毛髪・美容・健康のウェルネス事業をグローバル展開する株式会社アデランス(本社:東京都品川区、代表取締役社長 津村 佳宏)は、2023年11月25日(土)、ホルトホール大分(大分県大分市)において開催された第13回癌・炎症と抗酸化研究会(CIA研究会)で、アデランスがスポンサーシップをとるランチョンセミナーを共催しました。

 13回目となる今回は「最適な抗がん剤脱毛治療を探る」をテーマに、大分大学医学部 先端がん毛髪医療開発講座[アデランス] 准教授 河野 洋平先生と、東京女子医科大学 外科学講座 乳腺外科学分野 教授 明石 定子先生が講演し、大分大学医学部長 大分大学医学部 消化器・小児外科学講座 教授の猪股 雅史先生が司会を務めました。

左より河野先生、明石先生、猪股先生

アデランス共催ランチョンセミナー 講演概要

セミナーテーマ

 「最適な抗がん剤脱毛治療を探る」

司会

 大分大学医学部

 大分大学医学部 消化器・小児外科学講座 教授

 猪股 雅史先生

■演題1

演者

 大分大学医学部 先端がん毛髪医療開発講座[アデランス] 准教授

 河野 洋平先生

演題

 毛包周囲環境から考える抗がん剤脱毛治療戦略

講演内容

 がんに罹患し治療を受けている患者数は現在163万人と報告され、その治療成績向上に伴い、がん経験者数も増加している。厚生労働省第4期がん対策推進基本計画においてもがん患者・経験者のQOL向上に向けた取り組みが求められており、治療に伴う脱毛など外見変化に対するサポートの重要性はますます高まっている。

 我々は頭皮における酸化ストレスが関与する抗がん剤脱毛病態に対する抗酸化物質αリポ酸誘導体の有効性を示してきた。臨床研究では多機関共同研究による乳がん患者100名を対象として、術後化学療法期間中にαリポ酸誘導体1%含有ローションの頭皮塗布を行った。化学療法後3ヶ月においてGrade2(>50%脱毛)症例割合は20%未満であり、脱毛後の回復を促進する可能性を示した。リバーストランスレーショナル研究※1として、αリポ酸誘導体の効果について現在最も臨床応用されている頭皮冷却療法との作用の差異、併用効果の可能性など基礎研究にて検討した。シクロフォスファミド※2誘発脱毛マウスモデルの皮膚毛包周囲環境を観察し、血管内皮細胞のアポトーシス※3誘導と血管透過性が亢進する病態の発生を明らかにしたうえ、皮膚冷却およびαリポ酸誘導体経皮投与は、いずれも抗がん剤誘発血管透過性亢進を抑制することを示した。その機序として、αリポ酸誘導体は血管内皮細胞アポトーシス誘導を軽減することを報告した。研究成果に基づいて開発上市されたαリポ酸誘導体配合頭皮用ローションは消化器がん患者における回復期の毛質を改善する可能性も示している。

 基礎研究と臨床から得られる結果を考察しながら、繰り返す基礎・臨床研究のサイクルにより、抗がん剤脱毛研究の持続的な成長を期待している。今後もαリポ酸誘導体を用いた効果的な治療開発を検討し、がん患者のQOL向上の取り組みを継続する。

(※1)リバーストランスレーショナル研究:実際に患者がどのような症状か、どのように困っているか、などと     

    いった、臨床上の問題に徹底してこだわり、その視点から基礎、臨床研究を行うこと。

(※2)シクロフォスファミド:乳がん他、多くのがん種に用いられる、抗がん剤の一種。

(※3)アポトーシス:あらかじめ予定されている細胞の死。

講演中の河野先生

■演題2

演者

 東京女子医科大学 外科学講座 乳腺外科学分野 教授 

 明石 定子先生

演題

 乳癌治療と脱毛対策

講演内容

 乳癌周術期治療のキードラッグであるアンスラサイクリン系薬剤※4は脱毛が高頻度であり、通常かつらの着用は必発である。これまでは化学療法に伴う脱毛は仕方ないものとして軽視されてきたが、患者視点でみると化学療法時の最も大きな苦痛要因となっている。「命よりも髪の毛が大事」を口癖に、添付文書上の脱毛の頻度は35%とそれほど脱毛は多くないと医療者が考えていたADC薬※5で、生存率延長効果も示していた薬剤さえ拒否した若い女性患者も経験した。また脱毛は一時的で、化学療法が終了すればまた生えてくると一般的には認識されているが、頭頂部および前髪が伸びず部分用ウイッグが生涯手放せない患者も時折経験し、対策の必要性を実感する。

 現在当院では頭皮冷却による脱毛対策の併用が可能であるが、頭皮冷却を行っても脱毛が完全に予防できるわけではなくウイッグが必要となる場合が半数程度あり、冷却に伴う有害事象、1日に対応できる患者数の制限、看護師の手間と時間を取り外来化学療法室の滞在時間が長くなることなど、実際の使用にはいくつかの問題点がある。αリポ酸誘導体配合ローションと頭皮冷却との組み合わせへの期待、脱毛程度の違いから薬剤による脱毛対策の今後の展望について考察したい。

(※4)アンスラサイクリン系薬剤:乳がん治療において標準的に使用される抗がん剤のひとつ。

(※5)ADC薬:抗体に抗がん剤などの薬を付加したもの。 抗体が特定の分子をもつがん細胞に結合する性質を利     

   用して、薬を直接がん細胞まで運び、そこで薬を放出する。

講演中の明石先生

■癌・炎症と抗酸化研究会(CIA研究会)に関して

 癌・炎症と抗酸化研究会(CIA研究会)は大分大学が中心となり、内視鏡治療の世界的な権威である大分大学 北野学長が代表世話人を務め、この分野ではトップクラスの研究実績を有する大学や病院・企業が参加する医学研究会です。癌や炎症にかかわるさまざまなテーマについて生体の根源的な現象である「抗酸化」の観点から、病態解明および新たな治療法開発を目指して研究を推進しています。

 第13回となる今回の研究会では、セミナーのテーマを「最適な抗がん剤脱毛治療を探る」として開催され、アデランスが本研究会に共催するのは8回目となります。

■株式会社アデランスに関して

 アデランスはトータルヘアソリューションにおけるリーディング企業の使命として、経営理念の一つである「最高の商品」の開発および毛髪関連業界の発展を目指し、機能性人工毛髪や医療用ウィッグの研究開発、育毛・ヘアスカルプケア関連研究、抗がん剤脱毛抑制研究など、産学連携でも毛髪関連の研究を積極的に取り組んでおります。

 その産学共同研究の成果を国内外の学会を通じて発信し、また、世界の研究者に研究成果を発表いただくことは、毛髪界の更なる進展となり、ひいては多くの方の髪の悩みの解消に寄与し、当社のCSR(企業の社会的責任)であると考えております。

■学会概要

学 会 名 称:第13回癌・炎症と抗酸化研究会(CIA研究会)

会   期:2023年11月25日(土)

会   場:ホルトホール大分(大分県大分市

当番世話人:大分県立看護科学大学 生体科学研究室 教授

      濱中 良志先生

株式会社アデランスは、おかげ様で2023年をもって創業55周年を迎えました。新時代を表す「NEXT ADERANS」として掲げ、創業当初からの理念「世界のブランド アデランス」を目指し、毛髪・美容・健康・医療のグローバルウェルネスカンパニーとして夢と感動を提供し続けていきます。

配信元企業:株式会社アデランス

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