2024年1月から3月にかけ、海宝直人が『ATTENTION PLEASE! 2』を千葉、東京、大阪の三都市で開催する。海宝がパイロットに扮し、世界旅行をテーマにミュージカルナンバーを歌うコンセプチュアルなコンサート。2023年の第一弾に引き続き、バラエティに富んだゲストを迎えて行われるこの公演について、海宝に話を聞いた。

新たな“航路”でコンセプチュアルなコンサートを

──『ATTENTION PLEASE!』は、海宝さんが機長に扮し、クルーたちとともにミュージカルナンバーを歌っていくという面白い形式のコンサートですね。2023年に初めて公演を行ったときの手応えは?

通常のコンサートではここまでしっかりと台本を作り、スタッフとも綿密な打ち合わせをして進めることはなかなかありませんし、コンセプトに合わせて衣裳を作ることも珍しいんですよ。細やかに準備して世界観を作り込んでいったので、実際にお客様に受け入れていただけて、喜んでいただけたのを感じて、達成感がありました。

──今回の公演は、2023年に公演を行った第一弾との違いはどんなものになりそうですか?

千葉、東京、大阪でそれぞれ新たな “航路”を用意しているので、違う世界を旅したような気持ちになっていただけたらと思っています。前回の千秋楽に「機長、ジャズをやってみては?」と言われたりもしたので、そんなチャレンジ企画もあるかも……。今まで聞いたことのない表現も楽しんでいただけるようにしたいなと思います。前回とは違うハプニングやトラブルが起こるかもしれません(笑)。それも楽しみにしていただけたら。

玉三郎さんが教えてくれたこと

──さまざまな日替わりゲストもこのコンサートの魅力ですね。海宝さんが幼い頃に共演したことのある石丸幹二さんから、来年に控えるミュージカルこの世界の片隅に』で共演する大原櫻子さんまで、海宝さんのクロニクルができそうな方々がラインナップされていますね。

そうなんです。みなさん、表現者としての力がとても強い方ばかりですね。

──中でも坂東玉三郎さんがこうしてゲストで登場されるのはとてもめずらしいですよね。どのような経緯で?

2018年に越路吹雪さんの歌を歌うコンサート『愛の讃歌』で玉三郎さんにお呼びいただいたご縁で、「もし来ていただけるのであれば」とお願いしました。

──玉三郎さんと会われたときに、印象深かったことはありますか?

初めてお会いしたのはテレビ番組で、玉三郎さんにインタビューさせていただく企画がありまして、そのときにどんなふうに芸に向き合っていらっしゃるかを知って、表現者として刺激を受けました。おこがましいことですが、子どもの頃から芸事をやっているという共通点もありましたから。「常に鮮度を持って演劇と向き合うために心がけていらっしゃることは?」と質問させていただいたとき、「日ごろ、空や花といった美しいものを目にしたときの感覚や感動を自分のなかにとっておいて、その気持ちを使うといいんじゃないかな」というお話をしてくださったんです。そのお答えはずっと自分の中で大切にして芝居に臨んでいます。玉三郎さんの言葉や存在は自分の中にあり続けているので、お会いしても久しぶりという気がしないんですよ。

ミュージカルとは異なる文脈で楽曲を表現する面白さ

──もうおひとり、シンガーソングライターのヒグチアイさんも異色ですね。

ファンなんです。ヒグチアイさんって、彼女の楽曲だけでジュークボックスミュージカルが作れるんじゃないかと思うくらい、言葉の力が強いアーティストなんですよ。その言葉に僕はすごく惹かれます。心に刺さってくる。その言葉の強さがすごく演劇だな、と感じるんです。 だから、ミュージカル好きの方にも、ヒグチアイさんの紡ぐ言葉はきっと強く届くんじゃないかなと思っています。

──大阪のゲストラインナップでは、水谷千重子さんが。インパクトがありますね。

水谷さんとは今回初めてお会いします。大阪のお客様も喜んでくださるんじゃないかということでお願いしました。歌もお上手ですし、お会いするのが楽しみです。

──ゲストの方が歌われる楽曲は海宝さんからのリクエストが多いですか?

ソロに関しては基本的に「歌いたい」とおっしゃっていただく曲をそのままお願いするほうがいいと思っていまして。デュエットはこちらからも提案させていただくこともありますね。リハーサルのときに「こんなのどう?」と盛り上がって「ぜひそれを歌いましょう!」となることもあります。

──最後に、今回の見どころを教えてください。

ミュージカルの楽曲を中心に歌っていきますが、ミュージカル作品を知らなくても楽しめるものにしたいと思っています。たとえば前回、アラジンの『A Million Miles Away』という楽曲を歌いました。この楽曲は本来はアラジンジャスミンふたりのデュエットですが、この公演の中では旅する人たちのそれぞれの旅路への思いを誘うような意味で歌わせていただいたんですね。本来の作品で描かれているものとは違うアプローチで、公演の一部として表現することができる。それはコンサートならではの面白みだなと思っています。今回も素晴らしい楽曲をお客様に楽しんでいただけると思うので、楽しみにしていてください。

取材・文:釣木文恵 撮影:源賀津己

<公演情報>
海宝直人コンサート『ATTENTION PLEASE!2』

【PREMIUM PREVIEW】
2024年1月26日(金)
会場:市川市文化会館大ホール

【東京公演】
2024年1月30日(火)~2月16日(金)
会場:シアタークリエ

【大阪公演】
2024年3月6日(水)~9日(土)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/attentionplease/

公式サイト:
https://www.tohostage.com/attention_please/

海宝直人