2023年の年間Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”で、YOASOBIの「アイドル」が首位を獲得した。

 「アイドル」は、TVアニメ『【推しの子】』のオープニング・テーマで、4月12日に配信開始。6月21日には英語版Idol」を含む4曲入りのフィジカルとしてもリリースされており、今年の音楽シーンにおいて数々の記録を打ち立て、とりわけ多くの注目を集めた楽曲だ。

 当チャートにおいては、4月19日に初登場して首位を獲得すると、3週目には週間2,500万回再生超えを記録し、週間再生数の歴代2位となる数字をたたき出した。その後も首位をキープしながら再生回数を積み重ねて、チャートイン5週目に2023年リリース楽曲としては初となる累計再生数1億回超え、9週目で2億回、14週目で3億回、21週目で4億回、30週目に5億回をそれぞれ史上最速で突破。年間の再生回数は527,143,965回を記録した。同曲は、SNSでのカバー動画やダンス動画をはじめとする様々な二次創作UGC)がユーザーによって投稿されたことも話題を集め、様々なチャンネルでリスナーを獲得し、各チャートを賑わせた。アニメの最終話が放送された6月28日以降もじわじわと記録を伸ばし、9月6日公開分で21連覇を達成して通算22回目の首位を獲得した。

 また同曲は、米ビルボード・グローバル・チャートにおいて、6月10日付の“Global Excl. U.S.”で首位、7月1日付の“Global 200”では自身最高位の7位をそれぞれ獲得。9月14日に初公開された、世界でヒットしている日本の楽曲をランキング化した“Global Japan Songs Excl. Japan”でも初代首位を獲得してから11週連続で首位を獲得するなど、J-POP史上初となる記録を次々と打ち立てており、国内外で着実にリスナー層を開拓していった結果が窺える。なおYOASOBIは、今年当チャートにおいてストリーミング累計再生回数10億回を突破し、日本初のビリオンヒットを達成した「夜に駆ける」のほか、「祝福」「群青」「怪物」の計5曲を100位圏内に送り込んだ。

 続く2位は、ドラマ『silent』の主題歌として書き下ろされ、上半期に首位を獲得したOfficial髭男dismSubtitle」。2022年10月12日に配信開始され、10月19日の当チャートで2位に初登場。ドラマのヒットと連動してピークを更新し続け、ドラマ放送終了後も順調に数字を積み重ねて、25連覇を記録して約6か月にわたり首位の座を守った。さらに、チャートイン6週目で1億回、11週目で2億回、19週目で3億回、31週目で4億回、48週目に5億回の大台を突破。年間の再生回数は430,038,344回を記録している。

 そして、2022年年末の『第73回NHK紅白歌合戦』への初出場が大きな話題を呼び、ロングヒットを記録しているVaundy「怪獣の花唄」が3位をマーク。同曲は2020年5月27日にリリースした1stアルバム『strobo』の収録曲で、同作の先行シングルとして、2020年5月11日より配信がスタート。紅白出場前まで40~50位あたりを推移していたが、番組放送日を集計期間に含んだチャートで26位に浮上し、紅白放送後である2023年1月11日公開の当チャートで3位にジャンプアップ。その後も徐々に再生回数を重ねて、チャートイン141週目に自身初の累計5億回再生を突破し、年間の再生回数は343,087,857回を記録した。なお、11月15日にリリースされたアルバム『replica』には、「怪獣の花唄」のアルバムバージョンが収録されている。

 「アイドル」のヒットと同時期にチャートを賑わせたのが、劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の主題歌として書き下ろされたスピッツ「美しい鰭」だ。年間チャートでは11位をマークした。映画の大ヒットと収録アルバムのリリースによる影響でロングヒットを記録し、自身初のストリーミング累計1億回再生を突破した。なおスピッツは、「美しい鰭」のヒットが後押しして、今年7月に「チェリー」も累計1億回再生を突破している。同曲はビルボードジャパンの集計で1億回再生を超えた楽曲の中で最も古い楽曲となり、90年代リリースの楽曲としては史上3曲目の1億回突破となった(※集計期間:2018年3月12日~)。

 上位20曲中、2023年リリース楽曲は7曲。そして、2022年に当チャートで年間首位を獲得したTani Yuuki「W/X/Y」は、今回6位をマークし、7位のなとり「Overdose」、19位の百足 & 韻マン「君のまま」といった、ストリーミングをはじめとするデジタル領域で頭角を現してきた次世代アーティストの楽曲も数多くチャートインした。また、今年7月にリリースされた2nd EP『Get Up』が米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初の1位を獲得し、【2023 ビルボードミュージック・アワード presented by Marriott Bonvoy】(BBMAs)で今年新設された<トップ・グローバル・K-POP・アーティスト賞>を受賞したNewJeansの「Ditto」が17位をマーク。そして、100位圏内に最も多く楽曲がチャートインしたのはMrs. GREEN APPLEで、2023年リリースの「ケセラセラ」「Magic」を含む、最多となる計10曲を送り込んでいる。

 “史上初”の記録が数多く誕生し、そして塗り替えられた2023年。ストリーミングにおけるヒットの特徴はその持続性であり、継続的なチャートインには、長きにわたって楽曲自体が聴かれていることが重要だ。そのため、タイアップやメディア露出、SNSでのバズといったタイムリーな話題性のみではなく、それらをベースとしながら楽曲と接触する機会をいかに増やし続けるか、といった連続的なアプローチがリスナー層の幅を広げ、ストリーミングにおけるヒットに繋げることができるだろう。

Text by Yuma Sakata


Billboard JAPAN Streaming Songs of the Year 2023】トップ20
1位「アイドル」YOASOBI(527,143,965回再生)
2位「SubtitleOfficial髭男dism(430,038,344回再生)
3位「怪獣の花唄」Vaundy343,087,857回再生)
4位「KICK BACK米津玄師275,054,595回再生)
5位「ダンスホールMrs. GREEN APPLE(243,028,586回再生)
6位「W/X/Y」Tani Yuuki(240,703,292回再生)
7位「Overdose」なとり(223,953,464回再生)
8位「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado(221,782,694回再生)
9位「第ゼロ感」10-FEET(221,207,053回再生)
10位「ミックスナッツOfficial髭男dism207,785,607回再生)
11位「美しい鰭」スピッツ207,640,836回再生)
12位「シンデレラボーイ」Saucy Dog205,952,120回再生)
13位「祝福」YOASOBI(199,874,299回再生)
14位「アイラブユー」back number(195,671,716回再生)
15位「Soranji」Mrs. GREEN APPLE(195,153,187回再生)
16位「水平線」back number(187,738,718回再生)
17位「Ditto」NewJeans(181,562,980回再生)
18位「ビリミリオン」優里(180,353,433回再生)
19位「君のまま」百足 & 韻マン(178,635,698回再生)
20位「ベテルギウス」優里(178,207,674回再生)

集計期間:2022年11月28日(月)~2023年11月26日(日)

※()内はストリーミング再生回数。
※総合ソング・チャート“Hot 100”のストリーミング指標と動画再生指標およびストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”では、一部サービスにおけるデータを無料ストリーミングと有料ストリーミングで分けて集計し、それぞれ異なる係数を乗じているため、再生回数の合算によるランキングとは異なる場合があります。

【ビルボード 2023年 年間Streaming Songs】YOASOBI「アイドル」が5.2億回再生で首位獲得 日本初ビリオン達成「夜に駆ける」ほか複数チャートイン