113期)。9月立川記念で優勝し、競輪祭でも好走。ファイナリスト入りしてもおかしくない。

山口健治(やまぐちけんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。

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