2023年の年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で、YOASOBIの「アイドル」が首位を獲得した。

 TVアニメ『【推しの子】』のオープニングを飾る同曲は、4月19日公開チャートで総合首位に初登場してから、9月6日公開チャートまでの実に5か月間、そのまま21週連続で総合首位を守るという、前人未踏の記録を成し遂げた。翌9月13日公開チャートでSnow Man「Dangerholic」に首位の座を譲ることとなるが、その後も上位を守り続け、総合4位から下がったことがない、メガヒット記録を更新中だ。

 「アイドル」のストリーミング数は累計527,143,965再生回数で、動画再生数は148,838,759再生、ダウンロード数は509,751DLと、いずれも1位。他指標ではラジオも1位、カラオケ3位、シングル94位と、計四冠達成の文句なしの総合首位となった。

 「アイドル」同様、ロングヒットを続けているのが「祝福」(総合15位、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』オープニング・テーマ)で、昨年10月のデジタル解禁以降、100位以下なったことがない。また「勇者」(総合81位、TVアニメ『葬送のフリーレン』オープニング・テーマ)も今年10月リリース以降、トップ10圏内を守っている。これら3曲から、ビッグタイトルのアニメタイアップのチャンスで確実にロングヒットを生み出す、彼らの楽曲創作力の高さを如実に示す結果となった。海外でもその評価は高く、来年の彼らの展開に引き続き注目したい。

 総合2位のOfficial髭男dismSubtitle」はフジテレビ系ドラマ『silent』との相乗効果でロングヒットとなり、今年度上半期では総合首位を獲得していた。年間で「アイドル」に逆転されたとはいえ、昨年10月のデジタル解禁以降、通算13回(集計期間内では9回)の総合首位を獲得し、トップ20を守り続けている。

 今期中のストリーミング数は430,038,344再生で2位、動画再生は57,873,571再生で3位、ダウンロードは217,218DLで3位となり、他指標でもラジオ12位、カラオケ11位とバランスよくポイントを獲得している。

 総合3位のVaundy「怪獣の花唄」は、2020年5月にリリースされ、2021年2月10日公開チャートで90位に初登場した。2022年1月5日公開チャートで再びトップ100位圏内にチャートインしてからは右肩上がりを続け、NHK『紅白歌合戦』初出場により、2023年1月4日チャートで前週54位から27位にジャンプアップ。1月11日公開チャートで3位に到達し、それ以降はトップ20圏内を守る、超ロングヒット曲となった。

 今期中のストリーミング数は343,087,857再生で3位、動画再生は41,743,578再生で9位、ダウンロードは144,598DLで6位、他指標ではラジオ39位、カラオケ1位と、こちらもバランスよい得点を挙げている。

 複数指標でポイントをバランスよく獲得し続けることが上半期や年間チャートで上位チャートインの条件となって久しく、今年もその傾向が続く結果となっている。例えば、King & Princeツキヨミ」は今期中の動画再生で75,134,872再生と、「Subtitle」を抑えて2位となったが、他指標がふるわず76位だった。CDポイント1位のAKB48「どうしても君が好きだ」も同じく総合100位圏外となった。

 活性化が続く20年代のJ-POPシーンを代表するアーティストによる楽曲が出揃った感のある今年度チャートだが、年末音楽特番によりジャンプアップを成し遂げたVaundyや、デビュー30周年を超えてなおヒット曲「美しい鰭」(10位)を生み出したスピッツのようなアーティストはまだまだいることを私たちは知っている。彼らの楽曲もヒットチャートに加わり、シーンの活性化が黄金期を迎えるビッグイヤーの到来はもう間もなくだ。

Text by 礒崎誠二

YOASOBI コメント(インタビューより抜粋)
Ayase
本当にうれしいです。これのために頑張ってきたと言っても過言じゃないので。もちろんチャートのために音楽を作っているわけではないけど、一昨年も去年も惜しくも2位で、敗北感みたいなものはすごく味わったし、いつの間にか「ここで1位を獲らなきゃ前に進めない」みたいな気持ちになっていて。ようやく僕の止まった歯車が動き出しそうです。

ikura
私も本当に同じ気持ちですし、3年目で1位になれたということは、YOASOBIが前に進み続けている、更新していることの結果でもあると思うので、それを実感できてうれしいです。

Billboard JAPAN Hot 100 of the Year 2023】トップ20
1位「アイドル」YOASOBI
2位「SubtitleOfficial髭男dism
3位「怪獣の花唄」Vaundy
4位「KICK BACK米津玄師
5位「第ゼロ感」10-FEET
6位「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
7位「ダンスホールMrs. GREEN APPLE
8位「W/X/Y」Tani Yuuki
9位「Overdose」なとり
10位「美しい鰭」スピッツ
11位「ミックスナッツOfficial髭男dism
12位「シンデレラボーイ」Saucy Dog
13位「水平線」back number
14位「ドライフラワー」優里
15位「祝福」YOASOBI
16位「アイラブユー」back number
17位「唱」Ado
18位「絆ノ奇跡」MAN WITH A MISSION×milet
19位「Soranji」Mrs. GREEN APPLE
20位「青と夏」Mrs. GREEN APPLE

集計期間:2022年11月28日(月)~2023年11月26日(日)

【ビルボード 2023年 年間JAPAN Hot 100】YOASOBI「アイドル」が前人未踏の記録を成し遂げ、堂々首位(コメントあり)