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高速道路の充電インフラ改善へ 厳しい課題も

英国政府は12月6日、気候変動対策を話し合う国連会議COP28で、高速道路におけるEV用超急速充電器の増設のために7000万ポンド(約130億円)を投じる計画を発表した。しかし、今年末までにイングランド各所に6台ずつ設置するという目標にはまだ届いていないようだ。

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電動車の普及促進のため、英国の運輸省は2020年5月から2023年にかけて高速道路の各サービスステーションに少なくとも6台の高出力(150~350kW)充電器を設置することを計画していた。RAC(王立自動車クラブ)の調査によると、年内にこの目標を達成する見込みはないという。

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充電器設置の際に送電網への接続プロセスの煩雑さが問題視されている。

充電器マッピングサービス「Zap-Map」のデータを参照すると、計6か所のサービスエリアで未設置であることが判明した。ただし、政府目標の急速充電器は設置されていないが、各所では少なくとも50kWの充電器が利用可能な状態にある。

今回、UAEアラブ首長国連邦)で開催されているCOP28において英国政府が発表した7000万ポンドの投資は、5~10か所のサービスステーションで充電ネットワークを整備するために使用されるという。資金がどのように配分されるかは明らかではない。

英国政府は最近、充電器設置の大きな障壁として、グリッド接続(送電網への接続)の難しさを強調した。10月には「EV充電器のグリッド接続プロセスを見直し、加速化を目指す」と述べている。

充電インフラを提供する民間企業も、グリッド接続の利用可能性が限られていることが障害であると繰り返し主張している。グリッドサーブ社のトディントン・ハーパーCEOは4月、本誌の取材で次のように語っている。

「導入スピードに関するほぼすべての問題は、グリッド接続のスピードに起因しています。送電網を批判するつもりはありません。送電網は全く別の目的のために設計されたものであり、電気を通しながら必要なものに適応させるのは大変な作業です」

「しかし、接続を待っている間に数か月以上遅れることもよくあります。そのプロセスは、よく言えば大変で、悪く言えば腹立たしいものです」

政府が目指しているのは、2035年まで予想される高速道路の充電器需要の増加に対して、各サービスエリアの充電キャパシティを「将来に備えさせる」ことだ。同年には、ハイブリッド車を含むガソリン車やディーゼル車の新車販売が禁止される。

政府はまた、国内の充電インフラの現状がEV普及の障害になっていることも声明で認め、今回の投資は「消費者がEVを選択する自信につながるだろう」と述べている。

マーク・ハーパー運輸長官は、「この7000万ポンドの試験的スキームは出発点であり、英国の交通の未来を成長させるために賢明かつ迅速に投資するというメッセージを消費者と業界に送るものです」とした。

今後、政府は10週間にわたる協議を開始し、充電器が必要とされる5〜10か所を決定する。


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